前章 こんなはずじゃなかったのに
___私の人生は本当に間違いなんてものはなかった.
私,纐纈桜は地元で1番高偏差値の高校,北山田高校に入学し,地元の旧帝大学の医学部医学科に現役で合格し,ここまで来た.
大学でも,真ん中くらいの順位で過ごし,それなりにやってきたつもりだ.友達だって多い方.
…なのに,なのに!!!!
「何で,第一志望の病院落ちてるの…」
大学6年生の10月下旬現在の私は,愕然としていた.
医学科の学生は卒業したら研修医になる.
研修医の就活は,かなり特殊だ.研修病院は,"マッチング"という,所謂ドラフト制で決まる.それも,一斉に結果が出る.その結果発表の日が今日であり,
…その結果,第一志望の病院から振られたのが私だ.
「さくらちゃんはいいよ,私なんて全落ちだよ…」
大学で一緒に結果を見ていた美絵里ちゃんは,顔色が真っ青だった.
そうだ,私は第2希望の病院にはマッチングした.でも,美絵里ちゃんは,5病院も受けて落ちてしまっていた.
私からかける言葉も浮かばない.正直,美絵里ちゃんは少なくとも,生真面目ですっごくいい子だ.なのに,それで落ちるのなんて納得いかない.
「美絵里ちゃんのこのすーごいいい性格をわかってない採用者が悪いよ!おかしいって!」
「さくらちゃんも,何で落ちたんだろうね…」
別に合わせようとは話してなかったけど,美絵里ちゃんとは同じ病院を第一志望としていた.ある意味,片一方だけ受かっていなかったことは良かったかもしれない.
「とりあえず私はまだ空いてる病院を探してくるから,さくらちゃんは受かった病院に電話しなよ」
その言葉にハッとなった.そうだ,受かったらちゃんと感謝の言葉を採用してくれた病院に一報入れないと.
私のことを欲しいと言ってくれた病院は,浄南病院という,県立の病院だ.研修医がいる病院の中ではかなり小さめな病院で,入院患者数が200人未満の規模.私としては研修医として研鑽を積むのなら,大きな病院が良かったから,第一志望と比較すると自分の希望は通っていないことになる.
浄南病院には私の出身,A大学出身者が多数毎年入っている…と言っても,定員は5人だから,そのうちの半分かそれ以上のことが多いっていうだけで,人数的には大したことじゃない.
そんな病院を受ける時に,仲のいい大学同期の男子と,因縁の人,あとは高校の同級生の子が受けてた話は聞いていた.…いや,まさかね.
採用担当の人に連絡をする時に,一緒に誰がメンバーなのか確認しておきたいな.
とりあえずスマホから電話をかける.
「すいません,貴院で今後研修させていただくことになった纐纈桜ですが…」
『ああ,纐纈さん.今後研修医として受け入れさせていただきますね,嬉しいです』
第一希望に落ちたこともあって,少し心の中で悲しくなっていたからか,うっすらと涙が浮かんだ.
「あの,同期のメンバーとかって,教えていただくことはできるでしょうか」
『えっと,まずA大学の方は纐纈さん含めて3人います.他にはB大学の子と,C大学の子ですね』
…すごく,嫌な予感.
まずA大学からの合格者が3人という時点で,受けたのが3人だから全員察しがつく.もうこの時点で頭が痛い.B大学は,高校の同級生の通っている大学だ.C大学は,一人なんか思いつく人がいる.いや,まさかね,ね?
「お名前とかお伺いしても?」
『箕浦健史さん,秋間拓弥さん,藤原琴海さん,大輪田祐之さんですね』
___最後の方はほぼ,頭に入ってこなかった.
箕浦__私と一瞬恋愛関係になりかけて1年前に振った男.A大学で通ってた塾も同じ.何なら1つ年上だけど,高校も同じ.
秋間__A大学で通っていた塾も同じ,私の高校とは違うけど,超一流の西又高校出身で仲良し,私と一緒の第一志望に落ちたことがこれではっきりした.
藤原さん__高校こそ同級生だったけど,正直苦手な子.塾同じ.
大輪田君__私の気のせいじゃなければ,浄南病院のセミナーで会って話しかけたけど,会話を全てブチブチ切ってきた問題児.
…待って,これは夢?それも悪夢?
頬をつねっても痛い.
こんなはずじゃ…
こんなはずじゃなかったのに〜〜〜!!!
_____これは,そんな纐纈桜が,立派な医師になるまでの物語である.
久しぶりの投稿です(今後後書きはカクヨム投稿日以外書かないので許してください;)
今回は医療ドラマですが,今後は恋愛小説も書いていきたいと思います!異世界転生モノも好きですが,飽和してるので悩ましいですが…
8月23日投稿分です.




