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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第六章 ロスチュ編
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第78話 抱いて眠る

「ミルコは私の師匠なんだ」


 スバルに生えたミントを、一本一本抜きながら、ユウジは話を聞いていた。


「本妻の子のリズマリーとは違い、私は王位継承権を持ってなかったから、私は早々に独り立ちするために剣を習い始めた。

その時王家のコネで呼び寄せた凄腕の剣の師匠が、ミルコだった」


「じゃあ長い付き合いだったんですね」


「まあな。あいつの剣は凄かったぞ。私なんか子供扱いだ。じっさい子供だったんだけど」


 スバルは生肌をさすさすと触った。古傷を思い出したのだ。


「いまはどうなんです?」


 ユウジは期待を込めた目で尋ねたが、スバルは気まずそうにそっぽを向いた。


「あいつはS級、あいつはA級それがすべてだ」


「S級ってどのくらいすごいんですか?あの殺気、思い出したくもないです」


 ランパはブルっと震えた。さきほど漏らしたパンツは隙を見つけてこっそりと履き替えた。


「……私は身の丈ほどの大岩くらいなら斬れる。それに対してミルコは『山を斬れる』」


「や、山を……?さすがに盛りすぎでは?」


 ポカーンと口を開ける鈴音。魔王四天王の実力者である彼女でさえも、にわかには信じがたかった。


 しかし、スバルは大真面目だった。


「目の前で見たことがある。破壊力で言えば、ユウジに劣らないだろう」


「……………」


 一同は黙ってしまう。なんてひとに喧嘩を売ってしまったのかと。


「メダルくらい諦めません?」


 ユウジは心配するが、スバルは首を振るう。


「そっちを諦めたところで、リズマリーは私を連れ帰ろうとしてる。どうせこのままだと剣を交えることになったろうよ」


 先ほどオウズは、ミルコとスバルの喧嘩に割って入り(利益を守るために)、折衷案を出した。


 2人にはロスチュのなかで戦ってもらい、勝った方にジャックポットで出たメダルの2/3を渡そうと提案したのだ。


 ミルコは譲歩する気がなかったが、リズマリーにより条件を飲むように制されて、了承してくれた。


 こうしてスバルとミルコによる師弟対決が実現したのである。


 もし現実で戦ったのなら、敗色濃厚だったろう。しかし、夢の中での戦いなら別。相手に気押されない限り、弱者でも強者を倒し得た。


 スバルは剣を手繰り寄せた。


「ロスチュに来て、私は小さい頃の夢を見た。嫌な夢だったよ。ミルコにボコボコにされる夢だった。それはもうズタボロになった。早々にリベンジする機会が来て嬉しいぜ」


「……大怪我しそうならすぐに降参してくださいね」


「ばーか夢だぞ?変に想像しない限り痛くはねぇ。それに」


 スバルは、ポンっとユウジの頭に手を置いた。


「もし負けたらここでお別れだ。絶対に私はユウジについていく。お前は危なっかしいからな。私が守ってあげないと」


「スバルさん……」


「にしし」


 スバルは、まるで姉のように優しく笑った。


 


 ユウジたちは、最初のサーカステントに集まっていた。


 ステージの中央で、オウズはポールに掴まりながら、声を張る。


「本日は貸切です。お二人にはロスチュで気の済むまで戦っていただきます♡致死量ダメージを受けた場合、あるいは敗北を認めた場合目が覚めますので、それで勝敗を決めさせていただきます♡」


 スバルとミルコは、ステージを挟んで座っていた。


 スバルが睨んでいるのに対して、ミルコは楽しそうだった。


「小童がどれほど強くなったか、楽しみじゃのぉ」


「……チッ」


 スバルは舌打ちをした。ユウジは、そんなスバルに耳打ちする。


「勝算はあるんですか?」


「ああ、あるぜ。これだ」


 膝元にぬいぐるみを置くスバル。それは、かつてユウジがあげたものだった。 


「悪夢を見た理由がわかったぜ。いつもみたいに、このぬいぐるみ抱いて寝なかったからだ」


 スバルは、ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめながら、ミルコを一層強く睨みつけた。


「さぁ……やろうぜ!」


「うむ、全力でやりあおうぞ!」


「それでは準備ができましたので、夢の中へ誘いいたします♡」


 オウズの掛け声とともに、ミルコとスバルの耳に、部下のサキュバスたちが口を近づける。


「トクン…♡トクン…♡」


「………!」「………っ」


 カクン、と意識が落ちるスバルとミルコ。先ほどまで闘志を漲らせていたふたりが、一瞬でかわいい寝顔になった。


 相変わらず、外から見るとシュールなものだな、とユウジは思った。


 リズマリーは礼儀正しく頭を下げる。


「それでは向こうで一緒にお姉さまの戦いを見守りいたしましょう」


「あ、はい」


 ユウジたちも、スバルに続いてロスチュの中にダイブした。

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