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「囲われているかいないかという議論についてなら、私は今の議論で囲われている、と思う方が良いかと思った。というのも、最初の睦美さんは囲いの事については言及せず、隼人は全潜伏という話題を出した。狂信者が占い師に出ているという発言はあゆみさんと同じ。そこから篤史までは全て囲いがあるだろうという発言で、あゆみさんが囲いが無いと発言。グレーの中で意見が分かれたのだが、10人中7人は囲いがあるという意見、3人が囲いが無い、もしくはそれに言及しなかった。単純に、この3人、睦美さん、隼人、あゆみさんが人外だとしたら数が合うし、残りは占い師の中と占われ先だとしたら分かりやすい。もちろん、こんなに簡単な事ではないと思うが、初日はこんなものではないか?」

志乃は、目を丸くした。

そういえば、そうかもしれない。

もちろん、そんなに見通しが良くする人外も居ないと思うので、そこは違うかもしれないのだが、少なくてもその中に数人は居そうな気がした。

寧々が、言った。

「でしたら、久司さんがやはり真の最有力候補ね。狐らしい場所が見つかったら、積極的に久司さんに振り分けて占ってもらって、呪殺を目指しましょうか。そうして、確定できたら狩人にずっと守ってもらって残りの狐と狼を補足して行けば、楽勝ではないかしら。これから先のことはわかりませんけど、とりあえず今日は久司さんを守るということでいかが?」

そこまでなの?

志乃は、思ったが藍は頷いた。

「そうだねえ。霊媒は真が二人も居るし、真占い師は貴重だから守るのがいいよねえ。まだ分からないけど、占い師だって真が二人居るわけだし、一人でも噛んでくれたら分かりやすいし逆にいいし。村の意見が囲いを追うのが多いんだから、今日は久司を真かもって考えて、吊りはグレーで少数派で納得できない理由を挙げてる人にしようか。」

志乃が、慌てて藍に言った。

「ちょ、ちょっと待って。そんなに簡単に、たった一度の意見で決めてもいいの?つまり、あゆみさん、睦美さん、隼人さんの中からってことでしょう?大丈夫?」

藍は、笑って志乃を見た。

「大丈夫だよ。初日はこんな感じで決めて行かないと、あちこち意見が分散すると、結局票が分かれて人外票が強くなって、村人が吊られちゃうんだ。明日は絶対霊媒師が生き残ってるから色が見られるし、誰に入れたかで明日以降の考察に役にも立つよ。吊り縄は2本余裕があるから、初日はそんな感じでいいんだ。オレはこのゲーム、めっちゃやってるから任せて。」

人狼ゲームが好きなんだ。

志乃は、思った。

よく考えたらこの企画はリゾートしながら人狼ゲームをするという事だったのだから、知らずに来るのも間違っているようには思う。

ただでリゾートだと冬也のように考えた人も混じっているから、あまり知らない人も居る事態になっているのだろうか。

だとしても自分も、結局あまり知らないのに来てしまっているのだから、その人達を責めることはできなかった。

「そんなのおかしいわ!」あゆみが言った。「少数派だから、吊るってこと?私達はただ、村と違う意見を出しただけでしょ?人数って、そんなの合わせて来るはずないじゃない。生き残りたいなら人狼は別々の意見を出してるはずよ。今頃、ほくそ笑んでるんじゃない?相良さんと寧々さんなんか、グレーなのに決めつけて話すのがおかしいわ!藍さんが、誘導されてるように思う!」

確かに、寧々と相良の二人は、結構ハッキリとこうするべき、という言い方をする。

誘導と言われたらそうかもしれない。

だが、拓三が言った。

「それはそうだけど、もっともな事を言ってると思うんだよな。だから藍も、同意するんだと思うし。今日は最悪間違えても縄に余裕があるし結果が見られるし、何より投票っていう情報が残るからな。オレはあちこち迷って票が割れるより、早い段階で決めてって、その人達の意見を聞いて怪しい所を吊りたいと思うけどなあ。」

藍は、頷いた。

「オレもそう思う。とりあえず、結構長く話してるから、今はここまでにして次は昼からまた集まろうか。その時に、今言った三人から話を聞こうと思う。それから、役職達の話も聞きたいかな。だから、みんな準備しといてね。お昼も食べておいてね。13時にここに集合。じゃ、解散。」

言われた三人は、困惑した顔をしていた。

志乃も、いくら初日でもこんなに雑で良いんだろうかと思いながら、藍に促されて立ち上がり、居間のソファへと移動して行ったのだった。


正俊が、藍と志乃に寄って来て座った。

「なんかもしかしたら分かりやすい村か?囲われてて意見が違う人達が人外だったりしたら、もう詰みだけど。そんな簡単なことじゃないよな?」

藍は、頷いた。

「いくらなんでも違うと思うよ。でも、情報が少ないからとりあえずああして決めて、動きを見るしかないんだよね。あの中に人外が居たら、ヤバいから動き出すと思うし。何の動きもなかったら、居ないのかもしれない。だったら、昼からの議論でまた、怪しい所を考えるから良いんだよ。こうして揺さぶりを掛けるのさ。」

志乃は、驚いてそれを聞いていた。

藍は、だからあんな風に強めに言ったのだ。

ということは、相良と寧々も同じように考えて言ったと思われた。

あの二人も人狼ゲームには詳しそうだったからだ。

「…凄いわ。思いもしなかった。安易に決めて良いんだろうかって聞いていて怖かったんだけど、藍くんは共有だし味方だもんね。だから疑うとかないけど、相良さんと寧々さんは味方かどうか分からないから、それに流されてたらどうしようって。」

藍は、フフと笑った。

「あの二人は多分、村だよね。今はそう思うってだけだけど。もっと情報が欲しいから、ああして言ったんだと思うんだ。怪しまれて占われても構わないって意思を感じるよ。仮に人外に鬱陶しがられて黒を打たれても、それで偽が透けるぐらいに思ってるんじゃないかな。話し方から、めちゃ慣れてるなって思うし、初心者ではないよね。」

拓三が、合流して来て、言った。

「なんだ?目立つ人達のことか?」

藍は、頷いて拓三を見た。

「そうだよ。君も目立ってたよね、拓三。あ、拓三さん。」

拓三は、笑って手を振った。

「拓三でいい。まあな、意見は落としとかなきゃ、いつ噛まれるか分からないしな。ちょっとは鬱陶しがられても良いかと思ってるし。」

わらわらと、他の人達もキッチンから飲み物を手に寄って来た。

「なあに?ここでまだ議論してるの?」

そう言ったのは、美沙子だった。

拓三は答えた。

「いや、振り返りかな。君は鈴音さんからあんなこと言われて疑われたけど、どう思う?」

美沙子は、顔をしかめながら空いているソファに座った。

「まあ、確かに私は人狼ゲームはそこまで詳しくないけど、仕方ないわよね、白を見た所を言うしか。それで囲いとか言われても戸惑うばかりよ。呪殺を出すしか方法はないよね。」

藍が、頷く。

「真占い師にはそれしか証明する術がないよね。」と、久司と相良も来たのを見た。「あ、相良、久司さん。」

久司は、ソファに座りながら言った。

「なんだ、まだやるのか?ちょっと休ませてくれ。頭がパンクしそうなんでぇ。」

藍は、苦笑した。

「振り返りだけだよ。久司さんの白は涼次さんで確定霊媒だから、絶対囲いがないわけで、だから真目が上がってるんだけどどう思う?」

久司は、顔をしかめた。

「まあなあ、オレは真だから。分かってもらうのは助かるけど、そもそも囲いがあるという考えも推測なだけだろ?オレの相方が確実に一人居るから、もし間違いで吊られちまったら面倒だなと思うな。やっぱり、一人きりになるのは不安だ。狩人が噛まれたら、オレは次の日死ぬことになるしなあ。相方には生き残って欲しいんだよ。」

拓三が言う。

「囲いもないのに霊媒に出ない意味が分からないしな。オレは囲いが発生してるって考えてとりあえず進めるのがいいと思う。何も分からないんだから、初日はそれで何とかお茶を濁して、明日からの結果とか、情報にかけるしかないんじゃないか。」

確かにその通りだ。

情報が少ない初日は、とにかく意見を出し合って、多数の納得できる意見に沿って吊るよりない。

何しろ、まだ襲撃も起こっていないし、情報が少な過ぎるのだ。

「いっそ噛まれたらいいのかしら。」美沙子が言った。「そうしたら、自分の結果だけでも信じてもらえて貢献できるでしょ?」

久司が、美沙子を見た。

「君が相方ならもうちょい頑張って生きてくれと言いたいけどな。一人で占うには人数が多いから、占い師の中に狐が居たら処理も早いだろうが、グレーの狐はなかなか処理できないし。吊られてても分からねぇだろ?狐って。最後まで運任せになるもんなあ。」

美沙子は、久司を見た。

「私だって相方が誰なのかまだ分からないわ。今あなたも言ったように、人外が必ず囲っているとも限らないでしょ?だからあなたがたまたま霊媒に白を打った人外ってこともあり得るものね。確かに初日から囲うのはリスクがあるし、人外が囲っているのか私には分からない。一人ぐらいは囲って居そうには思うけど。それが誰だか、自分の白以外には分からないものね。」

相良が、言った。

「囲いの件は確かに推測でしかないし、君が言うように占い師に出ている全ての人外が囲っているとも限らない。これは、賭けなのだよ。縄に余裕があるからこそ、初日はそれができるのだ。明日の結果次第で方向を変えて行くこともできるしな。」

じっと聞いていた、正俊が言った。

「確かにね。あゆみさんが言うように、人外同士で全く同じ意見を出してるはずもないし。簡単に捕捉されるからね。でも、情報がないから僅かなことで疑って行くしかないんだ。多分、違う意見を出してるということは、一人は囲いナシの意見を出してるわけだろ?それを探し出せるから、少数派から吊るのは間違ってないと思うんだ。」

美沙子は、頷いた。

「そうね。午後からしっかり三人の意見を聞いて、人外が居ないか見ておくわ。」そこへ、鈴音が一人でやって来た。「あら。彼氏…いえ、旦那さんは?」

鈴音は、ブスッとした顔でソファに座った。

「まだ結婚してないんで。」

さっきは結婚したと言ってなかったか。

志乃も藍も思ったが、何も言わなかった。

鈴音は、続けた。

「あの、料金を払ってる件で。涼次さんに話したらどうだって、京太さんが呼びに来たから。別に後でいいって断ってたけど、結局押しきられて連れて行かれちゃった。」

相良が、眉を寄せた。

「料金を?これはタダだったはずだが。」

拓三が、言った。

「なんか支払ったみたいなんだ。だから詐欺じゃないかって、さっきキッチンで話してたんだよな。これに来る事を知った誰かが、運営を騙って支払わせたのか、運営が払わせたのか知らないが。」

相良は、首を傾げた。

「…セキュリティはしっかりしていたように思うが。私はそういうことに敏感で、調べてからでないと連絡などしないからな。参加が漏れることはないし、SNSでの投稿も禁じられていたはず。詐欺師に知られる隙などなかったはずだが。」

「でも、支払ったんです。」鈴音が、相良に訴えた。「総額二人で60万ぐらいだったから、私も20万は負担して冬也さんに渡しました。」

確かに、この豪華な屋敷に10日となれば、交通費合わせてそれぐらいはするかも知れない。

だが、本当にタダだった。

志乃からしたら、あの嘘つきな冬也のことだから上手いこと言って鈴音からもお金を巻き上げたのだと思うところだが、冬也自身が本当に詐欺に合ったかもしれなくて、真相は分からなかった。

だが、恐らく冬也が嘘を言っているのだろうと志乃は思っていた。

それは藍も同じなようで、眉を寄せて言った。

「あのさあ…もしかして、だけど。彼氏はそれ、真相知ってるんじゃないの?」鈴音が驚いた顔をすると、藍は続けた。「だって、他の誰もそんなこと言ってないよ?詐欺だったら、全員の情報は漏れてることになるのに、どうして冬也さんだけなのさ。しかも、まんまと引っ掛かって。そんなに大金なのに。で、涼次さんに相談できるのに渋ってたんでしょ?ほんとに詐欺られたの?」

皆が、黙り込んで鈴音を見ている。

その空気に、皆が同じ考えでいるのを鈴音は知った。

「そ、そんなはずない!」鈴音は、立ち上がって言った。「涼次さんとの話を聞いて来る!」

そうして、そこを飛び出して行った。

美沙子が、憐れむような目でそれを見送りながら、言った。

「…信じられないのよね…だから男って。」

過去に、何かあったのだろうか。

皆は思ったが、誰も何も言わなかった。

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