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「オレは、もう涼次が相方だと思ってたからなあ。二人でどっちが生き残っても、頑張って行こうって話してたんだよな。何しろ、狩人は一人なのにオレ達は二人だし、霊媒師を守るってなっても狼との二択に負けて、どっちか噛まれる可能性が限りなく高いじゃないか。だから、何も疑ってなかった。上で、二人で確定白として話し合ってたぐらいだからな。そう信じて疑わなかったのに、今更あゆみさんがCOして来ても信じろってのが無理だ。オレが涼次を疑う時は、お互いに違う結果を出した時ぐらいだろうな。」
それには、涼次も頷いた。
「オレも。二人で朝の会議が終わってからずっと一緒に行動していたが、話していても人外のような違和感はなかったし。後からあゆみさんが出て来ても、自分の相方だって思うのは無理だ。もちろん、あゆみさんが真の可能性もあるのは分かるけど、今京太が言ったように、結果が違った時に初めて疑うかなってぐらい、京太を信頼してるよ。だから、すまないが今日はあゆみさんに投票すると思う。」
志乃は、それを聞いて皆同じ気持ちなのではないか、と思った。
そうなることが分かっていたのに出て来たあゆみは、真の可能性があるとも考えられるが、相良が言ったように、狼が投票対象に上がっているから、潜伏を選んでいたが、自分が吊られようとわざと後から霊媒に出て来た狂信者にも見える。
どちらかというと、後者の方が確立が高い気がした。
あゆみが、言った。
「…みんなそんな風に言うのね。少なくとも、どっちかは私の仲間のはずなのに。でも、仕方がないわ。何を言われても、潜伏しようとしていたんだから、反論できないわよ。でも、私が真よ。だから、明日どっちかが噛まれたとしたらその人が私の相方で、残った人が多分狂信者だわ。その人が出す結果は、信じないで。今夜、私が吊られるのは仕方ないから飲むから。狩人には、より真らしい所を守ってねって言っておくわ。」
そう言われると、真っぽくも感じて来たなあ。
志乃は、思っていた。
だが、霊媒師が三人出た以上、三分の一で必ず人外に当たるのだから、初日のわけが分からない中では選び易いと思った。
グレーの指定された三人の中には、最悪人外が居ない可能性もあるからだ。
藍が、顔をしかめて言った。
「まあ、今日は間違っても真は絶対一人は残るから。でも、狩人にはしっかり二択を選んで欲しいとは思ってるけどね。」と、睦美を見た。「一応聞いとこうかな。睦美さんはどう思う?」
睦美は、戸惑いながら答えた。
「ええっと、私は霊媒師は確定していると思って考えていたから…今、困ってます。最初はあゆみさんが吊りを逃れようと出て来た人外かなって思ったけど、でも、今の話を聞くと真かもとか思えて来て。正直分からないの。」
隼人が、頷いた。
「だな。でも、今朝の発言を思い出したら、やっぱりあゆみさんが怪しいかもしれない。何しろ、あゆみさん目線じゃ狂信者は霊媒に出てるだろうって見えてたわけだろ?それなのに、占い師に狂信者が出ていると思うって言っていたし、霊媒師の中に一人外居るから、二分の一で人外だと見えてたんだ。でも、グレー吊りを押してた。おかしくないか?」
あゆみは、それにはため息をついた。
「潜伏を選んだからには、バレちゃいけないと思って。明日結果が白黒になるかもしれなかったじゃない?それからでも良かったかなとか。狂人で考えていたから、色が見えない前提で思考してたのよ。狂信者なら、狼を知ってるんだから真結果も出せるし、そんな破綻しないわよね…何もかも、私の誤算なのよ。だから、ほんとダメなら私吊りでもいいわ。」
相良が、言った。
「…もし、村目線で霊媒には狂信者が出ていると断定するなら、明日の結果を必ず見るためにも、グレー吊りをするのも一つの手だとは思うがな。」
藍が、驚いて相良を見た。
「え、グレーを吊るの?囲われてたら九分のニだよ?」
相良は、頷いた。
「このまま霊媒を吊れば、今あゆみさんが言っていた通り狼には狂信者がもう見えているかと思うので、真を吊ってしまった場合狼との二択に負ければもう結果は落ちなくなる。だが、吊らなければ三人残り、仮に一人噛まれたとしてももう一人が真結果を落とせる。狂信者は真が残っていたら、違う結果を出し辛いだろうし、結果は揃う可能性がある。村には今夜吊った人の色が落ちるから、そこからまた考えられるのではないか?」
久司が、言った。
「まあ、グレーの幅が狭まるのはありがたいけどな。オレ目線じゃグレーだらけでどこを占いたいといわれても、こことは言えないほど数が多い。霊媒師の結果はあった方が情報は落ちるだろうし、オレはそれでも良いとは思うけど。」
藍が、言った。
「じゃあ良い機会だから占い師の話も聞く?久司さんは、グレー吊りでも良いんだね。」
久司は、頷いた。
「今言った理由でな。みんな霊媒師には狂信者が出ていると思ってるんだろう?だったら、今日は置いといても問題ねぇ。4人も居る狼を探す方が先だろう。狐は占いで何とかする。」
志乃は、意見を出しておかないと、と言った。
「…だとしたら占い師に狼が出ていることになると思うのだけど、その狼が囲っていたらグレーには二狼しか居ないだろうと思うのに、グレーに行くの?」
久司は、頷く。
「今日は、とにかくグレー幅を狭めることに使いたいのが本音なんだよ。村人に当たっちまったらすまねぇって感じ。後々を考えて、占う位置は少ない方がいいってのがオレの意見だ。」
志乃は、頷いた。
つまり、多すぎて迷うからとにかく数を減らしたいということなのだ。
美久が、言った。
「私もグレーで良いとは思うけど、霊媒師の人外がほぼあゆみさんなんじゃないかって思ってる中で村人を吊ってしまったらと思うと怖いところね。霊媒師が三人出たことで、久司さんもフラットになって私の相方は誰なのか全く分からなくなったわ。ただ、わざわざ占い師に出ている狼が、狂信者を囲うとは思えないから、仮に涼次さんが人外だとしても久司さんは真なのかなって感じるけど。他の二人の意見を聞いてからまた考えるけど。」
充希が、言った。
「オレはグレー狭めたいなあって思ってるところに久司さんが意見を出してくれたから、思考が同じで相方は久司さんかなと思ってる。美久さんは久司さんの受け売りに見える。あゆみさんを偽置きするならいつでも吊れるから、先にグレー幅を狭めてとっとと飼い狼を探して狐を処理していきたい。二匹もいるからマジでめんどくさいしな。この感じ、囲いが発生してて、グレー占いじゃ呪殺は出ないと思うんだけど。」
藍は、充希を見た。
「じゃあ、狐は初日に相方を囲ってるってこと?危険じゃないか。」
充希は、顔をしかめた。
「だって、グレーに狐っぽいところが居ないんだよ。狐は霊媒に出ないだろうし、二狼が出てるとか猫又がCOしてない限り占い師に出ているのは確定だろ?もう一人、グレーに狐っぽいところがオレには見えなくて。隠れてるだけかもしれないけどね。」
美沙子が、言った。
「そうかしら?潜伏臭がする人はたくさん居るわよ。健太さんとか篤史さんとか、あんまり話を聞けてないわ。積極的に関わって来ようとしないし、怪しまれてもいないから回りに上手く合わせている人外っぽく感じるけど。そもそも、みんな言ってたじゃないの。初日に囲ったら狼は言い訳が立つけど狐は消えるから破綻しやすいって。そんなリスク負うかしら?私は狐は囲われてないと思うけどな。だから、グレー吊りには賛成。もっとグレーに話してもらって、ボロが出るのを待つ方が良いんじゃないかしら。」
志乃は、誰がと言われたら、現時点では久司と美沙子を信じてしまいそうだった。
久司が人外だと、上手く言いくるめられているのではないかと怖い。なので、やはりしっかりしている真だと思いたいのもあった。
藍は、ため息をついた。
「…占い師の意見は出揃ったな。グレー吊り一択。ってことは、偽の占い師も同意してることになるから、囲いが発生してそうだよね。」
相良が、頷く。
「私もそのように。やはり少なくとも狼は囲われていそうだな。狐は、美沙子さんも言っていた通りハイリスクなので分からないが、狼は囲われているのだろうと私も思った。」
寧々が、眉を寄せた。
「…そうかしら。」え、と皆が寧々を見る。寧々は続けた。「狼が囲われていることは私もそのように。ですけれど、狐。私には、美沙子さんの意見がわざとらしく聞こえたの。というのも、言葉が過剰だったからよ。」
相良が、不思議そうに寧々を見た。
「過剰ですか?」
寧々は、頷いた。
「ええ。今の言葉を思い出してみて。『潜伏臭がする人はたくさん居るわよ。健太さんとか篤史さんとか、あんまり話を聞けてないわ。積極的に関わって来ようとしないし、怪しまれてもいないから回りに上手く合わせている人外っぽく感じるけど。そもそも、みんな言ってたじゃないの。初日に囲ったら狼は言い訳が立つけど狐は消えるから破綻しやすいって。そんなリスク負うかしら?私は狐は囲われてないと思うけどな。皆をそう思わせたいという意思を感じたわ。』って。」
皆はドン引きした。
今聞いた事をそのまま覚えてスラスラ言ったからだ。
相良が、言った。
「つまり、それが過剰だと?」
寧々は、頷く。
「この文言の、『そもそも』以下は全て要らない事だったわ。誰が人外っぽく感じるか、だけで良かったのよ。占い師には、まだ誰が相方の占い師なのか分からないのだから、そこまで狐は囲っていないと主張する必要はなかった。でも、美沙子さんは村をその点で納得させたかったのでそれを付け加えた。私にはそう見えたわ。なので美沙子さんが狐で、相方を囲っているのかと今、思ったわ。もちろん、ただ自分の考えを主張しただけなのかもしれないし、それが美沙子さんの議論スタイルなのかもしれないけれどね。今はそう考えているわ。あくまでも私の仮説の一つだから、気にしないで。噛まれたら面倒だから、言っておくだけ。」
つまり、美沙子と冬也が狐。
そう、寧々は言っているのだ。
皆が呆然としている中、藍は苦笑した。
「言われてみたらそうなのかも。」と、相良を見た。「どう思う?」
相良は、考えるような顔をして、答えた。
「確かにそうとも受け取れるし、仮説の一つとして頭に置いておいても良いと思う。」
美沙子は、渋い顔をした。
「私から見たら、真の私を何とかして追い落としたい人外に見えたけど。だって、自分の考えを言っただけなのよ?しっかり話しておかないと、占い師なのにみんなに情報を渡せないでしょう。」
寧々は、頷いた。
「ええ。あくまでも私の考えを言っただけよ。これからの意見で変わって来るかもしれないわ。」
まだ初日だもんなあ。
志乃は、思って聞いていた。
だが、藍や相良から見ると、これで美沙子が仮に人外だとしても、安易に発言できなくなるだろう。
寧々は、それを考えてあんなことを言ったのだと思われた。
「…じゃあ、このままじゃ膠着状態になるから、占い師は今夜吊らないんだし、とにかくグレーの話が聞きたいよ。あんまり話してない人、頑張って自由に意見を出して。黙ってたら吊られるよ。」
藍が言う。
皆は、顔を見合わせて、誰から話すと牽制し始めた。




