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オキュパイド・アース ~占領下の地球~ 原案  作者: 振木岳人
黙示録の4騎士編
36/77

そう遠くない将来、必ず【あれ】に乗せられる




時は同じく、場所は日本国コロニー3【中京】

国連軌道宇宙軍所有の病院。


その病院の奥の奥…、とある研究室に、三人の男女の姿があった。

三人の男女とは、デイリー中京の記者で、【プロジェクト・ゴーホーム】に協力している、

特務大尉の肩書きを持つ、堂上誠一郎。

そして、中京大学情報学部の準教授で、国連軌道宇宙軍、情報保全部付き特務少佐の肩書きを持つ、メリル・ウィルドット。

さらに、やはり中京大学情報学部で客員講師をしている、レイコ・F・ムナカタ。


研究室のデスクに設置されたモニターから、視線を動かさない堂上。

何かしらのレポートなのか、数枚の報告書を凝視するレイコ。

堂上の隣に椅子を置き、モニター画面を見ながらも、友人であるレイコの表情をうかがうメリル少佐。

三者三様に、この時間を過ごしている。




レイコ「はあ…」




書類を見詰めながら、安堵のため息を吐くレイコに、メリルは優しく声をかける。




メリル少佐「安心した?」




レイコ「うん、良かった…。本当に良かった」




メリル少佐「一定の条件が揃わないと、もうあんな事は起こらない。

カオル君は大丈夫よ」




レイコ「でも、大丈夫って事は…」




急に表情が曇るレイコ。

その変化が手に取る様に理解出来るメリル少佐は、

レイコにかける言葉を選びながらも、厳しく、優しくレイコを諭す。




メリル少佐「そう。カオル君が問題無いと言う事であれば、そう遠くない将来、必ず【あれ】に乗せられる」




レイコ「今日、今…その号令がかかる。もう、後戻りは出来ない」




メリル少佐「そうよ、この時が来る事を予言したのはあなた。

そして、そうなる為に、カオル君を身ごもったのもあなた。

これから、彼の運命がどうなるのかは、全てを知っているあなたの覚悟次第よ」




レイコ「そうね…そうね…」




沈痛な面もちのレイコ、とうとう両手で顔を覆い、静かに泣き出してしまう。




レイコ「カオルは…私が守る。絶対に…絶対に私が守る!」




メリル少佐「一緒に頑張りましょう、私も全力で応援するわ。それに、彼にはまだ足りないものが…」




レイコ「ええ、全力でそれも探さないと」




堂上「そろそろ時間だ、始まるぞ」




カオルについての情報を知らされていない堂上は、意識的にメリル少佐とレイコのやり取りを無視。

メリル少佐からは「優先事項(特)レベルは、会見後に話す」と言われており、

今は静かに…持参したポットに入っているコーヒーを、チビチビと飲みながら、モニター画面に見入っていた。


モニター画面に映し出されているのは、ありきたりな企業CM。

しかし、画面下に【20:30より国連軌道宇宙軍の会見生中継】と、テロップが表示されている。


時刻は20:29


急にCM画面からスタジオ画面に切り替わり、男性アナウンサーが原稿を読み始める。




男性アナウンサー『番組を変更して、これより、国連軌道宇宙軍統合幕僚本部長、

エリオット・コバヤシ中将の記者会見を中継いたします。

なおこの放送は、環地球軌道経済連合のみならず、月経済連合及び、火星自治政府でも、同時中継されております』




堂上だけでなく、メリル少佐やレイコも、やがてモニター画面に釘付けになる。

内容は分かっていてもやはり、世紀の一瞬には変わりないからだ。




画面がスタジオから記者会見場に切り替わる。


どうやら記者会見場は、国連軌道宇宙軍統合幕僚本部のホール。

記者達から見渡せる様に、フロアより一段高いステージを設営し、記者会見を行う様だ。


「おおっ…!!!」


ホールに集まっていた報道陣に、どよめきが走る。


統合幕僚本部長の、エリオット・コバヤシ中将が、待合室からステージに登って来たのだが、

そのコバヤシ中将の後を追う様に、そうそうたるメンバーがステージに上がり、

コバヤシ中将の背後に並んだのだ。




「どういう事だ?」「どうなってる?」

「国連月宇宙軍も…?」「国連月宇宙軍のヴィンセント・ショウ総司令官だ」

「アメリカ大統領に、イギリス首相に…日本国首相」「それだけじゃない、月経済連合の各国首脳まで」

「国連軌道宇宙軍の単独会見じゃないのか?」「何が始まるんだ?」


騒然とするホール。


コバヤシ中将は、穏やかな「メディア向け」の笑顔のまま、ステージ上の演台に進み、

ゆっくりと低い声で、スピーチを始めた。




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