離れても隣
25歳になってから、
真帆は「偶然」をあまり信じなくなっていた。
仕事は慣れた。
人間関係も、だいたい分かる。
驚くことは減り、代わりに“想定内”が増えた。
だから、その日もただの帰り道のはずだった。
残業終わり、電車を一本見送り、
駅前の古本屋に足を向ける。
紙の匂いが好きだった。
何かを考えなくても、
ページをめくる音だけで頭が静かになる。
棚の奥――
脚立の上に、誰かがいた。
白いシャツ。
袖をまくった腕。
集中していて、こちらに気づいていない背中。
男が本を引き抜いた瞬間、
脚立がかすかに軋んだ。
「……!」
考えるより先に声が出た。
「危ない!」
次の瞬間、
男の体が揺れ、真帆の肩に軽く触れて止まる。
「……っ、すみません!」
「いえ、大丈夫です」
距離が近い。
一瞬で分かる体温。
男は一歩下がり、深く頭を下げた。
「本当に助かりました。
声をかけてくれなかったら、落ちてました」
「いえ、咄嗟に…」
視線が合う。
落ち着いた目。
でも、どこか不器用そうな笑い方。
「佐倉 恒一です」
「神崎 真帆です」
それだけで、
なぜか空気がやわらいだ。
二人は同じ棚の前に並び、
自然と本の話を始めていた。
「詩集、好きなんですか?」
「好きというより、
疲れたとき、短い文章がちょうどよくて」
「分かります。
長い物語を追う元気がない日、ありますよね」
“分かります”という言葉が、
胸の奥にすっと入ってきた。
会計の列で、少し間が空いた。
「……また会えたら、変ですよね」
男が、少し迷うように言う。
「変ですね」
でも、真帆はその“変”を否定したくなかった。
「じゃあ、変じゃないように、
次はちゃんと約束しません?」
その言葉に、
真帆の心が静かに動いた。
⸻
第二章|名前を呼ぶ距離
それから二人は、
週に一度くらいの頻度で会うようになった。
古本屋。
喫茶店。
仕事帰りの短い食事。
話題は多くない。
でも、沈黙が苦じゃなかった。
「真帆さんって、
人の話を聞くの上手ですよね」
「そうですか?」
「途中で遮らない」
それは、
今まであまり言われたことのない評価だった。
「佐倉さんは、
すごく慎重ですね」
「……分かります?」
「言葉を選ぶ感じ」
恒一は、少し照れたように笑った。
距離は近づいているのに、
越えない線があった。
手は触れない。
名前も、まだ苗字。
でも、
真帆は気づいていた。
(この人と話すの、
少し楽しみになってる)
夜、家に帰ってから、
ふと思い出す。
「今日、何話したっけ」
内容よりも、
声のトーンや、間の取り方が浮かぶ。
恒一も同じだった。
スマホを握りながら、
送らないLINEを何度も消した。
(踏み込みすぎたら、壊れる気がする)
その慎重さが、
二人を同じ場所に留めていた。
⸻
第三章|恋になる手前
雨の日だった。
急な雨で、
二人は駅の高架下に足止めされる。
人の少ない時間帯。
雨音が、やけに大きい。
「……帰れませんね」
「ですね」
少し沈黙。
「真帆さん」
「はい」
恒一の声が、
いつもより低い。
「俺、最近ずっと考えてたことがあって」
真帆は、心臓の音がうるさくなるのを感じた。
「このまま、
何も言わずにいるのは、
逃げてる気がして」
恒一は一度、視線を落とす。
それから、
真っ直ぐに真帆を見た。
「俺は、真帆さんのことが好きです」
はっきりした声だった。
「恋愛として。
ちゃんと、付き合いたい」
息が止まる。
「でも、急かしたくない。
答えは、今じゃなくてもいい」
雨音だけが続く。
真帆は、
自分の気持ちがすでに決まっていることに、
その瞬間はっきり気づいた。
「……今でいいです」
恒一の目が、揺れる。
「私も、佐倉さんが好きです」
一拍置いて、
続ける。
「付き合うって、
ちゃんとした意味で、です」
恒一は、
ゆっくり息を吐いた。
「……本当に?」
「はい」
その手が、
慎重に真帆の手を包む。
「大事にします」
「私も」
雨は、
いつの間にか小降りになっていた。
⸻
第四章|付き合い始めという不器用な幸福
恋人になった恒一は、
驚くほど分かりやすかった。
「無理してませんか」
「ちゃんと帰れました?」
「今、どこですか」
心配性で、
でも束縛はしない。
「嫉妬、しますよ」
「え?」
「他の男の話出ると」
少し拗ねた声。
「でも、
嫌だって言うのは違う気がして」
その言い方が、
真帆には優しく思えた。
夜、映画を観ながら、
初めて手をつないだ。
強くない。
でも、離れない。
(ああ、恋人なんだ)
その実感が、
静かに胸に広がった。
この幸せが、
まだ何も壊れていないことを、
二人は知らない。
――でも、
壊れることを恐れながらも、
それでも進んでいく。
25歳の恋は、
まだ始まったばかりだった。
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第五章|甘い嫉妬は、まだ守りたかった
付き合って一ヶ月を過ぎた頃、
真帆は「恋人」という言葉にようやく慣れてきていた。
毎日連絡を取らなくても、不安にならない。
会えない日があっても、次を楽しみにできる。
その距離感が、心地よかった。
恒一も同じだと思っていた。
少なくとも、最初は。
「今日、誰とランチだったんですか?」
何気ない質問だった。
声も、表情も、いつも通り。
「編集部の人だよ。先輩と後輩」
「……男性も?」
一瞬だけ、真帆の指が止まる。
「うん、いるよ」
「そっか」
それ以上は聞かれなかった。
でも、その夜から恒一の態度が、ほんの少しだけ変わった。
返信が早い。
予定を細かく聞く。
「誰と」「どこで」が増える。
重くはない。
でも、軽くもない。
「……ねぇ」
ある夜、真帆はスマホを見つめたまま言った。
「恒一、最近ちょっと心配しすぎじゃない?」
「え?」
「私、信用されてない?」
恒一はすぐに否定した。
「違います。
ただ……真帆が、誰かに取られそうな気がして」
その言葉は、
愛情の形をしていた。
「取られないよ」
真帆は笑って言った。
「私、恒一の彼女でしょ」
その一言で、恒一の表情がほどけた。
「……そうですね。ごめんなさい」
抱きしめられて、
真帆はこの話が終わったと思った。
――まだ、始まりだったのに。
⸻
第六章|小さな隠しごとは、音を立てる
問題は、真帆の仕事だった。
編集の仕事は、人と会う。
打ち合わせも、取材も、食事もある。
その中に、
元恋人・悠真がいた。
別れて三年。
今はフリーのライター。
仕事としては、優秀で、やりやすい相手。
(言わなくてもいいよね)
(仕事だし、もう関係ないし)
そう思った瞬間、
真帆は気づいていた。
“言わない”理由が、
恒一の反応を想像していることだと。
その夜、恒一の部屋。
「今日、打ち合わせだったんですよね」
「うん」
「誰と?」
真帆は一瞬、間を置いた。
「……仕事の人」
恒一の目が、少しだけ細くなる。
「名前、聞いてもいいですか?」
ここで言わなければ、
あとで必ず歪む。
「……悠真。
元彼」
部屋の空気が、はっきり変わった。
「……は?」
声が、低くなる。
「なんで、言わなかった」
「言えば、嫌な気持ちにさせると思って」
「嫌な気持ちにさせないために、黙った?」
「……うん」
恒一は、ソファに深く座り直した。
「それ、俺を守ってるんじゃなくて、
自分が楽な選択しただけじゃないですか」
真帆の胸が、ぎゅっと縮む。
「仕事だよ。
何もない」
「あるかないかじゃない」
恒一は、言葉を選ぶ余裕を失っていた。
「“隠した”って事実が、
俺には一番きつい」
⸻
第七章|疑いは、愛と同じ声をしている
「じゃあ、どうすればよかったの?」
真帆の声が、震える。
「“元彼と会うけど、何もないから大丈夫”って
毎回報告すればよかった?」
「そうじゃない」
「じゃあ何!」
声が、強くなる。
「私、恒一に疑われる前提で
行動しなきゃいけない?」
恒一は、唇を噛んだ。
「疑いたくない。
でも……」
「でも?」
「……信じきれなかった」
その一言が、
真帆の中で何かを切った。
「それ、
私が浮気するかもしれないって思ってるってことだよね」
「……」
「私、そんな人?」
沈黙。
恒一は答えられなかった。
「……帰る」
真帆は立ち上がった。
「今日は、顔見てたら
ちゃんと話せなくなりそう」
玄関まで、
恒一は追ってこなかった。
ドアが閉まる音が、
思ったより大きく響いた。
⸻
第八章|謝れない夜、戻れない距離
その夜、
二人は連絡を取らなかった。
真帆は布団の中で、天井を見つめた。
(私、悪かった?)
(でも、全部話せばよかった?)
答えが出ない。
一方、恒一はソファから動けなかった。
(疑った)
(信じたいって言いながら)
スマホを握る。
謝りたい。
でも、言葉が浮かばない。
“ごめん”は簡単だ。
でも、それで何が解決する?
翌朝、
真帆から短いメッセージが届いた。
少し、距離置きたい。
頭、冷やしたい。
恒一は、その文面を何度も読み返した。
――恋は、
好きなだけじゃ続かない。
でも、
ここで手を離したくない気持ちだけは、
はっきりしていた。
25歳の二人は、
まだ「正しい向き合い方」を知らない。
それでも、
この喧嘩が終わった先に、
何かが残ることを、
どこかで信じていた。
第九章|触れないまま、同じことを考えていた
距離を置く、という言葉は便利だ。
でも実際には、どこにも置き場所がない。
真帆は三日間、恒一に連絡をしなかった。
仕事はいつも通りこなせた。
笑顔も作れた。
ただ、夜になると何もできなくなる。
スマホを伏せて、
また手に取って、
通知がないことを確認して、
それでも画面を閉じられない。
(連絡しないって決めたの、私なのに)
一方で、
恒一も同じ三日間を過ごしていた。
連絡をしないのは、
「尊重」だと思いたかった。
でも、本当は怖かった。
(何を送っても、
また傷つけるんじゃないか)
真帆の言葉が、頭の中で何度も再生される。
――信じてないみたいで、悲しい。
その通りだった。
信じたいと言いながら、
自分の不安をぶつけただけだった。
四日目の夜、
恒一はようやく一通だけメッセージを打った。
話したい。
ちゃんと。
送信してから、
スマホを裏返す。
返事を待つ時間が、
こんなに長く感じたのは初めてだった。
数分後。
私も。
明日、少しだけ時間もらえる?
短い文章なのに、
胸の奥がほどけた。
⸻
第十章|言葉にしなかったのは、弱さだった
待ち合わせは、
二人がよく行った川沿いのカフェだった。
初めて手をつないだ帰り道。
何気ない話をした場所。
「……久しぶり」
「……うん」
ぎこちない。
でも、逃げない。
コーヒーが運ばれてくるまで、
二人とも黙っていた。
「先に、俺から話します」
恒一が、視線を落としたまま言った。
「真帆を疑った。
それは、事実です」
真帆は何も言わず、聞く。
「信じたい気持ちと、
自分の不安を、
ちゃんと分けられなかった」
一度、深く息を吸う。
「真帆が誰かに取られるのが怖かった。
でも、それを
“心配”って言葉にして、
疑う形でぶつけた」
「……うん」
「ごめんなさい」
静かな声だった。
逃げも、言い訳もない。
真帆はしばらく黙ってから、言った。
「私もね」
恒一が顔を上げる。
「言わなかった。
それが一番、よくなかった」
真帆は指先を見つめた。
「嫌われたくなくて、
面倒なことになりたくなくて、
結果、恒一を一人で不安にさせた」
「……」
「でもね」
真帆は、まっすぐ恒一を見る。
「疑われたとき、
すごく悲しかった」
恒一の胸が、ぎゅっと鳴る。
「信じてほしかった。
“大丈夫だよ”って言ってほしかった」
沈黙。
でも、それは
話し合いの途中の沈黙だった。
「俺、
ちゃんと言います」
恒一は、決意したように言った。
「次からは、
不安なときは不安って言います。
疑う前に」
「……うん」
「真帆を
信じる努力をします」
真帆は、少しだけ笑った。
「努力って言い方、
ちょっと不器用だけど」
「不器用です」
即答に、真帆が吹き出す。
その笑顔を見て、
恒一の肩の力が抜けた。
⸻
第十一章|ベタ甘は、ちゃんと効く
店を出たあと、
二人は川沿いを歩いた。
少し寒い。
でも、距離は縮まらない。
「……ねぇ」
真帆が言う。
「手、つないでいい?」
恒一は一瞬驚いて、
それから、ゆっくり頷いた。
「……はい」
指先が触れて、
自然に絡まる。
強くない。
でも、離さない。
「離れてる間、
何考えてた?」
真帆が聞く。
「真帆のこと」
「それ、ずるい」
「本当です」
恒一は、少し照れながら続ける。
「俺、
喧嘩しても、
距離置いても、
戻ってくる前提で考えてました」
真帆は足を止めた。
「……私も」
夜風が、二人の間を抜ける。
「ねぇ、恒一」
「はい」
「私たち、
喧嘩下手だね」
「ですね」
「でも、
仲直りはできる」
恒一は、手を引いて真帆を近づけた。
「……できます」
真帆の額に、
そっと額を当てる。
「好きです」
「……知ってる」
「言いたいんです」
そのまま、
軽く、やさしく、キスをした。
長くない。
でも、確かめるみたいなキス。
離れたあと、
真帆が小さく言う。
「……これ、
ベタすぎない?」
「ベタでいいです」
恒一は笑った。
「効くんで」
二人で、少し笑った。
そして、
指を絡めたまま歩き出す。
完全に解決したわけじゃない。
でも、
ちゃんと同じ方向を向けた。
恋は、
一度壊れかけたからこそ、
前より少しだけ強くなる。
25歳の二人は、
それを初めて知った。
ーーーーーーーーーーーーーー
第十二章|離れる理由は、逃げじゃなかった
仲直りしてから、しばらくは穏やかな時間が続いた。
喧嘩のあとの空気は、少しだけ慎重で、でも前より優しい。
そんなある日、真帆は会社で呼び止められた。
「神崎さん、少し時間いい?」
応接室で告げられたのは、地方拠点への異動だった。
期間は未定。
早くて一年。
「……考えさせてください」
そう答えながら、真帆はもう分かっていた。
これは、断れない話だ。
その夜、恒一の部屋。
「……転勤、か」
「うん」
恒一は驚かなかった。
でも、目が一瞬だけ揺れた。
「行く?」
「……行きたい」
正確には、
「行かなきゃいけない」でもあり、
「行ってみたい」でもあった。
「俺は?」
「……」
言葉に詰まる。
「一緒に来て、とは言えない」
それが一番、正直な答えだった。
恒一はしばらく黙ってから、ゆっくり言った。
「……遠距離、だね」
「ごめん」
「謝らないで」
声は穏やかだった。
「真帆が選んだ道なら、
俺はそれを否定したくない」
その言葉に、
真帆は泣きそうになった。
⸻
第十三章|距離は、想像より静かだった
遠距離が始まると、
毎日は意外なほど普通だった。
朝、おはようのLINE。
夜、おやすみの電話。
会えない代わりに、
言葉が増えた。
「今日、何食べた?」
「そっちは寒い?」
「無理してない?」
些細なやり取りが、
生活の中心になる。
でも、
静かな夜ほど、不安は忍び込む。
真帆は、仕事終わりの部屋で、
一人ソファに座っていた。
(今、何してるんだろ)
考えなくてもいいのに、考えてしまう。
一方、恒一も同じだった。
飲み会の帰り道、
誰かが笑いながら肩を組むのを見て、
ふと胸がざわつく。
(真帆は、向こうで新しい世界を生きてる)
ある夜、
真帆はぽつりと言った。
「……私たち、ちゃんと続いてる?」
電話の向こうで、
恒一は即答した。
「続いてる」
「迷いない?」
「ある」
正直な答えだった。
「でも、
迷いながらでも一緒にいたい」
その言葉に、
真帆は静かに息を吐いた。
⸻
第十四章|会えない時間が、答えをくれた
三ヶ月ぶりに会った日。
駅の改札で、真帆は恒一を見つけた。
近づく。
立ち止まる。
一瞬、距離が分からなくなる。
でも次の瞬間、
恒一が迷いなく腕を伸ばした。
「……おかえり」
その一言で、
真帆の中の不安が一気にほどけた。
「ただいま」
抱きしめられて、
体温を確かめる。
「痩せた?」
「そっちこそ」
笑い合う。
その夜、
二人は同じ部屋で、同じ時間を過ごした。
何もしなくても、
一緒にいるだけで満たされた。
真帆は思った。
(ああ、
離れても、
私の帰る場所はここだ)
⸻
第十五章|選び直すということ
遠距離半年を過ぎた頃、
恒一は自分の中の答えに気づいていた。
不安は消えない。
でも、
「いない未来」は想像できなかった。
ある夜、電話越しに言った。
「真帆」
「なに?」
「戻ってきて、とは言わない」
一拍。
「でも、
一緒に生きる場所を、
ちゃんと決めたい」
真帆は黙って聞いていた。
「遠距離が終わるタイミングで、
同棲しよう」
「……それって」
「試すんじゃない」
声が、少しだけ震える。
「覚悟の話」
真帆は、しばらく何も言えなかった。
そして、
静かに言った。
「……私も、同じこと考えてた」
⸻
第十六章|プロポーズは、生活の途中で
同棲を始めて三ヶ月。
特別な日は、なかった。
あるのは、
洗濯物と、スーパーの袋と、
同じ時間に眠る夜。
その日も、いつも通りだった。
「ねぇ」
キッチンで、恒一が言った。
「なに?」
「結婚しよう」
包丁を持ったまま、
真帆が固まる。
「……急じゃない?」
「急じゃない」
恒一は、まっすぐ言った。
「離れて、喧嘩して、
それでも選び直した」
一歩近づく。
「これ以上、
他の選択肢を考える理由がない」
真帆は、目を潤ませて笑った。
「……指輪ないけど」
「今から一緒に選ぼ」
「それ、ずるい」
「一緒がいい」
真帆は、包丁を置いて、
恒一の前に立った。
「……はい」
それだけで、十分だった。
⸻
エピローグ|25歳の、その先へ
結婚式は小さかった。
派手な演出もない。
でも、
二人が選び続けた時間だけがあった。
誓いの言葉の代わりに、
恒一は言った。
「これからも、
不安になったら話そう」
真帆は頷いた。
「疑う前に、
ちゃんと聞こう」
拍手の中で、
二人は笑い合った。
25歳の恋は、
完璧じゃなかった。
でも、
離れても、
喧嘩しても、
何度でも“選び直した”。
それが、
一生を一緒に生きる理由だった。




