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プルシアンブルー~競技科学に青春を~  作者: 李徴
1章 競技科学入門(4月編)
10/13

番外編② ~夕食にて~

 あの後荷物を回収した僕と白南風さんは、夕食を喫食するために食堂に向かった。

 「どこ座る~?」

 「好きな場所でいいよ~」

 「じゃぁここにしよっかな」

 本日の夕飯は味噌カツだ。当たりである。

 「おっ亘理~部活お疲れ~」

 「お、そっちもお疲れ~」

 「マジでランきつくてさ・・・ってお前女子と一緒にいるとか珍しいな!?」

 一人目の来訪者は竹津、英検1級を中3に合格し学年1位を突っ走っているバケモノだ。

 「部活終わりでさ~」

 「そういえば数学部と競技科学部兼部するとか言ってたっけ?」

 「そうそう~」

 「あれ?なんで亘理が白南風さんと一緒に飯食ってんの~?」

 あ、まずい。めんどくさいやつが来た。

 「まさかぁ~、彼女?」

 「んな亘理に彼女なんかできるわけないだろ」

 「おい思ったことをすぐ口に出すな竹さん」

 「え、当たった?」

 「当たってねぇわ」

 二人目・・・来訪してほしくなかったが坪山である。根はいいやつ、いいやつなのだが、こいつがふざけているときの発言は9割嘘であるというのは学年では有名な話だ。いや面白いからそれでいいんだけれども。あと噂が大好き。特に面白そうなネタを誇張して噂するのが大好きだ。ちなみに直近のテストは学年5位。

 「あれ?お邪魔だった?」

 「お邪魔じゃねぇよ」

 「でも何で亘理と白南風さんが一緒にいるんだい?」

 「一緒の部活だからだよ。これ人が来たたびに毎回するの!?」

 「いいんじゃない?誤解されることなんてないし」

 「だから竹さんよぉ・・・」

 竹さんこと竹津は純粋でいいやつなんだがどうもストッパーが無いようで地味にこっちが痛いことを悪気なくいってくる。つぶらな瞳をして言ってくるからなかなか注意できない。

 「なんでそんなに言われるの?」

 白南風さん、それをここで聞かないでくれ。

 「こいつ女子苦手なの」

 坪山のスイッチが入るから!

 「え、ごめん」

 白南風さんが一席分横にずれる。

 「いやいやいや、白南風さん、気にしなくていいよ」

 「え、でも苦手だって」

 「そりゃ苦手じゃないタイプの女子もいるって」

 「そう?」

 「だからさっきの位置でいいよ?」

 なんだろう、坪山と竹津がこっちを愉悦の顔を見せながらこっちを見てくる

 「亘理、そういうとこだぞ」

 「どういうことだよ」



~一方、化学教室の片づけを終え、薬師川・星崎ペアも一足先に食堂に来ていた。~

 「え、今日味噌カツだって!当たりじゃん!」

 「だね」

 「つれないな~」

 「味噌カツの上位互換いっぱいあるだろ」

 「もっと日々の喜びをかみしめて行こうよ~」

 薬師川はノリがいいときと悪いときがある。基準はよくわかんない。

 「でも安心した。亘理くんめっちゃいい子じゃん」

 「だろ」

 「プリント持ってってあげるとか気遣い最高じゃん!」

 「あいつ優しすぎて自分が損してるタイプだからな」

 「彼女とかもいるんだろうな~」

 「いないって言ってたよ」

 え、嘘だろ。あんなに優しいのに彼女がいない・・・?

 「待て待て待て、そんなわけがない!」

 「鏡見て言ったら?」

 「お前もな」

 自分で言うのはあれだがここにいる2人の顔面偏差値はどちらも高い。だが、どっちも付き合っている人はいない。え、薬師川とくっつけばって?こいつとは腐れ縁だから勘弁しとく。

 「あ、星崎じゃーん」

 「あ、薬師寺じゃーん」

 とくとご覧あれ!現高校2年生頭がいいやつ1,2ペア、薬師ペアの完成である。こいつら2年の終わりに理Ⅲ受けても受かるんじゃないかとか言われているペアだ。その学力分けてほしい。

 「競技科学部どうなった?」

 「なんとかなったよ」

 「新1年で一人、実験の手際が上手い子がいてさー」

 「おい聞けよ薬師寺、こいつ1年に半反応式一から作らせたんだぜ」

 「ひど」

 「なんでみんなそんな反応するの!?」

 「で、その1年は解けたの」

 「解いてたよ」

 「それは大したもんだ。大物釣りあげられてよかったな、星崎部長?」

 「はいはい」

 まぁ正直大物釣りあげたのは自分でも思ってたから・・・

 「それより他の条件大丈夫なの」

 「「!」」

 薬師寺がわざとらしく大きなため息をつく。

 「お前らさぁ、部員確保できたのはすごいと思うけど、他の条件もちゃんと満たさないと本当に理事会に部活つぶされるよ」

 「わかってるよ~、合宿は~」

 「夏にやろうよ」

 「そうだね~それがいいね~九州行こ~」

 「九州で何するのさ」

 「阿蘇山の地層見に行く~」

 「おい」

 そうだったそうだった、もう一個の条件・・・

 「もう一個って」

 「あれか~」

 「あれだな」

 「きちぃ~」

 私は天を仰いだ。すっかい忘れていたのだ、部員の確保とかよりもっと難しい条件の存在を。

 「星崎、腕の見せ所だよ」

 「へぃへぃ」

 私はもどかしくなって一気に味噌カツを流し込んだ。

 せっかく味わおうと思ってたのになぁ・・・

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