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幸い(さきはひ)  作者: 白木 春織
第十章
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第十章 11

「桐秋様を探していたんです」


「探す」


 南山は怪訝(けげん)な表情を浮かべる。


「始めに言われましたね。


 なぜ、あの子は桐秋様のためにそこまでするのかと。


 ・・・初恋だそうです。


 幼い頃、桐秋様に会って自分は救われたのだと。


 ところがその際、桐秋様の肌に直に()れてしまった。


 桐秋様に初めて会った時、千鶴は自身の病がどういうものか知りませんでした。


 初潮を迎え、幼児期の桜病が完治した後も、私は桜病のことを千鶴には話しませんでした。


 幼児期に父親から桜病のことを告げられていたようですが、私はそれを否定していたのです」


 西野は一度口をつぐみ、間を置いて話し出す。


「けれども、千鶴は疑っていました。


 それで私が持っていた父親の研究資料を私の留守中に見たのです。


 そこで自分が幼少期の桜病に罹っていたということを確信し、()れた相手に感染させてしまう可能性を知った。


 千鶴があの頃、幼児期の桜病に罹っていた頃、父親以外に()れた相手が桐秋様だったのです。


 しかしその時は、桐秋様の素性に関することは何も分からなかった。


 そこで桜病に罹ったかもしれない名も知らぬ初恋の君を探すために、千鶴は派出看護婦になることを決意したのです。


 桜病など感染症の隔離患者(かくりかんじゃ)には、派出看護婦が多くあてがわれますから。


 その情報網で探そうとしたのでしょう。


 はからずしも、あなたが現れたことで千鶴の願いは叶うことになった」

 

 そこで西野は言葉を切り、千鶴の父として、医者として正面にいる患者の父に事実を告げる。




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