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love you only

関への想い


龍神サンへの想い


ようやくハッキリしたアタシの心中はすこぶる晴れやかだった。


それはきっと、


関が電話口ではあるけれどめちゃくちゃ爽やかそうだったから


だと思う。


“オマエの気持ちが聞けて良かった。これで修業の目的がハッキリした。”


なんて言われたら、


“言って良かった。”


って気にもなる。


かと言って、


龍神サンは龍神サンであるコトには変わりない。


変わったのは、


“プロのベテランミュージシャン・アタシのリスペクトする憧れのvivienのボーカルの龍神”


ではないと言うコト。


“向坂龍二”


でもなく、


“気がつけばいつもそばにいてくれる、アタシのやっすい薄っぺらな鎧を取っ払ってくれれる、最強で最高の師匠・龍神サン”


なんだ。


アタシはなんて幸せモノなんだろう。


龍神サンが言ってくれた、


“ヒヨがそれだけの人間なんだ”


ってコトバに恥じないようにこれからもアタシらしく行こう。


アタシは改めて“ありがとうストリングスVer.”を聞き出した。


お願いして龍神サンの声を入れてもらったんだ。


コレは完全にアタシだけの宝物♪♪♪


本番で泣かないように龍神サンの声を耳に焼き付けないとねっ!






気が付くとうっすら夜が明けていた。


もうそんな時間!?


ハッとして時計を見るともう6時前になっていた。


ヤバいよ!今日は移動日で集合早いのにぃ。


先に用意しよう。






数時間ダケ仮眠を取って軽い寝不足のまま集合場所に向かった。


昨日がoffだったからか、みんなスッキリした顔してる。


寝不足そうな顔なのはアタシだけで。


「ぉす!」


いつもと全く変わらない様子の関。


『おはよ』


「ぁんだよヒヨ!そんなんで地元のファンに顔向け出来ないぞ?」


笑いながらモトさんに言われる。


ん?


今日は移動だけじゃないの!?


ぽかーん。


「ウチのオニ社長がそんな甘っちょろいコト言うワケないだろ。しかも凱旋なんだから。地元メディア祭りだよ」


やっぱりかぁぁぁ。


昨日休めてんだからそんなワケないか。


さすがウチのオニ社長。


もちろんお仕事を頂けるのは有難いコトですからやりますよ、とことん全力で。


移動の車の中はずっと爆睡していた。


数ヶ月ぶりの、ちょっぴり懐かしい地元に着くなりそのままホテルに移動して取材。


その後昼食を済ませて夕方の生情報番組のゲスト出演。


最後はラジオ番組のゲスト出演。


数ヶ月ぶりの実家に帰ったのは22時を過ぎていた。


ラジオ局の近くまで来てくれていたパパとサヨリと帰ると、ママといつもなら寝てるハズのばぁちゃんがリビングで待ってくれていた。


数ヶ月ぶりのママの味を堪能し、リビングでみんなで寛いでサヨリまで一緒になって夜更けまでみんなで一緒にいた。


話題はほとんど“真壁事件”の時の話で。


『ホントにみんなに迷惑かけてゴメンね』


ってアタシが言い出したのがきっかけで。


「ゴメンねなんかいらないよ。ひーちゃん見てたらスッキリしたもん!」


サヨリがコーフン気味に。


「ひーちゃんは自信持ってイイんだよ!!」


サヨリがそんなコトいってくれるなんて。


不覚にもちょっぴり熱くなる。


コイツ、こんなにオトナだったっけ?


『学校でイヤミ言われたりしない?』


不安で仕方ない姉。


「気にしないよ。ひーちゃんだって高校行ってた時にイヤミ女子とかいたでしょ?そう思ったらサヨ平気だよ」






サヨリ・・・。


否応なしに涙が込み上げてくる。






真壁事件の後、サヨリは一気に精神的にオトナになったらしい。


サヨリがいなくなった隙にママが言っていた。


“「一番大変なのはひーちゃんなんだから」”


って、スローガンかのようにみんなで言い合っていたらしく。


ますますアタシは涙が止まらなかった。


なんて素晴らしい家族なんだ。


サヨリの成長っぷりには驚くしか出来ないケド、


みんなの大きさには感謝しかない。


アタシの“家族”と言う名の海は、


アタシが思っていた何億倍も大きく広かったようだ。


しかも荒れるコトなくいつも穏やかで、昼間なら太陽がキラキラ反射していて、夜なら月明かりが水面を照らしてくれて。


“自分自身に”


じゃなく、


“こんな素敵すぎる家族や仲間達”


に、絶対の自信を持つよ。






久し振りの自分の部屋。


ほとんど物は無いケド面影ははっきりと残ってる。


あちこちに張り巡らされたvivienサンのポスター。


関のコトバを思い出す。


“「オマエが龍神サンに影響を受けた時点でこうなるようになっていたんだ」”


そのまま視線はボードに貼ってある東京に持って行ききれなかった写真達へ。


大会の時の記念写真や学校行事での記念写真。


無意識に眺めてしまう。


一緒に写っている関。


まさかアタシのコトを思ってくれていたなんてね。


今頃アイツ、何やってんのかな。


メールしてみるか。


“久々の実家はどう?”


返事は即座に来た。


“やっぱイイな。メシ旨”


ハナで笑う。


“早く寝なよ。テッちゃんに怒られないようにね。”


すかさず返信。


“オマエもな。”


関からも即レス。


やっぱり関とはこの関係が心地好い。


始まった時と同じ関係が。


また“ありがとうストリングスVer.”を聴きたくなってきたよ。


明日の練習も兼ねて。


アタシが書いた関への想いを、龍神サンが歌う。


不思議な感覚だ。


だけど、物凄くステキなコトだ。


いろんな意味で思い入れの深い曲になるよ。


関に対してもだけど、龍神サンへの想いがハッキリする前に出来た曲だから今聴けばどことなく中途半端な歌詞もある。

だけど、素直な気持ちには変わらない。


“ありがとう。側にいてくれて。ありがとう。勇気をくれて。”


明日、ちゃんと歌えるかなぁ。


“遠く離れていても空は1つだから。心もずっと1つだよ。”


一歩間違うとただのラブソングだよな。


って言っても明日コレを聴く人達はきっと誰一人、“ラブソング”には聴こえないんだろうケド。


“大丈夫!いつでも見てるよ。大丈夫!ココロはいつでも側にいるよ。”


関、泣いちゃうかな。


・・・なぁんて泣くワケないか、アイツが。


でも泣かせたいなぁ。


ぃや、“応援歌”で泣くな、きっと。


何てったって龍神サンがアイツの為ダケに創ってくれたんだから。


続けて“応援歌”をセレクト。


“どんな時でも闘え!負けるな!!絶対叶うと信じて”


力強い龍神サンの叫びにも似た声。


間違いなく魂を奮い起たせてくれる歌詞。


さすが“漢”vivienサン。


そう言えば龍神サンが言っていた、


“オレに言ってきた意味”


って何なんだろう。


まさか関の言っていた“ワンワー以外のオトナの意見を聴きたかったから”ってのとは違うよねぇぇぇ。






・・・・・、まぁいっか。


“オトコのコトはオトコに任せろ”だもんね。


明日に備えてそろそろ寝なきゃ。


ん?


龍神サンからメールだっ。


“まさかまだ起きてねえよな!早く寝ろよ!!”


ドキッ↑↑↑


“今寝るトコでした。おやすみなさい。”


・・・見抜かれてたか。


龍神サンには敵わないよ。


おやすみなさい。










wonderful☆world first tour 最終日。


地元と言うコトもあり、即日ソールドアウト。


初日の東京と今日がワンマン初のホールライヴ。


観る側としては度々来ていた場所。


入口前で立ち止まり、大きく深呼吸。


ホールでのライヴの時に会場入りしたら必ずやるコトがある。


荷物を置いて真っ先に客席の最後列へ。


龍神サンが教えてくれたんだ。


って言ってもまだ龍神サンと親しくさせて頂けるようになるだいぶ前に読んだ音楽雑誌に書いてあったコトなんだけど。


“ライヴの時に必ずするコトは?”


って質問に対しての答え。


“会場入りしたら必ず真っ先に会場の最後列に行く。他にもそうする人って多いと思うけど。最後列の端から端までの席全てからステージを見て、最後列の人から自分がどう見えるのかを意識してステージに立つ為に。”


って書いてあって。


アタシが初めて行ったvivienサンのライヴで一番衝撃を受けたのは龍神サンのダイナミックなステージパフォーマンスだった。


アタシは3階の真ん中辺りの席だったけど龍神サンがあり得ないくらいに近くに感じて。


遠くにいるコトを全く感じさせなくて。


ソレがアタシが龍神サンに惹かれたキッカケだった。


だからアタシも真似して今までずっとソレを実践してきた。


もちろんグレイトロックの時も。


ホールは特にステージから見るととんでもなく大きく見えるけど、最後列から見るとステージから見るよりは大きさを感じなくなる気がして緊張が解れるんだよね。


こんなにたくさんの人達が来てくれるのか。


ちょっと感慨深いモノを感じるね。


最後列の端から端までの各席から隈無くステージを確認する。


準備をしているスタッフさん達やテッちゃん達メンバーに手を振りながら。


と、もう1つしなきゃいけないコト・・・。


最後列チェックを済ませアタシは音響ブースに向かった。


アタシとテッちゃん以外、あくまでも終盤で“関のコーナー”をやるコトしか知らない。


で、コーナー担当はアタシってコトになってるからアタシが音響スタッフさんと打合せしてても誰も何の違和感も感じないってコトで、テッちゃんに託されちゃったの。


って言ってもテッちゃんが綿密に仕上げた音響スタッフさん用台本と2曲の音源を渡して確認するダケなんだけどね。


早く関のコーナーにならないかなぁ♪


心なしかソワソワしちゃう。


ダメダメ!!みんなに気付かれちゃうよ↑↑↑


落ち着け!!アタシ。


とりあえずはリハに集中するか。


・・・、無理だぁ!


ダメだっ!ロビーに行って来よう。


ロビーに行くと色んなスタッフさんが慌ただしく準備に追われていた。


邪魔だよな。


仕方ない、やっぱり中に戻るか。


関はグレイトロックTVの取材で、客席にいた。


「どこ行ってんだよヒヨ!!!」


マイク越しにセンちゃんに突っ込まれる。


『ごめんなさい!!緊張しちゃって』


ステージに向かって叫びながら急ぐ。


“緊張”???


全くもって“うそも方便”である。


まぁ、緊張してないと言えばウソになるよ?


でも、“居なくなった理由”では、ない。


テンションがアガりすぎて自分に収集が付かないだけだ。


でも不思議なコトに演奏が始まると自然と演奏に集中出来る。


前からそうだった。


どんなに大きなステージでも小さなステージでも、コレだけはいつも同じだった。


グレイトロックの時も、学祭の時も、デビューライヴの時も。


それまでの感情は一切リセットされるみたいに。


いつも不思議に思う。


まるでスイッチでもあるみたいに。


何曲かリハを進めていると、今度はアタシの取材の番が来た。


当然、1人ボーカルに戻るコトについてはお約束かのように聞かれる。


でも今日はグレイトロックTVの取材だから、詳しく細かいトコロまで掘り下げて聞いてこられるから、ついつい素直な気持ちが出ちゃうね。


今更ながら、関が加入するって展開になった時の心境を話してみたり。


“今だから言える話”的な流れになって。


“関との思い出話”になった時はさすがにちょっとうるっちゃった。


いつ聞かれても、まだどうしても込み上げてきちゃうんだな、情けないコトに。


“今日のライヴの意気込み”を聞かれた時は、


含み笑いで“もちろん大暴れしますよ”って全力の笑顔で答えた。


そしたらまたテンションがアガってきちゃってまた収拾がつかなくなっちゃった。


取材が終わったのをイイ事にどさくさに紛れてちょっと抜け出す。


気持ちを落ち着かせなくちゃ!!


ロビーに出てみた。


開場までまだ時間があるのに遠くの方にチラホラ人の影が見える。


考えてみたら、


関のプレッシャーも想像を絶するモノだったんだよね。


人影を見て思った。


アタシだってそうだった。


アタシが加入した時“wonderful☆world”としてはまだ始まったばかりだったけど、アタシ以外の全員がかなりのキャリアで、めちゃくちゃ場違い感爆裂で後込みしてた。


それが関は、


デビューが決まった直後のバンドに、


いくらそれまでの間スタッフとして一緒にいたとは言え、

 

いきなり加入だなんて。


そりゃああの時、あんな情けない状態にもなるわな。


ソレをいくら奮起させる為とはいえあんなタンカ切っちゃうアタシって・・・・・・。


今更ながらオニだな、アタシ。


ロビーに飾られたたくさんのお花を眺めながらふけってしまう。


物販や入場の準備で慌ただしい中その中を1人ぽつりと直立不動で立ち尽くして。


じわ~っとまた込み上げてきそうなギリギリの状態を見事に遮断してくれたのは、


“第35期つつじが原高校卒業生”


とか、


“つつじが原高校同窓会”


なんて名の普通有り得ない差出人のお花達だった。


目に入った瞬間吹き出しちゃったよ。  


こんなんあり!?


でも、カメラに収めておこう。


もちろんブログに使うわよ。


御礼の意味も込めて。


よしっっっ!!!


気合入れてきますか↑↑↑


行くぞ陽依!!










リハを終え開演前の準備タイムに入る。


みんな一気に忙しくなる。


地元の友達や音楽仲間、家族など関係者が次から次へと現れ室内が騒がしくなる。


みんな地元だからなのか自然体で演りたいと言うコトもあり、


あまりカッコはつけず、ヘアメイクもそこそこに準備よりはみんなとの懇談に夢中になっていた。


客席にだって友達や身内がいるコトだし。


みんな楽しそう。


想い思いに写真撮ったり。


そんなみんなの光景をひたすら撮るアタシ。


“関が渡英しちゃう”寂しさを噛み締めながら。


サヨリはサヨリで、ずっとアタシの隣でただ何も言わずにみんなの姿を見ていて。


手にはサヨリなりの関へのプレゼントが。


サヨリはサヨリで口では“関っち”とか言いながら、ずいぶん慕ってるからな。


でも渡英にはかなり大賛成だったみたい。


やっぱりショックなのはどうやらアタシだけなようで。


「ねぇひーちゃん」


サヨリが小声でアタシの肩を突っつきながら呼んできた。


振り返り返事。


「関っちのコーナー、何企んでんの?」


サヨリの声と顔が怖い。


『内緒に決まってんでしょ!!メンバーにも言ってないんだから』


ちょっと強い口調で。


「意地悪ぅぅぅ」


思い切り口を尖らせる。


誰が教えるか!!


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑


着信が!!!!


電話の相手はもしかして・・・


!!!!!!!!!!


アタシはスマホをつかみ取るようにして慌てて部屋から出た。


「開演前のクソ忙しい時に悪い」


もちろん、龍神サン!!


『おはようございます!大丈夫です、みんな地元だからなのか、自然体でやりたいって、準備よりも懇談に夢中になってて、その光景を撮ってたダケなんで』


アタシのこの単純さはきっと宇宙イチなんじゃないかって程に今MAXハイテンション。


「段取りはぬかりない?」


当然ですよ龍神サン!!!!


『バッチリです。テッちゃんとの綿密な打ち合わせをそのままPAサンに託してますから』


今この時は、さっきまであった“寂しさ”がこっぱみじんに砕けきっていた。


ホント単純ね、アタシって。


「good luck!」


ぷしゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。


アタシは通話を終了出来ないでスマホを持ったまま放心状態になっていた。


“good luck”ってっ!


どんな風に言ったかが勝手に予想出来て妄想ながらにコーフン。


鼻血が吹き出そう。


“good luck!”


がアタシの脳内で最大級のエフェクトをかけて焼き付いている。


お陰で、


「じゃ、また後で」


関係者軍団が部屋を出て行っていよいよステージに向かうって言う緊張感MAXのハズの場面でも、


“ひよぉぉぉぉぉ!!!”


“純ちゃぁぁぁぁぁん”


客席からたくさんのコールが響く中、


「まぁ今日は当然関でしょ」


ってモトさんの提案で組んだ関主導の円陣も、


もちろんステージに出る瞬間も、


ずっとニヤケててソレを直せないままでいた。


関のコーナーになるまではー



























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