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今年も本作品をよろしくお願いいたします。


m(__)m



またアルファポリス様のランキングに参加しましたのでポチッと、どうか!!どうかお願いいたします!!(願)

オルガの防衛に成功したどころか帝国軍を返り討ちにしたパラベラム軍は戦後処理を妖魔軍に任せるとすぐさま各地に向け転進、航空機やヘリの空爆を受けて弱体化した帝国軍に大攻勢をかけ始めた。


「……ここもか」


各地に散らばっている帝国軍の残存兵を赤子の手を捻るように簡単に殲滅していくパラベラム軍だったが、とある問題がパラベラム軍の進撃を著しく阻んでいた。


「第17偵察小隊よりHQへ。目標の村に到着。……ここも死体だらけだ」


『HQ了解、増援を送る。……念のため生存者の有無を確認せよ』


「……了解、これより生存者の有無を確認する。オーバー」


その問題とは帝国軍が妖魔連合国内で虐殺し放置した妖魔族の遺体処理だった。既に腐敗が進み鼻を突くような悪臭を放ち始めている遺体をそのまま放置しておく訳にも行かず、また伝染病の発生・蔓延などが危惧されたことからパラベラム軍は妖魔軍と連携して帝国軍の殲滅を行いつつも各地の村や街に部隊を派遣し遺体の処理にあたっていた。


「行くぞ、お前ら」


「……了解」


「……またかよ」


「気が滅入るなぁ……」


口々に文句を口にしながらも第17偵察小隊の面々は伝染病を防ぐためにガスマスクを被りM4カービンを手にすると軽装甲機動車から降りてコバエのような羽虫が集り腐臭を放つ死体が山積みにされている村の中へと入って行った。


「お前ら、気は抜くなよ。遺体を食いに来た魔物や魔物化した妖魔族、妖魔族のゲリラが俺達を帝国軍と勘違いして襲って来るときもあるんだからな」


「「「了解」」」


隊長の言葉に気を引き締めた隊員達は村の中に三々五々に散っていき、いるはずもない生存者の捜索を始めた。


「……そっちは?」


「……こっちも同じです」


家の中を捜索しほぼ恒例と化している光景を見てきた隊長が隣の家から出てきた部下にそう問い掛けると俯き肩を落とした部下が答えた。


「そうか……。なら中は女性兵士達に任せよう」


「……了解です」


妖魔軍の兵士とパラベラム軍の兵士が乗っている2台の74式特大型トラックが、ちょうど村に向かって走ってくるのを視界に入れつつ隊長はそう言って部下の肩を叩いたあと、M4カービンを置きスコップを手にすると墓穴を掘るために村の裏手に向かった。


帝国軍の進攻を受けパラベラム軍によって奪還された地域ではそんな光景が毎日のように繰り返されていた。














――――――――――――


「……」



デイルス基地の司令部にある総統専用の執務室ではカズヤが大量の書類に埋もれながら各部門からあがってきた報告書に黙々と目を通していた。



――コンコン


「失礼します。ご主人様、お飲み物をお持ちいたしました」


そんな時、千歳がメイドのレイナとライナを伴って部屋に入って来た。


「あぁ、ありがとう。ちょうど飲み物が欲しいと思っていた所だったんだ」


礼を言いつつカズヤが報告書から手を放すと飲み物や軽食を乗せた台車を押していたレイナとライナが素早く飲み物を準備しカズヤに差し出した。そしてカズヤが飲み物に口をつけ一息ついたところで千歳が口を開く。



「……ご主人様。少しお休みになってはいかがですか?戦いが始まってから約1ヶ月の間まともに休んでおられませんし」


「ん?あぁ……。だが前線の兵士が戦っているのに上が安穏と休んでいるのは示しがつかないだろ」


「ですが……」


日夜、書類と格闘しパラベラム本国とデイルス基地を何度も行き来するカズヤを見かねて千歳が休むように言いカズヤはそれを断ったがその後結局、千歳に諭されてカズヤは休みを取ることになった。


そうして突然出来た休日だったが、特にすることもなかったカズヤは気分転換でもしようと思い妖魔連合国の首都――ベルージュに赴くことにした。


その際カズヤは千歳も誘ってみたのだが、千歳はカズヤの仕事で肩代わり出来る物をこなすためにデイルス基地に残ったためカズヤは少数の護衛とメイドのウィルヘルム、キュロットを連れベルージュに向かった。


「で、なんでローザングルがここに?」


ベルージュに向かうハンヴィーの車内でカズヤはいつの間にやら、ちゃっかりと隣の席に座っていたフィーネに問い掛けた。


「お前と一緒に居るのが私の仕事だからだ」


アミラからはメイドでもいいと言われたが他国の姫をメイド扱いするのは不味いだろうということになり結局の所、オブザーバーという何とも微妙な名目の役職に就いたフィーネはカズヤへの隔心を隠す気もないのか、敵対心を含んだ棘のある視線をカズヤに向けていた。


好きなように呼んでくれて構わないと言ったらお前と呼ばれることになるし……ずいぶんと嫌われたもんだ。


………………しかし、アミラも似たような服を着ていたが、その服はなんとかならないのか?目の保……いやいや目に毒だ。


布地の面積が少ないチャイナドレスのような服を着て大胆にもムッチリとした褐色肌の太股や揺れ動く巨乳の谷間を惜し気もなく晒しているフィーネに対しカズヤが肩を竦めたり目のやり場に困っている間にもハンヴィーはベルージュに向かって走り続けていた。


そうして数分後、ベルージュの周りに出来上がってしまったスラム街を抜けベルージュに入ったカズヤはハンヴィーを降りて適当に大通りを散策していた。


「旨いなこれ……。ローザングルも食べるか?」


露店でジュウジュウと食欲をそそる音をたて売られていた焼き鳥のような物を数本買ってそのうちの1本口にしたカズヤはフィーネにも焼き鳥を勧めた。


「い、いらん!!」


「……本当に?」


「ぐっ…………………………頂こう」


「ほら」


現魔王の娘、しかも上流階級の出ということもあり、このように街中に出た経験があまり無いのか、カズヤ以上にキョロキョロと周りに視線を配っていたフィーネにカズヤが焼き鳥を差し出すとフィーネは長い沈黙の後にその美味しそうな匂いの誘惑に屈したのか恐る恐るカズヤから焼き鳥を受け取りじっと眺めたあと小さく口を開き焼き鳥に口をつけた。


「おいしい……」


「それは良かった」


「……っ!!ふ、ふん!!」


フィーネが思わず口にした感想にカズヤが笑って返すとフィーネは真っ赤になってソッポを向いてしまった。そんなフィーネをカズヤが苦笑して眺めていた時だった。


「離せよ!!」


そんな声が聞こえカズヤが声のする方に視線を向けるとカズヤ達のいる場所から少し離れた所に人だかりが出来ていた。


興味本位でカズヤがその人だかりに近付いていくと人だかりの中心で小さな子供が大人に腕を捕まれて騒いでいた。


カズヤが何事かと思い護衛に話を聞きに行かせると、なんでもスラム街に住む子供が露店に並んでいた食べ物を盗もうとして店主に捕まったとのことだった。


「……食い物が足りてないのか?避難民達に食糧の配給は行われていると聞いているが」


話を聞いたカズヤがそんな疑問を口に出しフィーネの方を向くとフィーネは少しバツが悪そうにカズヤの質問に答えた。


「……母様もなんとか遣り繰りして避難民達に食糧の配給を行ってはいるが、避難民の数が多すぎて十分な量は配れていないのだ。……食糧は軍に優先的に回されているからな」


「……そうなのか」


そんな風にカズヤ達が喋っていると人だかりがいつの間にか消え、件の子供だけがそこに残されていた。すると何を思ったのかカズヤが子供に近付いていった。


「そ、総統!?お待ちください!!」


「なぁ、お前さん腹が減ってんのか?」


カズヤが護衛の制止を聞かずに茫然とその場に立ち尽くしていた子供――薄汚れているが体型からして少女に近寄りそう問い掛けた。


「……なんだよ、おっさん」


お、おっさん!?まだ10代後半だぞ!?俺は!!


「フフッ、アハハ、おっさん……っ」


「ローザングル、笑わないでくれ。地味に傷つく」


カズヤが少女におっさんと呼ばれたことにフィーネが堪えきれずに笑いだした。


「まぁいいや。いや、良くないけどさ……。でどうなんだ?」


「減ってなきゃ盗みなんかしねぇよ!!」


「そりゃそうか……。じゃあほら、これをやろう」


カズヤはそう言って先程購入した焼き鳥の残りが入った袋を差し出した。


「いいのか!?」


少女はカズヤの言葉に目を輝かせ表情を明るくすると奪い取るようにカズヤから焼き鳥の入った袋を受け取った。


「他にも欲しい食べ物があったら買ってやるぞ?あぁ、だけど条件――いや、お願いがいくつかある」


「……なんだよ」


カズヤが条件と言った途端少女は敵意と不安が混じった眼差しでカズヤを見たが、食べ物がもっと手に入るかもしれないこの機会を失いたくないのか警戒しつつもカズヤに質問した。


「そう警戒するな、お願いは3つ。1つ目、俺のことをおっさんと呼ばないでくれ。2つ目、お前さんの名前を教えて欲しい。3つ目、少し話を聞かせてくれ」


「……そんなことでいいのか?」


最初、少女は体でも要求されるのではないかと思っていたのだが、カズヤのお願いを聞いて肩透かしを食らったのか目をパチパチとしばたたかせ言った。
















――――――――――――



「――で、お母さんは病気になっちゃったし、まだちっちゃい妹もいるし私がなんとかして食べるものを手に入れないと生きてけないんだよ」


「ふむ……」


カズヤのお願いを聞き入れ小さい両手に持ちきれない程の食べ物を手に入れた少女――ハーフエルフのベルは広場にあったベンチに腰掛けながらカズヤから問い掛けられたいくつもの質問に正直に答えていた。


そうしてベルに聞きたいことを全て聞き終えたカズヤは瞑目し少し思案した後、護衛の兵士に無線機を借りてどこかに連絡を取った。


「なぁ、もう帰っていいか?お母さんと妹に早くこれを食べさせてやりたいんだよ」


「ん?そうだな。もう聞きたいこともあらかた聞いたしもういいぞ。あぁ、そうだ家まで送ってやろうか?大量の食糧を持ってスラム街を歩くのは危ないだろ」


「んー。じゃあ、頼む」


カズヤの申し出をベルは素直に受け入れた。


「じゃあ行くか」


「こっちだよ」


お世辞にも治安がいいとはいえないスラム街にある家に帰るというベルの身を案じたカズヤはベルを家まで送ることにしゆっくりとベルの後を追って歩き始めた。その際、護衛の兵士からカズヤがスラム街に行くことに反対する意見が出たが、カズヤがあることを教えると護衛の兵士はそれならばと引き下がった。


「なにあれ……」


「なっ!?あれは一体どういうことだ!?」


そうして長々とたわいもない話と寄り道をしながらカズヤ達を引き連れて家のあるスラム街に帰って来たベルは、スラム街に入るなり目の前に広がる光景にポカンと口を開き絶句し同時に何も事情を知らなかったフィーネがカズヤに食ってかかった。


「ん?あれか?あれは野外炊具1号改と野外炊具2号改だな」


「……?」


「私はそんなことを聞いているのではない!!なぜお前の部下達がここで食糧の配給を行っている!?」


カズヤの答えを聞いて頭の上にいくつもの?マークを浮かべて首をかしげているベルの横ではフィーネがカズヤの的外れな答えに苛立った様子でカズヤに詰め寄り事情を問いただしていた。


そんなベルとフィーネの視線の先ではパラベラムの兵士達が仮設の天幕を張り野外炊具1号改や野外炊具2号改等を使用し準備した温かい食事を避難民達に配ったり病院天幕の中で病人や怪我人に対して治療を行っていた。


「あのような行いには感謝するが!!我々には……その……恥ずかしながら……対価を……支払う……余裕が……ない……と思う……」


最初は勢いがよかったフィーネの語調も途中から花が萎んでいくようにどんどんと弱まっていき最後には消え入るような声でブツブツと呟くように喋っていた。


「ハハッ。なんだ、そんなことを気にしていたのか。大丈夫だよ何も要求したりしないよ。あれは人道――」


「なぁなぁ」


「ん?」


そんなフィーネの様子に苦笑しながらカズヤが答えていると横から袖をクイクイと引っ張られた。カズヤが引っ張られた方に顔を向けるとベルが慌てた様子でこちらを見上げていた。


「あのさ、まさかさ、お兄さんがあの人達呼んだのか?」


「ん、そうだが?」


「……………………お兄さん、一体何者なんだ?」


ベルは疑念と興味心の入り交じった視線をカズヤに送った。


「パラベラムの総統だ」


「…………えーと、パラベラムの事は私も噂話で聞いたことがあるから分かる。異世界からやって来て私達の国に攻めて来た帝国軍をやっつけてくれている国のことだろ?……でも総統ってなんだ?」


あぁ、総統って言っても分からんか。


「王様だ」


「は!?――……えっ!?えぇぇーー!?」


カズヤの言い直した答えを聞き一瞬固まったベルだったが直後に大声を上げて目を見開き驚いていた。そんなベルの顔を見てカズヤはいたずら成功とばかりにニヤニヤと笑っていた。


















――――――――――――



カズヤの正体を知ってからというもの借りてきた猫のようにおとなしくなったベルを家まで送り届け、また何か困ったことがあれば力になると言い残しベルと別れたカズヤは集まってきた大勢の避難民に食糧の配給や治療を行っている兵士達に労いの言葉を掛けるとデイルス基地に戻ることにした。

そしてベルージュからデイルス基地への帰り道ハンヴィーの車内で、ずっと何かを考えていたフィーネがおずおずと真面目な顔で姿勢を正しカズヤに問い掛けた。


「……おま――いえ、貴方に1つ聞きたいことがある」


「なんだ?」


「……貴方はなぜ兵達に食糧を配らせたり病人の治療を行なわせたの?避難民を助けても貴方には何の利益もないはず」


「……まぁ損得勘定で言ったら損しかないがな」


困ったように笑いながらカズヤが答えた。


「ではなぜ?」


カズヤの答えを聞いて、なおさら分からないといった風に首をかしげたフィーネが言葉を重ねた。


「そりゃあ、俺も聖人君主じゃないから打算的な考えは多少あるが……」そう前置きした上でカズヤはフィーネを見据えて言った。


「自分に余裕があって目の前で困っている人がいたなら助けるだろ」


「……」


自分が予想していた答えとは、かけ離れたカズヤの答えを聞いてフィーネは固まる。


「………………それが理由か?」


「そうだが?」


硬直化から解け、ようやく声を発したフィーネは聞き返された言葉に真顔で返すカズヤに呆れたような視線を送り言った。


「貴方は甘いというか、優しいというか、はぁ〜。……………………だが――――。」


フィーネが最後にボソリと呟いた言葉は誰の耳にも届く事はなく消えていった。

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― 新着の感想 ―
職場でタメ語で話していた相手が実は社長だったと云う心情だねwww
2025/11/18 16:51 チャッピー
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