翼をください
テッちゃんと待ち合わせたのは地元の駅に午前9時だった。
アタシは休みを取っていたパパの車で送ってもらい、
テッちゃんは現在遠距離恋愛中の超美人の彼女サンのお見送りでそれぞれ登場。
昨日会場にも来てたんだけど、アタシもメンバーもみんな彼女サンと仲良し。
この2人も高校の時からのお付き合いなんだって。
ファンの人も知ってる人は知ってるしもちろん事務所も了解済み。
まるでミヒロさんと流雅サンの関係みたいだな。
彼女サンの仕事のタイミング次第で婚約するってコトも事務所に報告済み。
「じゃあひーちゃん、テツヤをよろしくね!」
なんて去り際にいわれちゃって。
よろしくされんのはいつもアタシなのに。
ソレをテッちゃんは黙って見守る。
「じゃな」
と彼女サンに。
さり気なさすぎだろ、手を振る仕草すら!!!
何なんだ!テッちゃんのさり気なさは!!!!!
もはや神業だ・・・。
ワンワーがグレイトロックの影響でそれなりに知られ始めた頃、色んな方面から良く、
“あんなイケメンだらけの逆ハーレム状態で良く平気だね”
ってイイ意味(?)イヤミも色んな意味でしょっちゅう言われてたケド、
その時はそんなコト言われるコトがビックリだった。
単純に音楽がやりたくてワンワーに入ったダケで、別にメンバーがかっこいいからなんて、そんなコトで加入したワケじゃなかったから。
たまたま入ったバンドがイケメンだらけだったってだけで。
イケメンを意識したコトも無かったし。
それどころか他のメンバーのあまりのハイレベルさに付いてくダケで必死だったから、尚更そんなコト思う“余裕”がなかった。
だから今、よくよく考えるとあの頃言われてたコトが今更ながらに納得出来るワ。
確かにみんなイケメン。
だけどアタシがあえてそう思い始めた頃にはアタシ的にはメンバーに対して100万%、仲間意識しか無かったから、
“かっこいい”とは思ってもソレはあくまでも“仲間”としてでしかなくて。
だから関に対してもドキドキするコトはあってもその先に発展するコトは結局無かった。
メンバーも関も、
“一緒にいるのが当たり前”
だったから。
今こうして改めてつくづくメンバーを意識して見ると、我ながら感心するワ。
確かによく何とも無かったなって。
ソレもコレも、きっと、
龍神サンのお陰なのかな。
恋愛感情が、
龍神サンに対して向き始めて来たから。
なんちゃって♪
『ごめんね、早くなかった?』
テッちゃんばりのさり気なさを装って。
(もちろんなってないだろうけど。)
「ぃや、全然んなコトないよ。アイツの出勤とちょうどカブったから。ガチでちょうどよかったよ。だから乗っかったから大丈夫」
なる程!
「さすがにモトさんに乗っかるには早過ぎかなって。モトさんには申し訳ないけどね」
理由も照れ笑いもさり気なさすぎだ‥。
モトさんは朝早めの新幹線で帰京。
テッちゃん、こっちでは同棲していたとは言え彼女サンがいない部屋に1人でいるのもどうかと思ったかららしく。
まぁそりゃそうだよね。
友達とかもみんな仕事らしく。
『仕事前に買い物行こうと思って』
「オレ、てっきり龍神サンのとこに昨日の報告に行くのかと思った。行かないの?」
ドキ→→→→→→→→→→→ン↑↑↑↑↑↑↑↑↑
何てコトない特に何の意味もない発言だろうけど、今のアタシにはちと刺激が強過ぎる・・・。
『特にそーいう話は。昨夜動画は送ったケド』
わずかに動揺。
と言ってもアタシとテッちゃんは夜別々の仕事がある。
他の、仕事がないメンバーは今日はOFF。
明日、昼前に関が成田を発つまで。
「何だ。今日は逢わないの?」
ホント、まるっきり悪気はないんだろうな、テッちゃん。
そりゃそーだよな。
まさかアタシが昨日からのわずかな時間でコロコロ気持ちが変わってるなんて、
さすがのテッちゃんでも思わないだろうし。
いつも通りに聞いてきてるダケなんだろうケド。
『何も約束してないよ』
アタシ的には100万%普段通りを装ってるんだけど、
「どうかした?」
どうやら普段通りを装えてないみたいで、
『えっ?』
キョトンとしたカンジのテッちゃんが、
「龍神サンと」
アタシのわずかな動揺をも察知していたみたいで、
これまたさり気なく聞いてきた。
!!!!!!!!!!
『ぃやっっつ。昨日動画送り忘れてて、お疲れ様メールがきて慌てて動画送ってそれっきりだから』
あからさまに動揺。
「ふぅ~ん」
何か言いたげなのか、わざとらしさ全開のテッちゃん。
アタシの心中は、爆弾低気圧の超大型台風。
昨日からの延長で(特に龍神サンに対して)。
『関に何にも用意してなかったからさ。何か買いに行こうかなと思って』
「なぁんだ!じゃあ一緒に行く?オレも買いに行こうと思ってたからさ」
何ともタイミング良過ぎ!
『テッちゃん何にするの?アタシ何にも考えてなくて』
思いついたのが昨日だからな、何せ。
「今んとこバックかなとは思ってた。アイツいつも手ぶらだけど、海外だったら何かしらバック持ってた方がイイんじゃないかと思って」
バックか。
確かにアイツいっつも手ぶらだもんな。
防犯的にもイイかもね。
「今日ちょうどひよに聞こうと思ってたんだ。ソレもあって一緒に帰ろうと思った。一応ひよは間違いなく用意するだろうからと思って、5人ででも、男子4人ででもどっちでも対応出来るようには考えてた」
あ゛っっっ。
ちょっと気まずい。
昨夜の昨夜までなぁ~んにも考えてなかったってばよ。
「ひよと純也には、オレらにはないキズナがあるからさ」
『えっ???』
ちょっと動揺。
“キズナ”???・・・
テッちゃん???
思わずキョトン。
今までそんなコト、メンバーからなんて言われたコトなかった。
ファンのみんなからはソレっぽいコト言われ続けてきたケドさぁ。。。
言う機会もなかったんだろうけど。
まぁとりあえず龍神サンネタは切り返せたからいっか。
にしてもぉ、、、
“キズナ”かぁ・・・。
「純也、言ってたよ」
ぅ゛え゛っっっ!!!
声にならない声。
アイツ、まさかっ↑↑↑
「昨夜、ひよが帰ったあと酔っ払い達の酔い醒め待ちついでに2人きりで話したんだ」
ビミョーな胸騒ぎ。
「モトさんは朝早いから先に帰してさ。アイツ、ずっとワンワーのひよがあるのはオレのおかげだって言ってくれてるけど、ソレはオレからしても全く同じだって」
・・・、ちょっと安心。
さすがに相手がテッちゃんでも考えすぎか。
「オレ、ひよみたいな関係のオンナ友達いないからオマエらがメチャクチャ羨ましいよ。アイツとも良く話してる」
『え゛っっっ!!!』
まさかその“アイツ”って?
「やっぱりさぁ、オレとアイツの関係と、ひよと純也の関係って全く別物でしょ?」
テッちゃん???
茫然、継続中。
今の“アイツ”は、おそらく彼女サン。
「なんかほっこりすんだよ、2人を見てると」
へっっっ?????
ますます茫然。
ほっこり???
アタシと関が?????
「多分みんなそうだと思うぞ?少なくともオレら4人はそう思ってるしな」
なっっっっっ!!!!!!!!!!
顔アツっっっっっ↑↑↑
「ツインボーカルになって初めてのライブの時、全員言ってた」
ふぅへぇ?
もう力が出ないよ、恥ずかしいのとワケ分かんないのとで。
「boss達があんなにあっさりOK出してくれたのも全員納得出来た。まぁ2人と会った時からいいコンビだなとは思ってたけど」
なっっっっっ!!!!!
『だってあの時点ではまだタダのクラスメイトだよ?面識ある程度だったし』
さすがに反論。
「こうなるようになってたんじゃない?」
えっっっっっ?????
“こうなるようになってた”?????
“オマエが龍神サンに影響を受けた時点でこうなるようになってた”ってヤツ!?
ぃやっっっ!!!違うだろ!
慌てて脳内整理。
“運命共同体”・・・。
“一卵性双生児”・・・。
そっちだろ。
少しボーっとした後、吹き出し笑いをしてしまった。
「ひよ?」
キョトンとするテッちゃん。
『昨夜、帰ったあとに関からメールがきて、改めてってお互いの気持ちをメールしたんだけど、関がウチらのコトを、“運命共同体”とか、“一卵性双生児”って表現したの。ソレを思い出して』
テッちゃんはただ一言、笑顔で
「へぇ」
とダケ。
『なかなかイイ言葉だなって。アタシはイマイチ思い付かなくて』
思い出し笑いしながら。
「オレは、“ありがとう。”の、“相方”って表現もなかなか好きだよ。オレもひよの言ってた“相方は臓器”っての、何かで聞いたコトあるし」
どことなくゆっくりとした時間が流れてる気がした。
“こうなるようになってた”
“オマエが龍神サンを好きになった時点で既に手遅れだった”
この2つが何となく、意味もなくシンクロする。
“運命”か・・・。
ぅ゛お゛ぉぉぉぉぉ↑↑↑
また歌詞が浮かんできたよぉ!!!!!!
慌ててスマホのメモに入れる。
入れながらテッちゃんに問い掛けた。
『テッちゃんはさぁ、“運命”って、あると思う?』
何の気なしにあっけらかんと。
全くもって深い意味はなく。
「もちろん!!」
ビックリする程に即答だった。
「運命も奇跡もみんな必然だと思うよ」
えっっっ?
“運命も奇跡も必然”???
イマイチ理解に苦しむアタシ。
「“奇跡”に引き寄せられるのが“運命”だと思うし、逆もまた然りだと思う」
何?この眩しさは。
さすがワンワーの作詞作曲工房だワ。
“オマエが龍神サンに影響を受けた時点でこうなるようになってた”がまたしても思い出されて1人でムダに焦る。
その反面、思わずぽかんとしちゃう。
でもカッコいい!!
「カッコいい?」
テレ気味で。
アタシは間髪入れずに激しく頷く。
「実はコレ、昨夜のライブ中に浮かんだんだ。もちろん歌詞に使わせてもらうよ」
えっっっ?昨夜のライブ?????
もしかして?????
気付いてフリーズ。
まさか?????
「そう、ひよと純也を見てて」
ぃやぁぁぁぁぁ→→→恥ずかしいぃぃぃ↑↑↑
ソッコーで赤面。
「何回も抱き合ってんの見ながら今までの2人のコトを思い出しちゃって。そしたらフッと降りてきた」
テッちゃんは至って冷静だったケド、当の本人は尋常じゃない程の冷や汗もので。
『そんなカッコいいフレーズ、ウチらにはとてもじゃないけど勿体なさすぎだよ!』
アツぅぅぅ。
「何言っちゃってんのさ。カッコいいのはひよと純也の方だよ」
ぃやめてぇぇぇ↓↓↓
恥ずかしすぎてうずくまってしまう。
“奇跡に引き寄せられるのが運命”
かぁ。
車窓の外の景色を見ながらふと考えた。
確かにそうかもね。
やっぱりかっこいいワ、このフレーズ。
奇跡・・・か。
“アタシが龍神サンに影響を受けた時点でこうなるようになってた”のも、奇跡からくる運命ってコトなのかな。
しつこいっての!!!
・・・でも自分で言うのもなんだけど、まんざらでもないかも。
自分でも思い当たる節があるだけに、何だか物凄いコトバだなって我ながら感心。
やっぱりテッちゃんは天才だワ。
「ひよと龍神サンも然りかもね」
ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ→→→→→→→→→→!!!!!
足のつま先からアタマのてっぺんまでを音速で閃光が駆け抜けたような感覚だった。
衝撃と恥ずかしさとの。
今のアタシ、完全にフリーズ。
心臓飛び出しで。
音速で駆け抜けた閃光はアタマのてっぺんすらも余裕で突き抜けた思いだ。
「ひよ?」
テッちゃんの呼び掛けは、聞こえてはいたし脳にも届いてたけど、返事出来る状態ではなかった。
「だってさぁ、凄いよ」
アタシの状態を気遣ってなのかそうじゃないのかはこの際どうでもよく、テッちゃんは話を続けた。
「ひよが付き合いで行ったライヴで龍神サンに惹かれてバンドを始めてデビューして龍神サンに良くしてもらって。コレって完全に初恋だよね。ぅあっっっ!!また降りてきた!!」
出たっっっ!!
ごくまれに見せる“天然テッちゃん”。
自分で話す内容に感心したり、話してる最中に突然“音楽の神様”が降臨したり。
スゴいコトなのに他のメンバーは“天然”呼ばわりしてる。
普段見せない姿だからみんなも形容しにくいみたいで、付いた名前が“天然テッちゃん”。
アタシのブチ切れ、
テッちゃんとまぁくんの意見の合致と並んで、
“ワンワーの3大好機の兆候”
とされているとかされてないとか。
何せ1つにアタシが絡んでるだけあってイマイチ何ともはやだったりしちゃう。
まぁアタシがブチ切れた後は決まって事態が好転するし(言わずと知れた優勝前のメンバー間のトラブル、関のボイコット事件、真壁事件)、
普段は合わないテッちゃんとまぁくん2人の意見が一緒だったらその意見は絶対的に上手く行くのも周知の事実。(関の加入他)
“天然テッちゃん”が現れた時に出来た曲は決まって名曲と呼ばれる。
だからアタシは今、モーレツに興奮している。
“また名曲が出来る“
って。
さっきまでのフリーズが一気に吹っ飛んだ。
何てったって“天然テッちゃん”をアタシ1人で見ちゃったんだから!!
こっそりみんなにメールを一斉送信。
“天然テッちゃん現る!!”
って。
隣のテッちゃんは夢中でスマホに浮かんだ歌詞を入力してる。
覗き見したい気持ちを抑えて、気を紛らすべく手に持ってたままのスマホをチェックしようっと。
だぁぁぁぁぁ!!!!!
いつの間にか龍神サンからメールが来ていた。
またしてもフリーズ。
アタシ、昨日から精神状態忙しすぎ・・・。
良く疲れないよなって、我ながら思う。
大きく深呼吸してメールを開いた。
“お疲れ様。今日帰ってくる?夜時間ある?”
あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
何なんだこの理解不能なテンション↑↑↑
困惑、でも嬉しい、ぃや恥ずかしさMax、なぜか焦り、当然硬直&緊張、でも昇天するくらいコーフン、かと思えば逃げたい気持ちもあって。
何?何なの??このテンションは!!!!!
の割にはしっかり返信。
“今向かってます。18時から事務所で打ち合わせです。その後は明日の関の見送りまでフリーです。“
ココロはどんだけ大暴れしててもカラダはいつもの条件反射を示すんだな。
手が勝手に動いてる。
間もなくして返信が来た。
“話がある。メシ、イイ?”
ぅわぅわぅわぅわぅわぁぁぁぁぁ→→→。
珍しいコトじゃないのに今日はとてつもなさすぎに敏感に反応してしまう。
さすがに即レス出来ず。
嬉しすぎる!昇天しちゃいそう!!失神しそう!!!
ハナシって何のハナシぃぃぃぃぃ???
今すぐにだって逢いたいです!!!!!!
な、の、に、、、
押せない→→。
“ハイ”
の二文字が。
どうしようぅぅぅぅぅ。
「ひよ?」
隣のテッちゃんがすかさずアタシの異変に気付く。
『ハイって押して』
引きつったままテッちゃんにスマホを渡す。
一瞬怪訝そうにしながらもすぐに笑顔で受け取ってくれた。
「メール。龍神サンから」
受け取ってすぐにテッちゃんに渡された。
えっ?
無言で受け取る。
返信が遅かったからかな。
“仕事のな。モトさんとテツにもオレから連絡する。”
仕事のかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
・・・・・、そりゃそーですよ!
当たり前ですよ!!
分かり切ってるクセに1人で勝手に緊張してるダケですよ!!!
解ってますよ!!!!!!!!!!
・・・・・・・・・・アホかアタシ。
ぃや、アホだ。
史上最強、ぃや、生物学上、ぃやぃや、宇宙イチの大バカやろーだ。
見るなり即レス。
“了解です。”
はぁぁぁぁぁ。
完全自爆。
殺人的な虚しさに襲われる始末。
でも仕事の話でアタシに?しかもこんな急に。
「オレも龍神サンに呼ばれた。何か聞いてる?」
龍神サン、メール速っっっ!!
返事は冷静に。
無言で首をヨコに振る。
『何だろね』
2人で首を傾げてしまった。
「まぁ、行けば解るよ」
いつもの笑顔で。
そりゃそーだな。
東京に着き荷物をとりあえずコインロッカーに預け、買い物へ。
某デパートでテッちゃんと買い物なんて今までなかったからちょっと新鮮。
って、テッちゃんとに限らずデパートなんて今までほんの数回しか来たコトないよ。
何となくテンションアップ。
念入りに他のメンバーとメールや電話で打ち合わせしながら決めるテッちゃんをよそに、アタシは1人キョロキョロ。
『ちょっと見てくるね』
テッちゃんにそう言って、アタシは1人、物色の旅に。
何がいーんだろ。
“御守り”的な何か。
ピアス、リング。
“恋人同士”がしないもの・・・。
いつかアイツにも彼女が出来た時にアタシとオソロで持ってても問題ないもの・・・・・・・、
あるか?んなもん。
身に着けるモノ、、、
とりあえずジュエリーコーナー見て考えよ。
ブレスレット!!!
そっか。
いつの間にか色んなブレスレットが並ぶショーケースの前でしばらく見とれてしまっていた。
天然石のがいっぱいあって色とりどりでついつい魅入っちゃって。
「ひよちゃん?」
ん?
食い入るようにショーケースを見ていたらショーケースの内側から声を掛けられた。
ヘッドホンをしてたからなのか、うつむき気味のアタシの顔を下から覗き込んで。
顔をあげると目を真ん丸くしたオンナの人がアタシをキラキラした眼差しで見ていた。
「嬉しすぎる!」
どうやらテンションMaxの様子。
顔が紅潮している。
アレ?
『アユナさん???』
ちょっと考える時間を作ってしまったけど龍神サンファンのアユナさんだった。
龍神サンファンの方でワンワーのライヴに来てくれる方がいて、アユナさんはその中の1人で、ワンワーのファンメールを経由していつもメッセージをくれたりアタシのツイッターをフォローしてくれてたりフェイスブックにもメッセージをくれたりする、貴重な応援派の1人。
『まさかアユナさんにプライベートでばったり逢うなんて!!』
思わずアタシもハイテンション。
「アタシもよ!ライヴお疲れ様♪」
2人でコーフン。
アユナさんに至っては仕事中のハズなんだけど。
『ありがとうございます。渋公、ありがとうございました』
この前の渋公、来てくれてたの解ってたよ。
気付いて手を振ったの解ったかなぁ。
「手振ってくれたでしょ。ありがとね」
良かった、気付いてくれてた。
なんて、場所わきまえなさすぎだろウチら。
『アユナさんがいて良かった!実はぁ』
ちょうどイイから相談してみよう。
『彼氏じゃない男子に御守りとして持っててもらうとしたら何がイイですか?』
「関クンね」
そりゃバレるか。
素直に頷く。
「ひよちゃんと関クンなら何でもアリだとは思うけど、ブレスレットかな」
ビンゴ!!!!!
『やっぱりそうですよね』
「ホント羨ましいな」
えっ?
ニコニコなアユナさん。
『あんな最高の相方がいて、最強の師匠もいて、何よりもステキな仲間もいて』
ドキ・・・。
ってか“グサッっっ”が今は適切かも。
引きつり笑いで返事。
立っているのがやっとなくらいのダメージを全身で受けている。
「ひよちゃんとなら、イイかな」
ん???
すっとんきょうな顔で、アユナさんを見つめてしまう。
「龍神」
??????????
ハテナ大爆発。
「龍神の記念すべき初ロマンスの相手。アタシは大賛成だな」
ピ→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→
彩沢陽依、機能停止。
「ひよちゃん?」
また顔を覗き込まれた。
はっっっ!!!!!
何なの?アユナさんのこのマリアの様な微笑み。
「もちろん龍神ファンの中には反対派だっているけど、賛成派もいるんだよ。安心して!」
、、、、、、、、、、。
涙が物凄いスピードで急上昇してくるのが解った。
泣きたかった。
今すぐここで思いっきり。
「vivienファン、ナメないでね」
アユナさんの表情は殺人的に優しくて、アタシのグチャグチャな精神状態を殺人的に刺激した。
号泣したい気持ちを必死に堪えて出来る限りの笑顔でただ頷いた。
今日は刺激が強すぎる。
でもありがとうアユナさん。
ありがとうございます龍神サン。
こんなステキなファンの方がいる人を好きになれるアタシは宇宙イチの幸せ者です。
龍神サンやvivienのメンバーの皆さんがステキな人達ばかりだから、きっとファンの皆さんもこんなにステキな人がいるんだな。
メチャクチャかっこいいよ、vivienさんもvivienさんファンも。
アタシ、幸せ者過ぎる。
アタシの今の不安定な精神状態にはとてつもなく劇薬だけど。
泣きたい気持ちを抑えるべくブレスレットを選びながら昨日のライヴの話を始めた。
アユナさん、完全に”アタシの接客“ってより“プライベートな女子トーク”状態。
だけどまさかファンの方と、しかも龍神サンファンの方とこうしてお話するなんて、新鮮。
ライヴでの出来事を照れ臭そうに話すアタシにアユナさんは嬉々として聴いてくれて。
話ながらも色々ブレスレットを品定めしつつ。
そうこうしてるうちテッちゃんから電話が掛かってきて、テッちゃんをアユナさんのお店に呼んで、アユナさんとテッちゃんに賛成してもらったブレスレットを選び店を後にした。




