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「申し訳ありません、遅れました」


会議室の扉をガチャリと開け、室内に入ると急ぎ足で自分の席に着く千歳。


「よし、全員揃ったな」


サッと周りを見渡し、必要な人員が揃った事を確認したカズヤが口を開いた。


「皆に緊急召集をかけたのは他でもない。我が領内に渡り人が出現したと思われるからだ。千代田、説明を頼む」


「はっ、事の始まりは昨夜。旧妖魔連合国領に展開中の観測部隊がパラベラム主導で行われた入植事業の一環として作られたカノーネ村の近くで異常な電磁波をキャッチ。そのため本日明朝偵察部隊を派遣しました。しかし当該地域に偵察部隊が到着した直後、突然偵察部隊との通信が途絶。それから1時間後の事です。マスターの私的な携帯に第5工兵大隊のトーマス・マスタング軍曹及び偵察部隊の隊長であるヤーコフ・パヴロフ少佐からの電話が入り、内容は電磁波の発生地点にダンジョンを発見。そしてダンジョンを調査しようとした際に突然現れたエントの大群に襲われているというものでした」


「ちょっと待って下さい。何故一介の軍曹や少佐がカズヤ様の私的な携帯に電話を掛ける事が出来たんですか?」


千代田の話を遮り、列席していた伊吹が疑問の声を上げた。


「それは以前俺が(旧)妖魔連合国のスラムで知り合ったベルという少女に何か困った事があれば使えと言って携帯を渡してあったんだが、その少女がカノーネ村に居たらしい」


「そうでしたか」


「続けても?」


「えぇ」


疑問が解消された伊吹は千代田の問い掛けに頷く。


「ゴホン。その電話を元に偵察機を飛ばしてみた所、カノーネ村が霧に覆われ、また報告にあった通りカノーネ村の近くにダンジョンらしき建造物を確認致しました」


「……帝国を滅ぼしたと思えば今度はダンジョンか」


「はい。こちらが写真です」


頭痛を堪えるように眉をひそめ、ぽつりと呟いた千歳に答えるように千代田が3Dホログラムで赤外線で撮影した航空写真を立体化させると、以前の比較写真にはなかったはずの建造物がそこにはあった。


「私見だがこれは渡り人の仕業だと思う」


ダンジョンの生成能力かダンジョンを能力の代わりに貰ったのかは知らんが、またややこしい力を持ったヤツが来たもんだ……。


カズヤの言葉に皆が黙って頷いた。


「現在、即応部隊が救援に向かっていますが、現地にいる彼らと連絡が途絶えてから30分以上経ちます。ですから恐らくは……」


それ以上は何も言わずに首を横に振る千代田。


「しかしながら先ほどカノーネ村から脱出して来たというマスタング軍曹とマスターの知り合いであるベルという少女の2人が即応部隊に保護され、偵察部隊が得ていた詳細な情報を得ることが出来ました。こちらをご覧下さい」


そう言って千代田はプロジェクターのスイッチを入れる。


「“栄光を求める者は百の階層を踏破し、我が元へ辿り着いてみせよ”……か」


「はい。この建築物の正面に書かれた文章から察するにダンジョンは百階層から成る地下式のモノだと思われます」


ダンジョンの入り口を写した写真にはカズヤが口にした言葉が刻み込まれていた。


「とにもかくにもだ。我々の目的は2つ。カノーネ村にいる部隊と村人を救出し、そしてダンジョンの最深部にいるであろう渡り人の捕縛又は殺害だ」


「準備は既に万端です。ご命令を」


「やれ」


「承知致しました」


カズヤの短い一言がダンジョン攻略戦の開始の合図となった。




「HQより第37砲兵連隊及び第711特殊作戦中隊へ通達。これよりフリーダム作戦を開始する」


『こちら第37砲兵連隊、了解』


『第711特殊作戦中隊、了解した』


司令部の連絡と同時に戦域に展開していたBM-21グラートが焼夷弾頭の122mmロケット弾を轟音と共に発射。


またそれに続いてTOS-1ブラチーノが30本の砲身から次々とサーモバリック爆薬弾頭の220mmロケット弾をこれでもかとばらまく。


それにより霧の海に沈むダンジョンの周辺で次の侵入者達を待ち受けていたエント達を火炎地獄へと叩き込む。


そして最後に第711特殊作戦中隊の多数のMC-130コンバットタロンがBLU-82B――デイジーカッターを集中投下。


投下されたデイジーカッターは元々の――森林を吹き飛ばしてヘリコプターの着陸地点を整える能力をフルに発揮。


約1メートル長の延長信管により地表付近で起爆し、クレーターを穿つことなく地表付近で最大の破壊をもたらすと非常に大きい爆風半径にエントを巻き込み、エントを凪ぎ払う。


そうして地上における障害をあらかた排除し、霧を強制的に霧散させると作戦は次の段階へと移行。


「こちらHQ。バイパー1、バイパー2へ。攻撃を開始せよ」


『こちらバイパー1、了解』


『バイパー2、了解』


ダンジョンの上空で待機していたF-15Eストライクイーグルへ攻撃許可が伝えられると、早速ダークグレーで塗装された2機のF-15Eが爆撃態勢に入る。


『ターゲットロック。ヨーソロー……爆弾投下!!』


2機のF-15Eから計4発投下された5000ポンド級のレーザー誘導地中貫通爆弾――GBU-28、通称バンカーバスター。


弾体に退役したM110 203mm自走榴弾砲の砲身を用いたこの爆弾はアメリカ軍が砂漠の嵐作戦でイラクの地下深くに存在するイラク軍司令部を破壊する目的で特別に開発したものである。


ちなみに今回投下されたバンカーバスターは弾体の内部にトリトナール爆薬では無くMA弾を仕込んでおり、レーザー誘導地中貫通型物質分解爆弾となっていて、その脅威度は従来のモノを遥かに上回っていた。


『目標に命中!!』


目標に吸い込まれて行ったバンカーバスターの姿を見届けたバイパー1の報告の直後、ダンジョンに深々と刺さり込んだバンカーバスターが地中深くで炸裂。


ダンジョンの第1階層から第16階層までを文字通り消し飛ばし、直通路を穿って見せた。


「HQより親衛隊第1特殊機械化降下猟兵大隊へ。地上付近はオールグリーン。目標への突入を開始せよ」


爆撃により侵入口を確保したパラベラムはとっておきの精鋭部隊を空中投下し、ダンジョンの内部へと兵力を押し進めたのであった。

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