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オキュパイド・アース ~占領下の地球~ 原案  作者: 振木岳人
国連軌道宇宙軍編
14/77

母、レイコ・F・ムナカタ




場所は変わる


ここは、とある下層階の一般居住地。単身者用の狭い居住地とは違い、

家族仕様の大きめに仕切られたエリアである。

その中の一つ、玄関の表札に【ムナカタ】と書かれた家。


ムナカタ・カオルやショーン、ミカ、エレノア達が国連軌道宇宙軍の教育実習を終え、

再び学校に通学して来た前日の夕方の話。


バス、キッチンと居間と個人用の部屋が2つ。その、ごく一般的なムナカタ宅のカオルの部屋の中。

ベッドと勉強机、ごくありきたりな部屋の壁には、亜宇宙戦術空母群旗艦「キング・アーサー」や、

軌道フリゲート艦隊の旗艦となった、コンステレーション級1番艦「ジェミニ」など、

国連軌道宇宙軍の公式ポスターがベタベタと貼ってあった。


机に向かい、真剣に勉強しているカオルに、キッチンから声がする。




「カオル!ご飯出来たよ」





カオル「はぁい!」




カオルを呼ぶ声に反応し、まるで尻尾を振る子犬の様に部屋を出て、居間に向かうカオル。

テーブルの上からはスパイスの効いた食欲をそそる香り、今日の夕飯はカレーライスだ。




カオル「おお♪今日は何て贅沢な」




「冷めない内に早く食べなさい」




居間から覗くキッチン。エプロンをかけた母の後ろ姿が見える。




カオル「母さんは?」




母「今、自分の持ってくから」




カオル「じゃあ…お先に、いただきまぁす♪」




カオルの目の前には、ちょっと深みのあるシチュー皿が置いてあり、

そこには、白いツヤツヤのご飯と、市販のペーストを使用しない、

母手作りのカレーソースが、たっぷりかかっている。

そして、豚カツとはいかないまでも、鶏肉のカツレツがカレーの上に、トッピングされていた。




母「鶏肉あったからフライにしたよ、カレーとご飯はまだあるから、おかわりしてね」




カオル「わは♪」




自分の皿を持って、母もテーブルにつく。


細くて長い、みずみずしい黒い髪を首筋で束ね、黒くて深い瞳が印象的な女性。


カオルは、この若い母が好きであった。友人から「マザコン」とからかわれようとも、

親として、母として、たった一人の家族として、親愛の情を捧げる事に、何ら違和感を覚える事はなかった。


この最高の母、レイコ・F・ムナカタを、

この、【レイコ・フェイシャ・ムナカタ】を。




カオル「ねえ、母さん」




レイコ「ん、なに?」




カオル「ごの…カレーライズ…あじだ…べんど」




レイコ「…食べながら喋らない(笑)」




カオル「ご、ごめん…。母さん、カレーライス残ったら、明日学校に弁当で持って行きたい」




レイコ「弁当に…?冷たいと、美味しくないよ」




カオル「大丈夫♪僕にはコンパクトヒーターがあるから」




カオルが言う、コンパクトヒーターとは、

文庫本サイズの大きさで、

電子で物を温める、簡易調理器具の事である。


(*´ω`*) 外出先でも安心




レイコ「ぷっ(笑)そんなにカレー気に入ったの?」




カオル「うん♪カレーさえあれば、何か生き残れそうな気がする」




レイコ「あははは(笑)カオル、お前は可愛いなあ」




市販のソースやルーを使わず、母が小麦粉を炒める所から始めたカレーライス。

いたく感動したカオルは、終始笑顔で完食し、おかわりまでしたのであった。


なごやかな母子の団欒に包まれる室内、カオルが生まれて初めて、長い日々家を空けて教育実習から帰って来た、

その日の晩の事であった…。




ミカ「…」




ショーン「…で?」




エレノア「機密の話は?」




頭を抱える三人。

話終わって満足するカオル。


場所は今現在に戻り、教室の中。時間は昼休み、クラスの友人達は食堂へ。

ショーン達はカオルの話を聞こうと、食堂では食事をとらず、

購買でパンを購入して、カオルと一緒に教室で昼食をとっていたのだ。




エレノア「…で」




ミカ「カオルさあ…」




カオル「ん、何だい?」




ショーン「お前がお母さんの事好きなのは良くわかったけど…(笑)」




ミカ「わざわざ教室でカレー弁当あっためて」




エレノア「教室中スパイスの匂いで充満してる(笑)」




カオル「食欲をそそる刺激的な香りだよね♪」




(*´ω`*)カレーサイキョウ




ミカ「おばか(笑)午後の授業どうすんのよ」




ショーン「クラスの連中帰って来たら、パニック起こすぞ(笑)」




一年二組の教室


カレー臭が教室に充満し、教師も生徒もスパイスの誘惑に悩んだ午後の時間。

「教室内でのカレー弁当再加熱禁止」と言う校則が、出来たきっかけであった。





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