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志乃は、みんなが議論で何を言っていたのか、整理しようとメモを前にして愕然とした。

誰が何を言っていたのか、はっきり出て来ないのだ。

話しを聞いていなかったのではない。聞いていたが、誰がどのタイミングで何を言っていたのか、思い出そうにも流して聞いていたので、メモに起こそうにも書けないのだ。

仕方なく、さっきの鈴音の意見や、篤史、健太の意見を思い出して、そこを箇条書きにして書いては見た。

鈴音は、志乃が鈴音を黒塗りして来る人外だと言う。

藍や他の強弁な人達の影に隠れて、潜伏していると。

そして、志乃が真だと言う久司もだから怪しいとまで言い出した。

健太は、それに倣うような意見。

篤史は、睦美、志乃、鈴音が怪しいと言う。

占い師は美沙子が言い訳染みていて寧々の意見に同意だという。

久司、充希、美久、美沙子の順に信じているらしい。

ここに、何か人外らしいところがあるだろうか。

しかし、志乃目線では、自分を攻撃して来ている、鈴音が怪しいとか思えなかった。

まだ藍が出るように言わないので、志乃は出られないが共有者なのだ。

その確定村人を怪しむ鈴音は、志乃目線では本当に怪しく見えた。

そして、篤史は自分を特化して攻撃しているわけではないので、それほど怪しいとは思えなくて、鈴音に同意した健太が怪しく見えた。

何しろ、健太は安易に同意しているように見えるのだ。

健太自身の意見というより、怪しまれている場所を押して連れたらいいなぐらいに思っているようにしか見えなかった。

なので、志乃の意見としては、怪しいのは鈴音、健太、篤史の順だった。

…思えば、寡黙位置だと言われていたから、この三人は特に実のある意見なんか出していないんだ。

思い出せなくても、仕方がない、と志乃は自分を心の中で弁護して、ため息をついた。

これで、皆が納得してくれたらいいが、恐らく簡単には無理なような気がする。

何しろ、ここには鋭い人が多過ぎて、自分のようにぼうっとしていたら、例え村人でも役に立たないとさっさと吊られてしまう気がする。

まさか共有者は吊らないだろうが、それでも共有者だと出たら、皆に呆れられることだろう。

…藍の代わりに、自分が出てたら良かったのかな。

志乃は、思った。

だが、自分は進行などできそうにない。

いっそのこと、ただの村人でさっさと吊られてしまった方が、村のためになったのかもしれない。

志乃は、悩んでため息をついていた。

そして、いつの間にかウトウトと、気が付いたらベッドの突っ伏して眠り込んでしまったのだった。


不意に、ベルが鳴った。

「…志乃さん?」

扉がちょっとだけ開いた。

見ると、そこに居たのは正俊だった。

「正俊さん。」

志乃は、急いで立ち上がって扉の前へと行った。

「ああ、居た。そろそろご飯でも食べない?7時から会議だし、ゆっくり食べようと思ったらもう下に降りた方がいいと思うんだよね。」

志乃は、言われて机の上の金時計を見た。

…もう、五時半だわ。

志乃は、すっかり眠り込んでしまっていた自分に驚いた。

そして、正俊に頷いた。

「ええ。ありがとう、呼びに来てくれて。ちょっと待ってね、お手洗いに行って来る。」

正俊は、頷いた。

「うん。廊下で待ってるね。」

そうして、正俊が扉を閉めたので、志乃は急いでトイレへ駆け込むと、用を済ませて急いで外へと出て行った。

待っていたくれた正俊と共に、階段へと歩くと、正俊が言った。

「どう?姿見なかったから、どうしたのかなって思ってたんだよね。藍が、考えを整理してるんだろうからそっとして置いた方がいいよって言われて、それで今まで来なかったんだけど。下では、いろんな人が入れ代わり立ち代わりで、話してたんだ。」

そうだったんだ。

その会話を、聞くことができなかったのは、投票対象としてまずかったかもしれない。

志乃は思ったが、今更どうしようもないので、言った。

「…部屋で、メモしながら考えをまとめていたら、いつの間にか寝ちゃってて。来てくれてよかった。疲れてたのか、ぐっすりで。」

正俊は、苦笑した。

「そうか、考えが煮詰まって来ると眠くなるよね。でも、それならもっと早く起こしに来たら良かったな。結構、みんな下で話してたからね。でも、まあ志乃さんの事はそれほど悪くは言われてなかったから、大丈夫じゃないかな?ちょっと睦美さんの方が、まずい状況だけどね。」

志乃は、え、と正俊を見た。

「…何かあった?」

正俊は、頷いた。

「ちょっとね、失言して。大したことじゃなかったんだけど、みんなに糾弾されて大変だった。睦美さんは深い意味はないって言ってたけど…。」

志乃は、足を止めた。

「いったい、何を?」

正俊は、渋い顔をしながら、立ち止った。

「…誰が真占い師だと思う?って藍に聞かれて。最初は分からないって言って、久司さんが真かなって言ってたんだけど、それじゃあ皆と同じだから、他の占い師の事はどう思う?って皆に詰められたんだ。焦ったのか、ほんとに仲間しか分からない、って。」

仲間…。

志乃は、眉を寄せた。

仲間って、村人だったら仲間は分からないはず。

仲間が確実に分かっているのは、人外同士だけなのだ。

「…それって、ヤバイんじゃない?」

正俊は、神妙な顔で頷いた。

「そうなんだよ。すぐに京太さんに突っ込まれてね。みんなも直後は聞き流してたけど、え?ってなったし。他の人は分からないけど、睦美さんは絶対人外だってみんな思ってる。でも、睦美さんはほんとに深い意味はないの!って泣きそうになりながら必死に言ってたけどね。共有者でも仲間って言うだろうけど、藍が何も言わないんだから、睦美さんは相方じゃないよね。」

相方は私だもの。

志乃は、思って頷いた。

ということは、今夜はきっと睦美だ。

志乃は、寝ていて逆に良かったのかもしれない、と思っていた。

失言することが無いからだ。気が緩んだ時にふと言ってしまったことで、ポロッと意味なく何かが漏れてしまう事もあるかもしれないからだ。

それを拾われて、人外だと特定されてしまったら、簡単には覆らないだろう。

「…もしかしたら本当にそんなつもりじゃなかったかもしれないけど、それならきっと、今夜は睦美さんになりそう。だって、人外じゃないとそんな言葉が出るはずないって考えるものね。」

正俊は、歩き出しながら頷いた。

「そうなんだよね。みんなで寄って集って責めるように聞いてたから、女の子だし若いし、きっと頭に血が上ってわけわかんなくなったんじゃないかって思うんだけど。寧々さんも、僅かな事だから、まだ確定で睦美さんに入れるとは私は思っていないって言ってたんだけどね。もう、健太とか篤史とか、絶対おかしいって騒いでるし。」

睦美さんが矢面に立つことで、自分達が吊られない人ばかりね。

志乃は、思った。

睦美が本当に人外なのか分からないが、こうして怪しまれている以上、占い師達のグレーを狭めるためにも、今夜吊って色を見るのがいいのかもしれない。

そう思っている間に、居間の扉が見えて、正俊がそれを開いた。

すると、思った以上に多くの人達が、居間へと食事を持ち込んで、食べようとしているところだった。


皆の視線を感じながら、キッチンへと正俊と一緒に向かうと、キッチンの中でも数人がダイニングテーブルで座って居たり、電子レンジで食品を温めていたりしていた。

志乃と正俊に気付いた藍が、顔を上げた。

「あ、志乃さん、正俊。」と、今食べようとしていたお弁当を指した。「これ、冷凍庫にあったよ。昼間に食べた人達が、結構おいしかったって言ってたから。中華弁当なんだって。試してみたら?」

正俊は、頷いた。

「そうだな、中華か。」と、志乃を見た。「志乃さん、どう?」

志乃は、頷く。

「ええ。なんだかお腹が空いていたから、中華は嬉しいな。」

そうして、正俊を二人でお弁当を選び、電子レンジ待ちをしてそれを温めて、やっとの事でダイニングテーブルの椅子へと腰かけた。

そこに居た、久司が言った。

「で?他は話しを聞いたけど、志乃さんだけはまだだよな。なんかあるか?」

志乃は、ここでもこうして意見を求められるのかと困ったが、藍が言った。

「もう、ここはご飯でしょ?終わるまで待ったら?どうせ、7時にはみんなで集まって話しを聞くんだから。何度も同じことを話さなきゃならないから、面倒じゃないか。」

しかし、相良が言った。

「だが、他は話しを聞いてあるからな。志乃さんだけ、居なかったので聞けていない。睦美さんが疑われたのは、不意に出た失言だったが、志乃さんのように籠っていたら、それが無い。隠れていた人外だと言われたら、それまでだろう?」

やはり、話さずに通すことはできそうにない。

志乃は、観念して言った。

「…そうですね。正俊さんから聞きました。私は、失言する機会もそもそもないような状況だから、まだ信じられないってことですよね。」

相良は、頷く。

「その通りだ。君の場合は、どうも潜伏臭がするのだよ。それに、思ったほど意見が伸びないしな。何か情報を隠しているようにしか見えないのだ。」

それは、共有者なんですけど。

だが、ここで言ってしまうわけにも行かない。

まさか、この相良が人外だとは思わないが、万が一ということもあるのだ。

まだ、出る時ではないのだ。

「…そう言われてしまうと、私が安穏としていたのが悪かったと思います。そこまでゲームに必死でなかったから。でも、それではいけませんよね。私は、引き続き鈴音さんが怪しいとやっぱり思っています。私目線、私は村人なので、私に黒塗りして来る鈴音さんはとても黒く見えるんです。意見も、メタ発言ばかりでしょう?おまけに私だけが久司さんを真っぽいって言ってるわけでもないのに、私が言うから久司さんの真が無いような言い方をしていたし。私も、睦美さんも健太さんも、あの時点では条件は同じだったように思うんです。それなのに、私だけに言及するから。どうしても、あの中に他に仲間が居て、庇いたい鈴音さんが私を黒く塗って来たように見えて仕方がないんです。」

相良は、眉を寄せる。

久司は、言った。

「まあ…君達が、お互いに黒いと言うのも分かるんだ。メタになるが、仲が悪いとチョットの事で他より黒く見えるからな。うーん、じゃあどっちもどっちか。」

相良が、頷く。

「そうだな。今のところ、鈴音さんと志乃さんの色はどちらも黒寄りのグレーに見える。どちらも他より少し黒っぽい。」

黒っぽい?

志乃は、今のでそう感じるのかと、ショックだった。

一生懸命考えて来たつもりだったのだ。

だが、よく考えたらこの二人には、鈴音と言い合っていたのを聞かれてしまっている。

私情も挟まっていると、思われていてもおかしくはないのだ。

藍が、割り込んだ。

「ストップ。とにかく、ご飯だよ。議論は7時から。いいね?消化不良になっちゃうよ。」

志乃は、既に食べている物の味が全く分かっていなかった。

相良と久司がそれで黙ったので、志乃は助かったと急いで食事を進めて、早く今日が終われば良いのにと、うんざりしていたのだった。

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