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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第六章 ロスチュ編
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第77話 ジャックポット!

 赤髪の女ミルコは、意気消沈の面持ちで頭を下げた。ランパは構えをといた。ミルコから発せられていた殺気が消えたのだった。

 

 ミルコは物悲しそうに、手元に一枚だけ残った最後のメダルを見つめた。


「これは思い出にとっておくことにするのじゃ……」


 スバルは、慎重に言葉を選びながら、話しかけた。


「ミルコ、あんたが国に力をかすなんてどういう風の吹き回しだ?」


「おぅスバルちゃん。大きくなったのぉ」


 ミルコは目を細めた。


「国に手を貸してるわけではないんじゃよ。ワシはかわいいリズちゃんに頼まれて来ただけじゃ」


 リズマリーは、ウィンクをする。ミルコはほっほっほと笑った。


 情熱的な髪色をしており、容姿は若いわりに、ミルコは穏やかな老人のような喋り方と性格のようだった。孫たちの喧嘩を見守るように達観している。


「ちっ……んだよそれ。でもぜってー帰んねーからな私は強くなったんだ心配される筋合いはねえ」


 スバルは舌打ちをした。すると、ミルコはふむ、と手に持ったメダルを指で上に弾いた。


「では、せめてコレくらいはいなせるかの?」


「っ!ディーラー!剣渡せっ!」


「!?はいっ!」


 剣を預かっていたサキュバスが、急いでスバルに剣を渡す。


 ミルコはコインを親指に乗せて、狙いを定める。


「バーン、じゃ」


 瞬間、ガチンッ、と金属が弾けるような音がカジノ内に響き渡る。


 ユウジには何も見えなかった。


 ミルコは親指を跳ね上げた状態で立っており、スバルは剣を振り終えたポーズをとっていた。


「……………」


 ただならぬ音がしたことで、ゲームを楽しんでいた客たちも手を止め、カジノ内に静寂が訪れる。


 しかし、その静寂はすぐに打ち破られた。


『リンゴン!リンゴン!ジャックポット発生!!!』


「む?」「あん?」


 ミコルの背後のスロットマシーンが突如雄叫びをあげる。筐体全体がピカピカと光っており、出目が777に揃っている。


「えっあれはっオーナー!オーナー!大変です!!!」


 ディーラーが叫んで、バーカウンターのオウズが呼び出される。


「どうしたの♡ってえええ!!?ジャックポットぉぉぉ!?10年に一回しか出ない確率にしてたのに!!!」


 グラス片手にやってきたズオウは、スロットマシーンの状態を見て、腰を抜かした。


 その途端、ジャラジャラジャラ、とスロットからコインが溢れ出てくる。


「スバルさんが剣で弾いたコインが……投入口に入ったってことかな?」


「たぶんそういうことですかね」


 ユウジとランパは呆然としながら、スロットの下に積み上がっていくコインの山を見つめていた。


「あっはっは!これは愉快じゃな!大当たりじゃ」


 突如、ミルコが笑い出す。スバルは怪訝な顔をする。


「あん?」


「ワシの最後のコインが一花さかせおった!なんと数奇なこと!ワシは天運に愛されているのぉ!大儲けじゃ!」


「いやちょっと待てや」


 スバルは、ツカツカとミルコの前へ進むの、恐れずにその胸ぐらを掴んだ。


「あんたは私に向かってメダルを弾いた。アレはメダルをくれたってことだよなぁ?」


「なんじゃと?」


「あんたから貰ったメダルを、私がスロットに入れたら大当たりがでた。私が引き当てたんだ。つまり、そのメダルの山はすべて私のものってことだ」


「貴様……小童が馬鹿なことを言うものでないぞ」


 スバルとミルコは、いまにも殴り合いそうな雰囲気だった。


 一触即発のなか、2人の間にこのカジノのオーナー、オウズが飛び込む。


「待った!待った待った待ったー!お客様がたぁ♡申し訳ございませんがコレはマシーンの不具合でございます♡」


 オウズは引き攣った笑顔を浮かべながら主張する。


「スロットマシーンの遊び方はご存じですね♡メダルを入れてレバーを回し、ボタンを押して絵柄を揃える。この過程を経て引いた当たりのみ、認められます♡」


「何が言いたい……?」「親切心で言うが、次に発する言葉は選んだ方がいいぜ……?」


 今日一番の殺気が、ミルコとスバルから同時に湧き立つ。


「どうしたの〜?うわぁ!?」


 カジノ内の異変を感じ取り、様子を見に来た鈴音は、無防備に殺気に当てられたことで、一気に酔いが覚めてその場にへたり込んだ。


「ぐすっぐすっ……」


 野生の勘が人一倍強い獣人のランパなどは、泣き出してしまった。それと誰にも気づかれないで済んだが少し漏らしてもいた。


 ゼロ距離で殺気に直面しているオウズは、気を失いそうになりながらも、ロスチュの王として意地を見せて、自分の主張を最後まで言い切る。


「ですから、このジャックポットは無効でございます♡」


 ああ、やばい。とさすがのユウジも察した。

 

 そこで間に合うかは賭けだったが、スバルたち3人の間にミントの群生を発生させる。


 ズボボボボと、3人の足元に生えたミントは、とてつもない速度で繁殖して、各々の肉体にも根をはりはじめる。


 あっという間にスバル、ミルコ、オウズのからだは緑に覆われて、ミントだるまが三体出来上がった。


「ミントのリラックス効果で、どうにかここは矛を収めてください」


「………」「………」「………」


 ユウジが語りかけると、3体のミントだるまは、ひとまず距離を取り合った。


 これがミントの効果によるものなのかは定かではないが、ひとまず衝突は避けられた。


 一体のミントだるま、スバルはユウジの元に戻ってきて囁いた。


「ユウジ、いまはお前の顔に免じてやめとくが、あとでアイツ殺すからな」


「……物騒なことで」


 ミントだるまに話しかけられて、ユウジは空気を読まずに笑ってしまいそうになった。


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