正しい親友の使い方
「はい。それじゃあ週末はテスト勉強に勤しんでください」
憂鬱な一言を残して全授業がようやく終わった。
来週からは期末考査の期間で今まで以上に勉強に励まないといけないと思うと
帰る支度を済ませて足早に教室を後にすると扉の横に繭がいた。
出待ちをしていたらしい。手には先ほど渡した弁当箱を持っている。
「これ。ありがとうございました。美味しかったです」
そう言う繭が視線を落としてやや不貞腐れ気味なのはなぜなのだろう。
「おう」
「先輩。普通に料理できるじゃないですか。先日は出過ぎたマネをしてしまってすいません。てっきり料理が苦手だから作らないとばかり思ってたんです」
申し訳無さそうに指を胸の前で交差させながら言う。
先日の惣菜を買う姿を見てどうやら見栄を張ってると思われたらしい。
確かに、爽太は料理が苦手だ。
作る手間暇が多すぎて頻繁にしたいとは思えない。
だが、一人暮らしをするうえで自炊はできなきゃ困る部類だから必死に覚えたのだ。
ただ、面倒くさいという面で作らない日が多いのも間違ってはいない。
「まぁ、まだそんなに美味くつくれないから間違ってはいないんだけどな」
「ならなおさら作るべきですよ。料理はトライ&エラーなんですから」
正直食べることができればそれでいいと思っているが、「ははぁ」と会釈を返しておく。
「面倒くさいのも慣れれば楽です」
「そうなんだな」
そんな会話にふと視線を感じる。
周りを見るとそこそこの数の人だかりができていた。
一度繭に視線を送ると顔をひきつらせていた。
「どういうことだ? 根室爽太ぁ。いつからそんなに繭さんと仲良くなったんだ?」
「あ~。えっとなぁ」
先日は街中で誰にも合わないよう気を張っていたと言うのに、すっかり気が抜けていた。
「いや~、今日恋治に作った弁当を恋治が食べなかったから残飯処理にあげたらしくって……その容器をわざわざ届けに来てくれたって話だろ?」
「は、はい。いきなり渡されたなと思ったら爽太さんのらしくってビックリしました」
級友からのイメージダウンに繋がりそうな発言をして内心恋治にスマンと謝っておく。
それで、周りの反応はというと朧気ながら納得はしてくれているようで首を縦に振って理解者になっている奴らが半数以上だった。
「そ、それじゃあご馳走様でした」
居心地が悪く、足早に繭がその場を去っていく。
爽太も追求されるのが嫌だったので鞄に渡された弁当をしまって帰路につくことにした。
*
「あ?」
家について弁当を洗おうとした時だった。
完食された弁当箱の中に不自然な物がある。
ティッシュに包まれたメモ用紙らしきもの。
恐る恐る取り出してみると、案の定中身はメモ用紙だった。
『明日、空いてますか?』
そうしっかりとした筆記体で書かれていた。
昨日のが中途半端に書いてました。続きです。
流石に少なすぎるので今日はもう一本出します。
過去最高PVにビビってますが、頑張りますよ~
応援。されるほどでは無いものの素人なりに頑張ってるのでよろしくお願いします