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それから、朝食を摂ろうとキッチンへと降りて行った時も、皆は遠巻きで志乃に話しかけては来なかった。

正俊だけが、少し話しかけてくれたが、申し訳程度のことで、さっさとパンを持ってキッチンから出て行ってしまい、一緒に食事をすることはなかった。

皆、キッチンに入って来ても、志乃が居るのを見ると、ささっと食べ物だけ持って、軽く会釈をするだけでそこを出て行ってしまう。

なので、結局は志乃は最後までひとりぼっちで、藍の存在の大きさを今さらながらに気付いていた。

それでも、自分は黒のはずはない。

共有者の、藍の相方なのだ。

めげそうになる自分を奮い立たせて、それでも歓談している皆の所に行くのは憚られて、時間ギリギリまで一人、キッチンで過ごしたのだった。


10分前になり、そろそろ大丈夫かと出て行くと、もう全員が椅子に腰掛けて待っていた。

慌てた志乃は急いで自分の椅子へと座り、相良がそれを見届けてから、話し始めた。

「…結果を書いておいた。」と、ホワイトボードを振り返った。「久司が私白、美沙子さんが隼人白、充希が睦美さん白、美久さんが志乃さん黒。霊媒結果は鈴音さん白確定。共有者の藍が襲撃されて、相方に睦美さん、志乃さんがCOした。猫又は私で確定。じゃあ、まずは占い師達にどうして二人の内そちらを占ったのか聞く事にしよう。まずは、久司から。」

相良の進行には、迷いがない。

久司は、頷いた。

「オレは、色がついている所より、まずは完全グレーを消す事から始めようと思って相良を占った。相良は敵に回すとかなり危ないので、早めに占いたかったので、指定に入ってすぐ占わせてもらったが、結局猫又だったわけだ。オレは結果、役職ばかりに占いが当たっていて他の占い師よりグレー幅が広いので、焦ってる。」

相良は、頷く。

「次は美沙子さん。」

流れ作業のような感じだ。

美沙子は、答えた。

「私は、将也さんより前日疑われていた隼人さんに色をつけてあげた方が、今日の吊り先に困らないかと思って占ったわ。結果は白だったし、良かったと思ってる。村人を吊らずに済むから。」

相良は、言った。

「…ま、外の占い師目線ではまだ白ではないがな。」と、充希を見た。「では充希。」

充希は言った。

「オレは、疑われてるのにあんまり何も言えずにいるのが気になって、黒なら黒で良いやと占ったら白だったよ。だから、睦美さんは狐でも人狼でもない、真共有者だと思うよ。だから、今は占い結果が合う美久さんが相方かなって思い始めてるところ。」

相良は、眉を寄せた。

「…君目線、まだ狂信者という可能性があるがね。」充希は驚いた顔をしたが、相良は構わず美久を見た。「美久さんは。」

美久は、答えた。

「私も、疑われているところを占った方が良いと思ったの。だから、志乃さんを占った。結果は黒よ。」

相良は、頷いて皆を見た。

「狩人を私は認識した。狩人は共有者の相方を聞いていなかった。昨日の守り先は、涼次。霊媒から減らしに掛かると見たようだ。霊媒結果は、鈴音さん白。役職の数を見ても、恐らく鈴音さんは村人だった。その鈴音さんと争っていた志乃さんは限りなく黒く見えるが、しかしだからこそ狼が黒を打って来たようにも見える。志乃さん真の場合、潜伏共有対策のために、夜そうなったときには誰が騙ると決めていたはずだ。また、睦美さん真の場合。昨日は一番意見を落とせていなかった位置で、怪しむ気持ちは分かる。狼から何らかの形で共有と透けていたとしたら、対抗に出ても勝てると思われて対抗して来たとも考えられる。どちらにしろ、誰かが藍から相方を聞いていたら終わりだったから、狼か狐か知らないが、騙るのは賭けだったろうな。賭けに勝ったわけだ。」

拓三が、言った。

「オレは志乃さんから吊る方が良いと思う。なぜなら黒が出ているし、昨日藍は志乃さんと鈴音さんの二択になろうとしていた時も、特に止めようとしていなかった。睦美さんのことは、最初吊られそうになった時も、しっかり考えようと庇う素振りがあった。藍が、睦美さんを相方と知っていたなら分かる行為だと思う。」

志乃が、言った。

「でも、共有トラップのつもりだったの!ああして疑われた私だから、あのまま吊られなければ人外が確実に黒を打って来るだろうって。そうしたら、偽の占い師の一人が分かるわ。だから、昨日COしなかったの。睦美さんは、自分を吊ってくれても良いと発言しているのよ?共有者は、生き残らないといけないわ。確定村人なのに。藍くんが私を庇わなかったのは、バレたら噛まれるかもしれないし、そもそもトラップに掛けられないからよ。」

睦美は、か細い声で言った。

「それは…私がこんな風だから、生きていても足手まといになるって思って…。」

隣りの隼人が庇うように言った。

「あれだけみんなで責めたんだから、自暴自棄になってもおかしくないだろう?結局、分かってた仲間って藍のことだったんじゃないのか。今日も責めるのか?白が出てるのに、黒を出された志乃さんが真だって言うのか?」

皆が顔を見合わせる。

寧々が、言った。

「…そういうことではないのよ。そもそも、相良さんが言っていたように、仮に充希さんが真で、白結果であって生き残っていても、狂信者という線は捨てきれないわ。その場合、霊媒に狼が出ていると考えるのが自然よね。狐は二人きりだしそんな危険は犯さないでしょう。狼だって、吊り対象に上がりそうなら出るかもしれないし、最初から霊媒に出ようと奇策に出ているかもしれない。そこはまだ分からないわ。」

充希は、言い返そうとしたが、留まった。

確かに、その通りだからだ。

健太が、言った。

「…でも、行動が黒いのは志乃さんだと思う。昨日から黒いと思ってて、なのにみんなが鈴音さんに入れるから。白の鈴音さんとやり合ってたんだよ?」

久司が、言った。

「だが、理由としては志乃さんの発言の方がしっくり来る。というのも、いくら役に立たなくても、共有は生きているだけで確定村人として役に立つ。吊ってくれという意見は、オレは好きじゃねぇ。村人なら鈴音さんや志乃さんのように、抗わないと勝てないからな。安易に決めたらまずい。昨日白を吊っちまってるから、縄余裕が失くなるんだ。共有なんか吊ってる暇はねぇ。本当に共有なら、生き残ろうとしなかった睦美さんの方がオレには人外に見える。例えば、狂信なら狼だって差し出すだろうしな。だから、もし睦美さんが偽でも充希が真の線もまだオレは追ってる。美久さんは打ちやすい所に黒を打って来たように見えてる。」

志乃は、ホッとした。

まだ、頑張って話せば分かってくれる村人も居る。

しかし、充希は首を振った。

「そんな薄い線は追ってないよ。やっぱり美久さんが相方かな。久司は黒の志乃さんを庇ってるように見える。」

健太も、頷く。

「僕にもそう見えたよ。充希と美久さんが真占い師なのかな。」

しかし篤史が、眉を寄せた。

「…でも、言ってることは妥当だ。確かに昨日から、事ここに到ってまだ睦美さんの発言は薄い。なんか落ち着きがないし、嘘がバレるから話せないんじゃないかと思って来た。もっと話す事があるだろう。藍に、何か言われてないのか?いくらなんでも相方なら、隠れて話してる事があるんじゃないのか。」

睦美は、怯えたように篤史を見た。

「それは…バレたらいけないから。急に仲良くしてたらおかしいでしょう?こそこそしていたらそれこそ勘繰られてしまうわ。」

志乃は、言った。

「…昨日の朝の会議の後に、部屋に来てしっかり発言しないと庇えないって言われたの。しっかりしろって。このままじゃ投票対象にされるからって。そこから、あまり話さなくなって、離れてたわ。多分、このままだと投票対象になるから、そうなったらトラップにしようと思ったんじゃないかな。私もメモを書いて一生懸命考えたの。でも、対象になってしまって…こうなったら、トラップしかないと思った。生き残らないと意味がないから、だから必死だったわ。」

寧々が、言った。

「確かにそれを生存欲だと言われて、余計に怪しまれたものね。私も共有者だったら同じように頑張ったと思うから、気持ちは分かるわ。」と、健太を見た。「あなたは、昨日から志乃さんで固定されているようだけれど、思考ロックは良くないわ。よく考えて吊り先を考えないと…私も最初、結果を聞いた時には志乃さんが怪しいかなと思ったのだけれど、こうして議論を始めたら志乃さんの方がしっかりした意見を出していて、睦美さんの意見はないようなものだわ。怯えていても、村は勝てないし、共有者が吊られてしまったら、最悪村人が皆殺しになってしまうかもしれない未来があるのよ?それで、ここに至ってもまだおどおどしているだけでは、村は救えないし、襲撃された藍さんも残念に思うと思うわ。もし睦美さんが本当に真なら、もっと意見を村に落とすべきだと思うから、今の時点では共有者なら私は睦美さんに投票すると思うわ。」

かなり強い意見だ。

だが、健太が言った。

「あなたも、何やら同じ陣営で庇っているように見えますけど。あなたはグレーなんですから、僕から見たらあからさまで怪しいと思います。」

だが、相良が割り込んだ。

「いや、私も寧々さんと同じ意見だ。」健太が、驚いた顔を相良に向けた。相良は続けた。「意見を出さない村人など、居ても無駄なだけなので、どちらかを吊るのなら今の時点なら睦美さんを吊る。とはいえ、昨日吊った鈴音さんが白だったことから、できたら決め打ちしたいところだがな。まだ、占い師にも霊媒師にも人外が居るのだ。狼も噛み先に困るところだろう。私は噛めないし、共有者もこちらが真だと言っているようなものなので噛めない。占い師の狼を保護したいだろうし占い師も噛めない。グレーを噛んだら狭まって潜伏している狼が補足される。私としては、焦れて役職を噛んでくれたらとは思っているがね。」

言われてみたらそうだ。

狼は、噛み先に困るのだ。

昨日霊媒師を噛んでいたら、今日もう一人の霊媒師を狩人との二択で勝って噛み抜けたら万々歳だったが、昨夜はひよったのか共有者を噛んだ。

涼次が、言った。

「この噛み、どう思う?」と、顔をしかめて言う。「どう考えても昨日は霊媒師を噛む方が良かったじゃないか。なのに、わざわざ共有者を噛んで来たんだ。ってことは、霊媒師に出ているのは、狂信者じゃなくて狼なんじゃないか?だから、ローラーを恐れて狼は霊媒師を噛めなくて、藍を噛んだんじゃ。となると、なんかスッキリして来ないか。狂信者が居ないんだ。占い師に出てるんだったら、別に狂信者だったら吊られてもいいから占い師を噛めば良かったのにそれもしなかったんだからな。充希の結果が真だとしても、睦美さんの偽はあり得るってことで、見えて来る感じがするんだが。どう思う?」

志乃は、ハッとした。

そうだ、もしかしたらそうなのかもしれない。

藍を噛んだのは、霊媒に狼が出ていてそれを保護したいからなのかも知れない。

なので、睦美が狂信者の可能性はあるのだ。

皆は、一気に複雑になって来た盤面に、顔を見合わせていた。

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