コロニー3【中京】 市立四日市東高等学校
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日本国のコロニー3【中京】
人口15万人の大規模工業コロニーで、工業生産力で言えば、
月面に拠点を構える月面工業都市「ニュー・シンガポール」に次いで二位の位置にある。
もちろん、人口15万人と言っても、全てが労働者と言う訳では無く、
配偶者、一家、一族、子供、商業者などなど…、
一つの社会を、その宇宙のゆりかごの中に構築させての、コロニー3【中京】である。
そのコロニー3は、下層が一般人居住区、上層は企業・工場エリア。
中層は商業と公共施設エリアに分かれている。
時刻は朝の8:25分
デイリー中京の堂上が、「取材に出掛ける」と言って会社を出た時間。
ここ、コロニー3【中京】の中層エリアにある、市立四日市東高等学校の校門前では、
教育実習明けで久々に通学して来た、カオル達の姿があった。
校門と言っても、エリアの入り口に校名の刻印されたプレートが壁に打ち付けてあるだけ。
通路は緩やかに視界の奥へと上昇し、左右に部屋が並ぶ、典型的なドーナツ型コロニーの屋内施設配置。
ただ、公共施設用に改装されているので、入り口から二階、三階が吹き抜けになっており、
また、教育施設であると言う理由をもって、天井部には【スカイ・モニター】、
天井全体をスクリーンにして、地球環境の【空】が投影されている。
校舎や体育館、プールなど、「見るからに」学校と言う様相は無い。
あくまでも、ドーナツ型コロニー構造に準じていた。
その市立四日市東高等学校の校門、ちょうど学校名が刻印されたプレートの前に、
ミカ・カートライトと、エレノア・シグニスが並んで立っている。
通学してくる生徒達の中に、ムナカタ・カオルとショーン・カザマの姿を見つけたのだ。
ミカ「おお、来た来た♪」
ショーン「おはようっす」
エレノア「おはよ」
カオル「おはよう」
教育実習が始まるまでは、特別仲が良かった訳でも無いこの4人。
キンゼイ艦長主催の、「あの」特別授業を経て、いつの間にか互いの距離が近くなっている。
あくまでも友情。将来に飛躍する事を夢見た、同じ志しを持つ仲間同士としての距離だった。
ショーン「いやあ…昨日は参ったよ(笑)親に聞かれて、ここまで出そうになった」
自分の右手を、自分の喉で水平に振るショーン。
ミカ「わかるわかる(笑)実習のほとんどが大気圏退避だから、親に話す事少なくてね」
通路を進む4人。目指すは学校エリア一番奥にある、一年二組。
四日市東高等学校は、全校生徒200人の中堅学校で、一年生は総勢60名。
一組とカオル達4人のいる二組とがある。
「ミカちゃんおはよ♪」
ミカ「あ、ハナちゃんおはよう♪」
ミカに明るい声で挨拶し、そのままカオル達の脇をすり抜け、小走りで教室へ向かう少女。
元々彼らは、市立四日市東高等学校へ入学し、4月中盤から国連軌道宇宙軍の教育実習に出ていた身。
要領の良い子なら、4月半ばにもう新しいクラスの友人が出来ていても、おかしくは無いのである。
ショーン「エレノアは大丈夫だった?親に色々聞かれたんじゃ?」
エレノア「ふふふ、全然平気。だって、国連軌道宇宙軍の機密情報を漏洩して、
無事だった人間はいないって言ったら、お父さんもお母さんも黙っちゃったわよ」
ミカ「そりゃあ、黙るわよ(笑)」
カオル「何か…エレノアの両親が不憫に感じる」
エレノア「人の事なんてどうでも良いの。
私は重度のマザコンでお馴染みの、ムナカタ君の話が聞きたいわ」
カオル「ぼ、僕?」
ショーン「大好きな母さん…か、思い出した(笑)
そうだよ、俺もエレノアと同じで、カオルの事聞きたい」
ミカ「私も興味ある(笑)あれだけべた褒めしてたお母さんなんだから、
コロニーに帰って来て色々話たんじゃないの?」
カオルに視線が集中する。しかし、一年二組の教室は目の前。
一時限目の時間も迫り、あまりのんびりしていられない。
カオル「授業が始まるから、また後でね」
ショーン「な~んだよ、つまらんなあ」
エレノア「そんなに…時間を費やす話になるの?」
カオル「あ、いや。そう言う訳じゃ…なくて」
エレノア「じゃあ、どういう訳なのよ(笑)」
珍しく、無表情のエレノアがクスクスと笑っていた。




