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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第六章 ロスチュ編
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第76話 千里眼のリズマリー

 サンワロックの次期王、スバルの妹リズマリー。


 またの名を千里眼のリズマリー。


「さて、では私は黒に50枚賭けますわ」


「50枚ですか!?」


 リズマリーの賭け方に、思わず悲鳴混じりの声をあげるディーラー。1/2とは言え、初手から大胆すぎる。


「おいおいさすが金持ちだな」


 スバルはさきほどと同じく、赤の5に10枚 賭けた。


 リズマリーは口元を扇で隠しながら、オホホホ、と笑った。


「さすがはお姉さま。天運を掴む自信がおありで」


「ったりめーだぜ」


 姉妹は見つめ合って笑う。リズマリーは黒、スバルは赤の5、少なくともどちらかは必ず外れる。


 ディラーは他に賭けるものがいないことを確認すると、ルーレットを回し始めた。


 カラッコロコロコロコロ……。


「それで?リズマリー、なんでロスチュにいるんだ?」


 スバルが尋ねると、リズマリーは扇をパタパタと動かした。


「『千里眼』でお姉さまを見て、心配になってきたんですの」


「千里眼?ってなんですか」


 知らない言葉を聞いて、ランパはユウジに意味を聞く。


「すべてを見通す目、てきな?その場にない遠くのものも見れたり……」


「えっ、なんですかそれは!便利そうな」


 ディーラーは冷や水を垂らしていた。千里眼の持ち主が賭場にやってくる、嫌な予感しかしなかった。


 リズマリーは、未来まで見通していおり、ルーレットの止まるマスも視たのではないか、と。


 だが回した以上もうルーレットは止まらない。ディーラーはひたすら祈るしかなかった。


「相変わらず、お前に隠し事はできないな。それでなんだ?私を家に連れもどしにきたってわけか?」


「さすがお姉さま察しがよろしいですわ」


「ユウジの冒険者証の指名手配削除したの、お前だろ?私たちの旅応援してくれてると思ったんだけどな」


「あらお気づきでしたか。お役に立てて光栄ですわ。ですが、ここまでくれば充分ではないですか?スバルお姉さまの旅はここで終わりです」


 玉が次第に速度を落とす。あと2〜3週もすれば止まりそうだった。


「心配してくれるのは嬉しいけどよぉ、お前に止める権利なんてねぇぞ」


「止める権利はなくても止める力はありますわ」


 玉が、止まった。


「……………」


 テーブルに沈黙が走る。重い空気のなか、ディーラーが止まったマスを読み上げる。


「0です」


「どっひゃぁ!」「くっっっ!」


 2人揃って、目を固く瞑り仰反るスバルとリズマリー。全く同じリアクションをとるあたり、姉妹に違いなかった。


 ランパは冷ややかな目でふたりを見る。


「千里眼ってなんでも見通せるんじゃなかったんですか?あとスバルさんはどっひゃぁなんてリアクション取るほど確率の高い賭け方してなかったでしょう」


 スバルとリズマリーは、上体を起こして、取り繕う。


「私の千里眼は距離的なことにしか使えませんの。世界中どこでも見ることはできますが、それ以上のことはできませんわ」


「だって1度さっき0が出たんだから確率は1/37→1/36になったと思ったんだ」


「いやそうはならんでしょう」


 ユウジが突っ込むも、スバルはそっぽを向くだけだった。せめて確率の計算ができてからギャンブルをやるべきであるとユウジは思った。


 スバルは、リズマリーの方を向き直す。


「で?私を力づくで連れ戻すってどうするつもりだ?お前みたいな細腕お嬢様に私をどうにかできると……」


 すると、リズマリーはニコリと笑った。


「私の力とは権力です。権力があれば私は強い人間を道具として雇うことができます」


「……?つまり私を連れ戻すために、誰かを雇ったってことか?自慢じゃないが私はA級冒険者だぞ。私を無理やり連れ戻せるやつなんて……」


 その時。ランパの毛が一瞬で逆立った。


「ぐるるるっ!」


 ランパは目を爛々とさせながら、爪を出して構えをとった。


「ヒィッ」


 ディーラーのサキュバスもなにかを感じ取ったのか、急にテーブルの下にしゃがんでしまった。


「どうしたんですかみんな」


 なにも感じ取れないのはユウジだけのようだった。


「おいおいリズマリー、まさかアレを連れてきたのか?」


 スバルは剣を預けてしまったことを後悔した。全身に当てられた膨大な殺気の前に、下手に動くことができない。まるで蛇に睨まれたカエルだった。


 ユウジはみなの視線の方向に従ってみる。

 

 スロットマシーンを黙々とやっている女が座っていた。


 燃えるような赤髪の女だった。歳は30くらい。短髪で、耳にはピアス、首には何の動物のものかわからない小さな頭蓋が連なった首飾り。


 そして特筆すべきが、傍らに置かれた巨大な剣。身の丈ほどの長さと、胴周りほどの幅広さの巨大な剣だった。


 全体的に錆びており、武骨な作りだが、それは幾度もの戦いに使われてきたことの証。いままで斬ってきたものの歴史が刻まれている。


「……当たらんのぉ」


 積まれていたメダルを全てスロットに飲まれた赤髪の女は、椅子から立ち上がる。


 リズマリーの方を見る赤髪の眼は、爬虫類のようだった。


「この台はおかしいのぉ。のぉ?」


 同意を求めるように、スロットを指差す赤髪。リズマリーは、紹介した。


「我が国が誇る、世界に7人……いえ、8人だけのS級冒険者『竜人 ミルコ』ですわ」


「ミルコじゃ……おばんです…」


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