表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オキュパイド・アース ~占領下の地球~ 原案  作者: 振木岳人
国連軌道宇宙軍編
17/77

生徒会長、伊達庸子




日本国が有する三番目のコロニー【中京】は、総人口15万人の中堅コロニーでありながら、

地球軌道上や月面・月軌道に無数に点在する工業施設の中で、1、2を争う生産力を持ったコロニーである。


もちろん、人口比率において、労働者人口だけがと出した様な「いびつ」な世界を構築してはおらず、

労働者家族や一般の企業人、民間人などの比率も調整・構成された、バランスの取れた都市と言っても良い。


西暦2415年、季節は初夏の7月。

コロニー環境に対して、国民投票で【四季】を導入した日本国。

コロニー内居住区の気温は高く、衣替えも終わり、街は薄着の人々で溢れ、

「スカイモニター」では透き通る真っ青な青空が広がる時期の事。


コロニー3【中京】の一角に設立された、市立四日市東高等学校。

全校生徒合わせて、約250名程度の中規模学校の、一年二組。

ここから、今回の物語は始まる。


ある日の放課後


「本日の授業」が終わったばかりの教室で、クラスの生徒達ほとんどが教室に残ったまま、

明日行われる社会科見学の内容について、ワイワイ、キャッキャッと、かしましくも雑談に花を咲かせていた。


その中には、国連軌道宇宙軍の奨学コースを進む4人、

ムナカタ・カオルやショーン・カザマ。ミカ・カートライトやエレノア・シグニスの姿もあった。


ただ、この4人。


周囲のクラスメイトは社会科見学の話題が中心になっているのに対して、

一週間後に控えた教育実習…つまり、教育実習船【リスキー・ビスキー】に乗船する、

二週間の実習航海について、楽しげに話し合っていたのだ。




ミカ「あの操舵室、ホンッと狭いけどカッコイイよね♪昔映画で見た…そう、潜水艦!潜水艦の中みたいで」




ショーン「大気圏内で飛行出来るって言ったって、基本は航宙艦だからね。

密閉構造の船は、窓なんてほとんど無いよ」




ミカ「じゃあ、軌道フリゲート艦もあんな感じなのかな?」




カオル「…人間の視力に頼らざるを得ない作業って、そうそう無いから同じなんじゃ?、

PEEVAだってカメラモニター基本だから、窓なんて無いよ」




エレノア「視認作業なんてドッキングくらいじゃないの?」




喧々囂々と語り合う4人。その時、軽快な音を立てながら、勢い良く教室の扉が開く。


ガラガラッ!!!


勢い良く教室の扉が開き、そこには一人の男子生徒の姿が。

音に驚き、一年二組の生徒達は、忙しく動かしていた口を一瞬閉じ、静寂が教室に漂う。

そして、誰もがこの男子生徒に視点を合わせたまま、釘付けになっている。


2クラスしか無い、今年度の一年生。

数少ない一年生の中に、その男子学生の心当たりは全く無い。つまりは、上級生。

下手な事は言えない、つまりは「沈黙は金」。余計な事は言わない方が良いと、一年二組の生徒達は判断したのだ。


いきなり現れた上級生らしき男子生徒。

非常に挑発的、挑戦的な瞳を一年二組の生徒達にぶつけ、

誰かを探しているのか、教室をグルグルと見回している。


身長は180cmを超える長身。半袖開襟シャツから覗く腕が、非常に筋肉質で、

細身ではあるが、身体を鍛え上げている事は推察出来る。

髪の毛は赤く、地毛の色ではなく、人工的に染め上げ、そして、

後ろにかき上げた…いわゆる「不良タイプ」の男子生徒だ。

この容貌からして、一年二組の新入生達が押し黙るのも、うなづける話ではあったのだ。


お目当ての生徒が見つからないのか、この上級生らしき男子生徒は、イライラを募らせる。

そして、とうとう我慢出来なくなったのか、クラスに向かって大声で叫んだ。




「おおいっ!!このクラスに、ムナカタ・カオルって奴はいるか!」




ショーン「!?」


ミカ「カオル!?」


エレノア「あら」




カオルの名前がいきなり出て、驚く仲間達。

他のクラスメイト達も、一斉にカオルを見詰める。

仲間内での話に夢中だった、当の本人は椅子に座ったまま…




カオル「あれ?ミカさん、ショーン、エレノアさん。どうしたの?」




全く気付いてはいない。

しかし、ここでもう一度、号雷に近い勢いで、入り口にいる男子生徒が吠えた。




「おらあっ!!!ムナカタ・カオル、いるなら返事せい!」




カオル「お!」




∩(´・ω・`)はい、僕です




ようやく気付き、返事をするカオル。

すると、




「うおらぁっ!!!!呼ばれたら直ぐに目の前に立て!そんな事もわからんのかあ!」




再びカオルに降り注ぐ怒号。

(僕、何か悪い事したかな?)と、思い返しながらも、カオルは男子生徒の前に立った。




男子生徒「そうか、お前がムナカタ・カオルか」




カオル「は、はい」




男子生徒「俺は二年三組の赤磐雷太だ、よろしくな!」




カオル「あ、はい…よろしくお願いします」




赤磐雷太と名乗った二年生。


カオルがしっかりと頭を下げて挨拶した途端、険しい表情を「コロッと」180度変え、

にこやかを通り越して破顔一笑。




赤磐「よし、じゃあ行くぞ!ついて来い!」




と、言いながらズンズンと廊下を、歩いて行ってしまうではないか。




カオル「あ、あの!行くって…どこへ?」




すると、赤磐は竜巻の様な勢いで回転し、カオルに振り向く。

振り向いた赤磐の顔は笑顔では無く、再びいかつい挑戦的な表情に変わっている。




赤磐「ゴチャゴチャぁあ…言うな!黙ってついて来れば良いんだよ!」




カオル「あ、は…はい」




赤磐「よし、じゃあ行くぞ!」




明るい声でそう言い、赤磐は再び歩き出した。

ぽかーんとしながら、仕方なく赤磐の後をついて歩くカオル。

もちろん、クラスメイト達やショーン達も唖然としたまま、

視界から遠くなる教室も静寂のままだ。




赤磐「おっと、いけねっ!!!」




何かを思い出した赤磐、急に立ち止まる。




カオル「むぎゅ…」




いきなり立ち止まった赤磐の背中に、思い切り顔からぶつかってしまったカオル。




赤磐「…」




機嫌悪そうに、カオルに振り向く赤磐。

カオルは「不可抗力だ!」と、無言のまま顔を左右に振る。




赤磐「チッ…」




カオルの真剣で尚且つ、しょんぼりした表情の無言の抗議に、何も言えなかったのか、

赤磐はそれ以上カオルを責める事を止め、早足で一年二組の教室入り口へと戻って行く。


そして、




赤磐「おおい!!ムナカタ・カオルの仲間三人ってのは一体どいつだ!早く出て来い!」




赤磐はカオルの仲間三人…つまり、ショーン、ミカ、エレノアの三人も、ついて来いと叫んだのだ。




ミカ「べ、別に私…悪い事してないわよ」




ショーン「何か面白そうだから行こうぜ」




エレノア「カオル一人で行かせると心配ね、私行くわ」




三人も結局、カオルと一緒に、赤磐の後をついて行く事になってしまったのだった。




「悲しみのスペース・ポート (宇宙港)♪涙であなたが~見えない~♪」

ズボンのポケットに両手を入れ、背中を丸めながらも、機嫌良く、

流行りの歌謡曲を口ずさみ、軽快に階段を昇る赤磐。


まさにご機嫌である。


そして、赤磐とは対照的に、その後ろからトボトボとつき従い歩くカオル達。




赤磐「よし、着いたぞ。みんな中に入れ」




赤磐が連れて来たのは学校の三階。

扉には【生徒会室】と銘打ったプレートが設置されている。




ショーン「生徒会室ぅ?」




一年二組に突如現れた台風の目。


荒々しい上級生「赤磐雷太」が連れて来たのは、予想外の生徒会室。

(お前ら一年のクセに生意気だ!)と、難癖つけられるのではと想像していた、ショーンやミカであったが、

今はその落差に、非常に戸惑っている。




赤磐「ほらあ、ちんたらしてんじゃねえ、さっさと入れや!」




赤磐に促されつつ


ガラガラッ…


カオルを先頭に、4人は生徒会室に入室した。




カオル「あっ…」




ミカ「うっ」




たじろぐ4人。


生徒会室の中は、長テーブルを「コ」の字で囲まれており、上級生がズラリと並んで座り、

入室して来たカオル達を見据えていたのだ。




エレノア「あら」




赤磐「会長、連れて来ましたよ♪」




赤磐はそう言いながら、端の方の空いている椅子に着席。

機嫌良く背もたれに、ドッカリと寄りかかり始める。




カオル「あ、あの~…」




状況がイマイチ把握出来ないカオル達。

キョロキョロと教室内を見回すカオル達に、透き通る声がかかる。




「わざわざ呼び出して悪かったね」

声の方向に視線を合わせると、「コ」の字形に組まれた長机のド真ん中に鎮座する、

清楚な女性が笑顔でこちらを向いている。




カオル「あ、あの…」




「あははは、失礼(笑)

いきなり連れて来られて、この状況が理解出来ないのは道理。自己紹介しよう」




と、上級生らしき女生徒が立ち上がる。

ふわっとした軽さの、栗色の髪。きりっと整った目鼻立ち。

大人の女性の色気と、年相応の若さを兼ね備え、

気品を漂わせる「綺麗なひと」が、カオル達に向かって挨拶する。




「はじめまして♪私が本校の生徒会長、伊達庸子です」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ