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その夜、昼と同じような議論が進み、もう吊り先は決まっているので将也以外はおっとりとした雰囲気のまま、投票は満場一致で将也が吊られて行った。

残った占い師は二人。

相良は、苦渋の決断をした。

「…今夜は、充希には霊媒を占ってもらう。」充希が驚いた顔をする。相良は続けた。「なぜなら、最後に決め打たなければならないからだ。君のグレーは後6人だが、その中で隼人は将也から白だと漏れた。健太はこれ見よがしに黒いので吊れるだろうし、後は冬也と寧々さんと拓三と篤史。この中から生き残れたら白狙いで一人占って、残りの中から白を一人見つけて他を吊りきれば勝てる可能性がある。考えは変わるかもしれないが、とにかく霊媒を手探りで吊るのは危ないので、必ず生き残れる今夜は霊媒で一つ、占って欲しい。二人指定する。京太か、涼次。」

充希は、ためらいながらも頷いた。

「分かった。あゆみさんは外すんだな?」

相良は、頷く。

「外す。あゆみさんが黒なら吊れる。」と、久司を見た。「君は、まだ真置きできないが確定した時に強い場所を占ってもらう。充希の補佐だから、白狙いで行こう。寧々さんか、拓三。この二人から色をつけてくれ。」

久司は、頷いた。

「分かった。じゃあオレはその二人で。」

将也が、まだ倒れたままだ。

男性は重いので、みんなで運ぶ必要があった。

「…じゃあ、運ぼうか。見つけられたとはいえ、狼として村に情報を落としてくれたのには感謝しよう。」

皆が神妙に頷いて、そうして皆で、二階の4号室へと将也を運び込んだ。

皆で運び込んで廊下へと出てきた時に、隼人が、ポツリと言った。

「…睦美さんの部屋、鍵がずっとかかってて入れなくなってるんだ。」

相良が、眉を上げた。

「君は死体に用があったのか?」

拓三が、うえ、と言う顔をした。

「おい、死んでるからって変なことしようとしたんじゃないだろうな。」

隼人は、ブンブン首を振った。

「違う!ただ、顔を見たいなと思っただけだった。でも、次の日には部屋に入れなかったんだ。」

相良は、頷いた。

「知っている。」

皆が、え、と相良を見た。

死体に用があったのかと今聞いたのではなかったか。

相良は、皆の様子を見て、顔をしかめた。

「何を考えているのか知らないが、時間が経てばどうなるかわからないから、調べようとしたのだ。仮死状態なら変わらないだろうと思ってな。結論、夜に吊られた人達の確認はできなかったが、襲撃を受けた人達は皆、夕方になってもそのまま、つまり死にたてほやほやの状態のまま維持されていた。次の日はわからない。鍵がかかって入れなかったのでね。」

健太が、言った。

「つまり、死んでないの?」

相良は、首を振った。

「わからない。見た目は死んでいる。が、死後の変化がない。それだけだ。」

やっぱり勝てば帰って来られるのだ。

皆が、そう思った。

というのも、全員の目に希望の色が浮かんだからだ。

相良は、言った。

「さあ、皆部屋に帰ろう。明日に備えるんだ。役職は役職行使を忘れずに。私はパンでも取って来る。」

皆が、わらわらと部屋に戻り始めた。

階段へと向かう波に乗って、相良がそちらへ足を向けると、二階の者達は皆部屋へと戻り始めた。

その中で、相良は充希を呼び止めた。

「そうだ充希。」充希は、振り返った。「話がある。私が噛まれた時のためにも、ま、もう狼には余裕がないだろうが、話しておかないとな。」

充希は、躊躇ったが、頷いた。

「何だ?」

「キッチンへ行こう。」

充希は頷いて、相良について階段を降りて言った。


キッチンへ着くと、その扉を開け放ったまま、外を警戒して、小声で言った。

「…充希。今夜は涼次を占って欲しい。」

充希は、え、と驚いた顔をした。

「え、でも久司の白だよ?」

相良は、頷く。

「分かっている。だが、まだ久司が信じられないのだ。あまりにも上手く行きすぎている。確かに久司は初日から狼を追い詰めているが、狼の敵は村人だけではない。」

充希は、息を飲んだ。

「…狐ってこと?」

相良は、頷く。

「本当なら、美沙子さんを呪殺したと思う所だが、狼ですらわからない噛みになってしまっていた。将也は護衛が入って無さそうな所を噛んだと言っていた。確かに久司は真目をとっていたし、私も初日から護衛を寄せていた。狼目線、美久が捕捉されそうでとにかく真らしい所を処理したくて、自分達寄りの意見を落とす、充希のことは噛まなかったのだろうと思われる。狐だったら噛めないからな。あの時美久さんが視点破綻したのは、充希が狐じゃないかと噛まなかった考えが残っていたからではないかと思うのだ。だが、君は真。美沙子さんは噛めたのか呪殺なのかわからない。将也は、残りの狼保護のためにも、狐を探させて村の気を反らそうと出てきたのだと思われる。指定されて、君から黒が出るのを知っていただろうからね。」

充希は、困ったように相良を見た。

「でも、無駄占いになるんじゃ。久司さんが真ならオレの結果も変わらないよ。」

相良は、首を振った。

「それならそれでいい。霊媒決め打ちの時、二択に絞れるからな。とにかく、君は必ず涼次を占ってくれ。」

充希は、言った。

「でも…久司さんは落ち着いてたぞ?涼次さんが指定先に入ったのに。」

相良は、頷いた。

「それは君が自分を真置きしているのを知ってるし、色がついていない所を、つまり京太を占うと思っているからだ。現に君は、京太にしようと思っていただろう?」

言われて、充希は黙った。

確かにそうだったからだ。

「…分かった。それで久司さんの真贋が確定するとは思えないけど、占ってみるよ。明日結果が出るよね?」

相良は、頷いた。

「出る。呪殺か噛みかわからないことはない。狼だって狐を知りたいだろうから、指定先を避けて来ようとしてるはず。久司が真なのか、そうでないのか知るためには、占い指定先を噛むわけにはいかないんだ。狼だって知りたいんだよ。」

そこまで考えて指定したのか。

ということは…。

「…狩人は、拓三か、寧々さん?」

相良は、頷いた。

「拓三だ。だが、、顔に出すなよ。怪しむぐらいがちょうどいい。拓三は残る。狼は別の所を噛むだろう。何にしろ、明日だ。」

充希は、そこまで考えているなら従うしかない、と思った。

そしてその夜は、充希は涼次を占ったのだった。


次の日の朝、毎朝の点呼が始まった。

二階は、相良、久司、隼人、京太しか居ない。

その全員が出て来たところで、誰も死んでいないことが分かった。

「…三階へ行こう。」

相良が言うと、他の三人は頷いた。

人狼が噛んでいないなどということはあり得ないので、恐らく三階で誰かが犠牲になっているはずだった。

階段を上がって行くと、そこに居た冬也が、振り返って言った。

「…正俊が出て来ていないんだ。それに、涼次も。」

皆が目を見開く。

その二人が居なくなったのなら、今この階に居るのは拓三、冬也、寧々、充希、健太、篤史、あゆみの7人のはずだった。

「…やはり狼は、狩人目の確白を噛んで来たな。」

相良は、呟くように言った。

正俊は、充希の初日白で村目線確定白だった。

狼は、残っている中で狩人ではなくても潜伏している狼にダメージが無いようなところを噛んで来たのだ。

拓三と寧々が、正俊の部屋から出て来て、皆に首を振った。

「死んでる。」

拓三が言う。

充希と健太が、涼次の部屋から出て来た。

「こっちも死んでるよ。どっちだろう?普通に考えたら、どっちかが指定先に入ってたのは充希だから、涼次を呪殺って事になるけど。」

久司が、言った。

「…噛まれたのは涼次だろう。」皆が振り返ると、久司は続けた。「すまない。確定白だとか言われているが、美沙子さんがもしあの日充希を占っていなかったらとか考えると、充希が狼を吊るしあげて行く狐かもと思って。囲われて平然としている、正俊を占った。だから、オレが呪殺したんだと思う。美沙子さんが真で、あの日充希を占ってないんだと思う。」

充希は、困惑した顔をした。

「どういうことだ?そんな事があり得ると思うか。仮にそうだとして、狼が狐を助ける噛みなんかするか?昨日は絶対、指定先に入っていない所から噛んで、狐の位置を知りたいと思ったはずだ。呪殺と重なったらまた分からなくなるからだ。絶対オレが呪殺して、狼が正俊を襲撃したんだ!涼次は狐、将也が言っていたのは、この事だったんだ!霊媒師に狼陣営が出ていないのを知ってるから、霊媒には狐が居て、占われないから安全だ、って。狼だって、狐を処理したかったんだよ!久司さんが初日に涼次を囲って、白先の相互占いを避けるために霊媒COさせたんだ!久司さんが狐だよ!美沙子さんがオレの相方だったんだ!」

相良は、ため息をついた。

まさか、予想していた事がそのままだとは思わなかったのだ。

「…とにかく、昨日の結果は?京太、あゆみさん?」

二人は、視線を交わして一斉に、言った。

「「黒。」」

将也は、人狼。

人狼目線の話は、嘘ではなかった。

相良は、頷いた。

「占い師は双方呪殺を訴えているので、白だったと分かる。では、この結果を持って7時に居間へ集合。解散。」

皆、まだ何か言いたそうだったが、それでも準備があるのでそそくさと部屋へと帰り始めた。

相良は、そんな中で冬也に話しかけた。

「…ちょっといいか。」

冬也は、足を止めて振り返った。

「え?なんだ?」

まさか疑われているのか。

相良は、表情からそれを察して、怪訝な顔をしながらこちらを見ている皆の視線に気付いて、苦笑した。

「いや、後でいい。ではまた。」

相良は、そこを離れた。

そうして、朝の会議へと向かって行ったが、もう吊り先は決めてしまっていた。

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