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昨日とは違って普通に話し掛けて来る正俊と共に朝食を済ませた志乃は、会議の席へと向かった。

今日は、本当に皆の対応は分かれていた。

隼人は相変わらず汚い物でも見るような目で志乃を見るし、寧々や久司は親しげに話し掛けて来てくれていた。

冬也まで普通に話し掛けて来るのには困ったが、今は敵を作っている場合ではないので、志乃は普通に対応していた。

席につくと、相良がホワイトボードに既に結果を書いて待っていた。

そして、言った。

「改めて結果を確認する。」まるで大学の講義のようだった。「美沙子さんが犠牲になった。久司は美沙子さん白、充希は美久さん黒、美久さんは久司白。霊媒結果は睦美さん確定白。護衛先は久司。私の考察は後で話すとして、村の意見を聞こう。」

隼人が、叫ぶように言った。

「だから!睦美さんは白だったじゃないか!美久さんが真で美沙子さんが相方で、昨日噛まれたんだよ!充希は呪殺できないから、美久さんに黒を出すしかなかったんじゃないのか!だから、久司さんは狂信者なんだ!」

志乃は、驚いた。

そういう目線もあるのだ。

拓三は、言った。

「お前目線、なんで久司さんの呪殺の線はないんだ?美沙子さんが狐で、久司さんが呪殺を出していて狼がそこを噛み合わせて来たとか、狩人の護衛成功が出たとかそこはないのか?睦美さんをそこまで真置きする理由はなんだ?」

隼人は、一瞬怯んだが、答えた。

「それは…睦美さんが本気で怯えてたからだよ!演技であんなに震えて泣けない!」

久司が、言った。

「まあ吊られたら死ぬから人外だろうが本気で怖いだろうけどな。」と、ため息をついた。「オレ目線じゃ、いろいろある。美沙子さんが相方で襲撃されたのか、狐でオレが呪殺したのか今の時点じゃ分からねぇ。狂信者だったら狼が噛む理由もないしな。だが、村目線オレが狂信者で、狼が真を取らせたくて噛んで来たとも考えられるんじゃねぇか?何しろ死体が一つだからな。オレにゃまだ、誰が自分の相方なのか分からねぇよ。話を聞いて考える。」

充希が、言った。

「オレ目線じゃ、美久さんが黒だったことから志乃さんが真、睦美さんが狂信者だから志乃さんを庇っていた久司は限りなく真だ。美沙子さんは昨日も蚊帳の外だったし、村人と狼の争いを静観していた狐だとしたら分かるから、呪殺なんだと思ってる。となると、守り先が久司だったから、昨日久司を指定先にされていた、美久さんが呪殺を装おうとして護衛成功されたんだと思う。そうでなくても、噛み合わせて来たんだと思う。久司が呪殺したと分かったら自分に吊り縄が伸びるかもしれないから、他を噛めなかったんだと思う。」

充希が、ここへ来て志乃目線白い。

よく考えたら、充希が真なら誰より盤面がクリアに見えているはずなのだ。

美久は、キッと充希を睨んだ。

「私目線では、久司さんが相方で美沙子さんを呪殺したのか、美沙子さんが相方で久司さんが狂信者なのか分からない。でも、昨日黒の志乃さんを庇っていたから、狂信者なんだと思うわ。美沙子さんが相方で、充希さんが狐。今夜充希さんを占わせてくれたら、きっと呪殺を出すから、今夜は志乃さんを吊って欲しい。充希さんは偽物よ。昨日真の睦美さんを吊ってしまっているから、今日は村目線でも志乃さん吊りが安定のはずよ。」

充希は、叫んだ。

「志乃さんは真共有者だ!だって美久さんは黒だったんだ、その美久さんが志乃さんに黒を打ってるんだぞ?!睦美さんは狂信者だった!あれだけ発言しなかったのに、まだみんなあれで共有者だと思ってるのかよ?!」

美久は、言い返した。

「あなたは狐よ!それとも、狼なのかしら?黒出しされるのが嫌で、真の美沙子さんを噛んだんじゃないの?!狼と狂信者が占い師に出てるんじゃないの?!」

相良が、ため息をついて其れを制した。

「…待たないか。」落ち着いた声音に、二人はびくりと黙った。相良は続けた。「感情的な発言は控えて欲しい。私はそういう議論が嫌いでね。特に感情だけで何の論理も感じられない意見には耳を傾けたくないのだ。」

隼人も、その冷たい威圧感に身を縮めた。

そんなはずはないのに、簡単に殺されてしまいそうな圧を感じるのだ。

相良は、言った。

「…私の考えを話そう。私は、昨日からこれを想定して全て指定していた。狼が久司を噛んで来るのではと考えて、狩人の護衛を向け、潜伏臭がする美沙子さんが狐と仮定して真ではないかと思われる久司に占わせて結果を待った。充希の真贋がまだ分からないので、美沙子さんが真であった時の事も考えて、狼ではないかと疑っていた美久さんを占わせた。そうすることで、連携しているように見える二人の位置が見えると思った。充希は、黒を出した。偽なら、白と言った方が前日までの自分の行動と合致して村を納得させやすいだろう。なので、充希は久司の次に真ではないかと今は考えている。昨日睦美さんを吊ったことから、村目線志乃さん真軸で進めた方が良いのではないかね?私は、結果を聞いた時からそれが良いと思っていたが、反発する村人も居るだろうと志乃さんとのランと言った。だが、私は今の話を聞いていても、美久さん吊りで良いと思うがね。」

それには、健太が言った。

「…どうしてそう思うんですか?両方とも対抗してるんだから、言い合いになっても仕方がないんじゃありませんか?昨日から偏り過ぎてるんですよ。今日は志乃さんを吊って、美久さんが言うように充希さんを占わせたらいいのでは?」

相良は、答えた。

「美久さんの意見がそうだからだ。久司が狂信者が堅いという発言をして美沙子さんが真の相方だと言っていたにも関わらず、自分に黒を出した充希を狐置きしたからだ。今の言い合いで狼ではないかとも言っていたが、しかし美沙子さんが真で狐だと先に発言していた。その考えは破綻している。だから美久さんを吊った方が良いと思ったのだ。」

健太は、困惑した顔をした。

「え…どうして破綻?」

寧々が、助け船を出した。

「なぜなら、美沙子さんが昨日充希さんを占っているからよ。」皆が寧々を見た。寧々は続けた。「美久さんは把握漏れをしているのよ。美沙子さんが充希さんを占っている事は分かっているの、だって美沙子さんから黒が出るのを恐れてとか発言していたから。美沙子さんが真だったら、充希さんが狐はあり得ない。なぜなら、充希さんは生き残っているから。占い師は噛まれてもその日の占いはできるわ。占っていて、狐だったら充希さんが生きているのはおかしいのよ。だから、美久さん目線美沙子さんが真だと言うなら充希さんは狼でしかあり得ないの。久司さんに白が出ているから狂信者。充希さんを狐だと考える時点で、美沙子さんは相方ではあり得ないのよ。狐だと思うのなら、久司さんが白だから真、美沙子さんが呪殺のできない狂信者で、狼がなぜかそこを噛んだ、という事になるわ。私は、昨日の時点で狼が占い師の狂信者を噛む意味が無かったと思っているから、美久さんから充希さん狐、という考察が出て、しかも必ず呪殺を出すからもう一日占わせてという言葉まで出ているのは、自分視点でしっかり盤面が見れるはずの真占い師だとは思えないわ。」

そういう事なのか。

志乃は、説明されて初めて分かった自分が不甲斐なかった。

そうなのだ、美沙子が真なら充希は狐ではあり得ないのだ。

それを、真っ先に相方が誰だと探している真占い師の美久が、気付かないはずがない。

そう、寧々も相良も言っているのだろう。

美久が、慌てて言った。

「それは、今朝の結果で分かったことだったから、まだ考察が追い付いていなかっただけよ!説明されて、確かにそうだと思ったわ!じゃあ、充希さんは狼なんだわ、美沙子さんが真なのか久司さんに呪殺された狐なのかは分からないけど。説明してもらって、やっと追いついたわ。」

それには、久司が怪訝な顔をした。

「え?オレ達って占い師だから、自分目線でのことはしっかり考えられるだろうが。追いついてないって、たった四人しか居ないのにか?君目線、オレは狂信者か真だろ。オレ目線、君は占ってないから何でもあり得るんだよな。美沙子さん真だったら、オレが狂信者になるから狼がオレに真を取らせようと噛んで来たことになるけど…君目線じゃ、それなら充希は狼だから、占い師に狂信者と狼が出ていることになって、狼は自分の占い先の君を噛むんじゃなくて、オレの占い先の美沙子さんを噛んだのはなぜなんだ?君が狐かもと思ったって意見は通らねぇぞ、狂信者と狼はお互いを知ってる。占い師に、狐が出てないことを狼は知ってることになるからな。呪殺を装うなら、絶対狼の占い先の君を噛んだはずだ。だから、それは不自然だ。ということは、君目線じゃオレが真の可能性が高くないか?そして、君自身が真なら美沙子さんは呪殺。充希が狼か狂信者。やっぱりどう考えても、どこから狐という発想が出て来たのか疑問だな。」

美久は、久司を見た。

「あなたが真なら美沙子さんを呪殺したんでしょうけど、だから分からないのよ!あなたが白だってことしか!」

充希が、言った。

「だから!情報を元に自分目線で考えて、あり得る事を話さなきゃならないんだっての。君は全く自分目線を整理できてないじゃないか。狼目線とごっちゃになってるから、分からなくなってるんじゃないのか?久司さんが真だと知られたくないけど、真が確定した時に面倒だから白を打ってややこしくなってるんじゃ。そうだよ、きっと昨日噛んでて今朝は自分が呪殺したって報告しようと思ってたのに、護衛成功が出て混乱して視点がぐちゃぐちゃなんじゃないのか?狼だから、どう言ったら破綻しないか考えるのに必死なんだろ。」

美久は、髪を振り乱して言った。

「やめてよ!あちこちから責められたら余計に分からなくなるわ!パニックになるのよ、ちょっと黙ってよ!」

相良が、息をついた。

「…では、一時休憩を入れよう。」皆が、困惑した顔を上げた。「占い師同士の相互占いをしたら、こうなることは分かっていたことだ。誰が一番、きちんと自分の視点で話が出来ているのかで真贋が見えて来ると思っている。私から言えることは、破綻なくきちんと盤面を詰めて来てくれ、ということだけだ。村人達は、あらゆる場合を想定して誰が真なのか見極めようとするように。ただぼうっと聞いているだけでは無駄に吊られる事になる。そうして、村人を皆殺しにすることになるぞ。感情など捨てろ。自分が死にたくないのならな。」

最後は、隼人の方を見たように思う。

隼人が下を向いた中、全員が解散して、次はまた昼の13時に集まることになったのだった。

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