聖母様との勉強会
申し訳無いです!!!!!!本当に馬鹿です。どうしようもない奴です。予約投稿が来週水曜の6時になってました。待っていた方がもしいれば本当にすいませんでした。昨日の分と今日の分合わせて投稿してます。
沢山見てもらえたらいいなとばかり思ってます。
翌日も彼女はやってきた。
白くダレたTシャツにライトブルーのジーンズを身に纏って如何にも軽装という服装で初夏を感じさせてくる。
それに反して爽太はまだパジャマ。
寝起きだった。
「早いな」
「今日は特に追い込まないとだめな日なので」
「俺ならテスト前日は優雅に過ごすんだけどな」
「もしかして邪魔でしたか? 睡眠の邪魔をしてしまい申し訳ありません」
ペコリとお辞儀をして帰ろうとする繭を咄嗟に引き止める。
そういうことではない。
追い込むのが性に合わないから、いつもより手を抜くということだったのだが、伝わらなかったらしい。
引き止めた繭がコチラを振り向くと頬を膨らませてジトっとした目で睨まれた。
「冗談だって、ちょっとホントだけど……」
「どっちですか?」
「嘘です……」
これ以上戸惑わせるとこの後が面倒くさそうだったので自分の気持ちに嘘をついておくことにした。
とりあえず、繭を部屋の中に入れてリビングのテーブルに座らせる。
「つまらないものですが……」
「ん? ありがとう」
繭が白い箱をトートバッグの中から取りだして渡してくる。
箱のラベルが明らかに高いお菓子屋のもので受け取るのには抵抗があったのだが、繭の強い視線には逆らえなかった。
とりあえず後で食べようと冷蔵庫の中にしまっておく。
「それ、今日中に食べてくださいね。腐りやすいんで」
冷蔵庫にしまった爽太の後ろでそんな声がする。
繭に視線を送ると、ジトーとした目で見られていた。
確かに爽太は冷蔵庫の扱いがとても下手だ。気づいたら腐っている野菜なんて毎日出てくる。
だが、他人にもらった善意を無碍にするほどのどうしようも無い人間では無い。
そうだとしても信用は無いようで、それなら休憩時間に目の前で食べてやろうと思ってテーブルに戻る。
「そうさせてもらうよ」
「ならいいのですが……」
そう言い終えると繭はテーブルの上に教科書を広げて色濃くなった文字列をフラッシュカードに写していく。
どうやら最終日は暗記科目を勉強するらしい。
積まれた教科書を見ると、クソ教師で有名な工藤の社会と恋治が個人的に大嫌いな化学がある。
化学は暗記か?とは思ったがそれはさておき、社会はゴリゴリ暗記なので今日こそ活躍できそうだ。
特に工藤のクソテストは去年を通して余裕をもって乗り切れたので堂々と胸を貸せる。
「そういえば……」
「なんだ?」
「先輩ってきれい好きなんですか? 部屋を見てもどこもだらしない所が無くて……」
部屋を見渡しながら訊いてくる。
(俺は綺麗好きなのか?)
思ったこともなかった質問に少々首を傾げる。
確かに恋治の部屋のように床にものは散乱していないし、食べかけの物や脱ぎっぱなしの服も無いが……
キッチンの洗い物は放置していることもあれば風呂だって洗わない日もある。
個人的には一般人よりは汚い部類に入るなぁと自負していたのだが。彼女からしたらそうでもないらしい。
「それ。褒めてるのか?」
「もちろん。今まで行った部屋の中では綺麗ですよ」
繭のその言葉は意外だった。
奥手、というより警戒心の強い繭が他人の家に行くなんて思ってもいなかった。
しかもその中でも綺麗な部類なのも個人的には衝撃的だ。
「コレで綺麗とかお世辞にしか聞こえないんだが……」
「そんなこと無いですよ。割と女子も部屋が汚いことはありますし、昨日や先週だって急遽尋ねても今と変わりないじゃ無いですか」
これは結構すごいことなんですよ。と付け足してマジマジと褒める繭に面食らってしまう。
部屋に人を入れたのは繭を除くと親と恋治と妹くらいだったが恋治を除いた二方は包み無く汚いと言うので正直嬉しかった。
「ただ……」と一言残して繭は席を立つ。
進んだ先はキッチン。
バタッと何かが開く音がして勢いよく顔を上げる。
マズい。
「コレだけはダメですよね」
開けられたのは冷蔵庫。しかも中段の野菜保存室ではなく上の冷蔵室。
「さっきチラっと見えたのですが……」
取り出したのは繭が昨日持ってきたタッパー。確認するまでもなく、開けられた痕跡が無い。
「コレはいつ食べる気だったんですか? 見たところ今朝分も食べていないようですが……」
出る言葉が詰まる。
昨日の夜は普通に昼に作ったパスタを温めて食べたのだが、今朝は何も食べていないのだ。
「食べる気が無いのなら言ってください。今度からは間食になりそうなものを持ってきますから」
「食べ惜しみというのかな……勿体なくって」
「朝食を食べないことを悪くは言いませんが、集中力が鈍るのでちゃんと食べた方がいいと思います」
「返す言葉もございません……」
これは完全に繭が正しい。
正論を言われてしまっては何も言い返せない。
「とりあえず、昼食は作りますから食べてください」
「良いのか?」
「私も食べますし……」
そう言って繭はキッチンで料理を始めた。
手持ち無沙汰になった爽太は、テーブルに置かれたタッパーに手を伸ばして蓋を開けた。
中には肉じゃがとほうれん草のおひたしが入っていて、とても美味しそうだ。
肉じゃがをひとつ摘んで口へ運ぶ。
「美味いな……」
「それは良かったです。ならちゃんと食べてくださいね」
レシピ通りの工程、味付けで作られたのであろう肉じゃがは普段食べなれているものよりも数倍美味しい。
個人的にはもう少し辛くてもいい気もしたが、繭の作る料理に文句をつけるつもりは無いのでそのまま全て平らげた。
次に出てきたのはカルボナーラだった。皿の上でとろけるチーズとミートソースの濃厚な風味が食欲をそそってくる。
「どう……ですか?」
繭は不安そうに感想を聞いてくる。
少なくとも爽太には到底できないものなので美味いのは間違いない。
口に巻いたフォークを運び咀嚼する。
うん。美味い。見た目通りの繊細な味わいでほっぺたが落ちそうになる。
「美味いよ、本当に」
感想を告げると繭は安堵に胸を撫で下ろし、二コッと微笑んで「よかったです」と言って食器を下げていく。
その光景に些か新婚プレイを体験しているような気分になり、少々胸がドキリとする。
食器を下げる繭の後ろでエプロン姿を想像してみる。
包容力に長けた性格に整った顔立ち。その上にエプロン。
新妻としても人間としても完璧すぎて、将来の旦那が羨ましい。
「ご馳走様でした」
「お粗末様です」
食器を下げて洗い物を交代すると、繭はテーブルに戻って勉強を始める。
水の流れる音の他にシャーペンのコツコツとした独特な音が部屋中を木霊する。
鳴っては止まりを繰り返しているが5、6回鳴り終えると、しばらく鳴り止む。
「お前も一旦休んだほうがいいんじゃないか」
「イマイチ今日は頭が働かないですね」
「そりゃね」
爽太のその言葉に繭は頭に疑問符を浮かべて小首をかしげている。
「人間の一回の集中力なんて90分くらいしか持たないから休み休みやらなきゃダメらしいぞ」
「休みならさっき先輩の昼食を作った時に取りましたよ」
「アレが休みのうちに入るわけないだろ」
「でも……」
口すぼむで繭が少しごもる。
やる気があるのはとても良いことなのだが、張り切りすぎるのもあまりよいとは言えない。
その切羽詰まったという意識が恋治にもあったらなと一人思いながら冷蔵庫の中段を開ける。
「たしか……あったあった」
見つけたのは一昨日の仕送りで送られてきた半玉メロン。
甘くて美味しいのだが一日で食べるには量が多かったので残しておいたのだ。
そのメロンを三日月状になるように切り分けて、皿に盛り付けてテーブルの中心に運ぶ。
「あ~、昼食代としては少ないかもしれないがコレ食って休めよ」
繭が視界に入るところにメロンずらすと目を丸く見開いてコッチを見上げてきた。
「メロンなんて絶対高いじゃないですか……ブランド品っぽいし。対価として見合ってません!」
「ブランドは知らん。多分スーパーに売ってるのと同じだって」
オレンジ色に熟した果肉にメリハリのある黄緑色の模様。
よくスーパーの広告旗に描かれたTHE・メロンのような色合い。
そんな物珍しいものではないと思うのだが……
その一言に大きく目を見開いて否定してくる。
「違います! スーパーのメロンは果肉が黄緑色ですから」
「え? アレって熟してないからじゃないのか」
「はぁ……」
あからさまにため息をついて言葉を続ける。
「なんでスーパーがわざわざ美味しくない状態で商品を売るんですか……」
繭は呆れた表情を浮かべている。
言われてみれば確かにそうだ。
不味い状態で商品を売るなんてそんなバカなことはどこもしない。
「だから……」
「だからと言って食べないは無しだ。フェアじゃない」
繭がメロンを拒否しそうなところで先手を打つ。
それとこれとでは話しが違う。
爽太としては高かろうが安かろうが休憩がてらお返しとして食べて貰いたいだけなのだから。
「コレくらいはいいだろ」
「ですが……まぁ、そうですね」
あっさりと繭は認めてフォークでメロンを刺してゆっくり口へと運んで、何度か味わってから嚥下した。
感想は聞くまでもなく、繭の表情を見れば一目瞭然だった。
目を輝かせて声にならない声で鳴いているのだから、そうとう美味しかったのだろう。
味覚バカな爽太からすればいつも美味しいな程度しか思っていなかったが、ほっぺたを持ってにやけている繭を見るとあげて良かったと心から思う。
「先輩は食べなくてもいいんですか?」
「うん? ああ、半玉以上食べてるし十分だな」
「そうですか」
ちょっと寂しそうな表情を残して繭はメロンを堪能する。
「なんか変わりようが凄いな」
「私ですか?」
「ああ、何というか受け入れる姿勢になったらすんなり受け入れるし、メリハリが付いていると言うべきか……」
「折角、善意でやってくださっているのに嫌々受け入れるなんて気分が良くないじゃないですか」
「まぁその通りなのだが……」
そういうところも考えているのは流石聖母様。
全員の機嫌を絶対に取るという噂が立つだけあって他人が嫌になることはしないらしい。
だが、その反面少し生きづらそうだと思った。
本当に断りたいときに断れないのは面倒でしかない。
そう考えてはいるものの現状、彼女に告白をして一度も朗報がないあたり、ある程度断ることはできているのだろう。
「ごちそうさまでした」
そんな考え事をしていると繭はメロンを完食し満面の笑みを浮かべていた。
な~んか、PV一気に減ったなあと思ったら予約投稿が来週の6時になってました。
そう言えば昔も話数が増えればサジェストに残る時間が少ないとかあったなぁなんて玄人ぶってた自分を殴りたいです。てか殴ります。
待っている人がいるのかと言う話は置いといて申し訳無いです。変に予約投稿使わないほうが良いのかもしれないですね。
危うく失踪を考えてましたw。
これからも頑張ります。
今日の筆はなぜか良いので明日も期待しててください。




