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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第六章 ロスチュ編
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第71話 ランパの夢

 ランパは大きな屋敷にいた。着ているのは、ふりふりのかわいいメイド服。


 そうだ、私はここでお嬢様に仕えているんだ。


 なんの違和感もなく状況と設定を飲み込むランパ。メイド長に……母に怒られる前に、はやく掃除を済ませなければ。ランパは持って行った箒を動かした。


 ゴミを集めた覚えはないのに、すでに捨て終わっていた。そろそろお嬢様を起こしにいく時間だ。


 ドアをノックする。コンコン。反応はない。ゆっくりドアを開けて中に入ると、天蓋付きのベッドでフカフカな毛布にくるまる、同い年くらいの少女がいた。


「お嬢様、朝ですよ」


 ランパがからだを揺さぶると、少女は目を開けた。


「おはよう」


 眠たそうな顔で挨拶をされ、ランパはため息をつく。まったく、この子は私がいなければダメなのだから。


「朝ごはんご用意できてますよ」


 気づけば、お嬢様は食卓についていた。隣に立つランパは、カリカリのベーコンを齧るお嬢様を、じいっと見ていた。


「今日は天気がいいわね」


「そうですね。もう日が昇ってる時間です」


 皮肉混じりにランパは返した。口の中にこんがりした塩味が広がった。


 馬車で移動していた。今日は舞踏会があるのだ。ランパは従者として、お嬢様に付き添っている。


「おい!命が惜しければ……」


 山道で盗賊に囲まれていた。ナイフを持っている。お嬢様が危ない。ランパは馬車から飛び出した。


 獣人として生まれ持った爪と牙は武器である。お嬢様を守る矛であり盾になる。そうすることで、自分の存在価値が確立するような気がした。


 ひとり、またひとりと、苦戦することなく盗賊を屠っていく。血が飛び散ったがいつのまにか死体は消えていた。お嬢様のドレスにはシミひとつない。


「ありがとう、ランパ」


 お嬢様がお礼を言う。ランパは、満足げに頷き、頭を撫でてもらった。


 しかし、盗賊の残党が現れて、お嬢様を人質にとる。なぜかランパは足が動かず前に進まない。まるで水中で重い水の抵抗を受けているような感覚。


 盗賊のナイフが、お嬢様の胸を抉ろうとしたその瞬間、盗賊の全身から、ブワァァ、とミントが生える。


 ドサッと倒れる盗賊。お嬢様は助かった。誰が助けてくれたのか。もちろんユウジだ。


 ユウジはいつも通り、気怠げに佇んでいた。このひとはそうなのだ。何にも興味がないくせに、どんなときも助けてくれる。


 彼が心の底でランパを仲間だと……大切なひとだと認めてくれていることを祈って。


「私の王子さまに……」


 ユウジに抱きしめられるランパ。幸福が身を包み、もうなにもいらない充足感が……。


 いや。


 待て。


 ランパは、めきょっと目をかっ開いた。


「そうだ。スバルさんと鈴音さんもいなきゃ」


 あの2人も合わせて大切な家族なのだから。


 あたりを見渡すと、木々の間に、切れ込みがあった。そこを押すとぎぃっとドアが開くように空間に裂け目ができた。


 ランパはその裂け目に入り込む。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 裂け目の向こう側は、一転景色が違っていた。


「あ、ランパちゃん合流できた!」


 和風建築の屋敷、その縁側に座っている着物ドレスの少女が手を振る。


「鈴音さん……」


 ランパは、なんだか懐かしい再会のような気がした。鈴音は、ランパを手招く。


「こっちに冷たい飲み物あるよ。あ、大丈夫ここで飲んだものは現実ではお腹にたまらないからいくら飲んでもいいよ」


「あの、本物ですか……?」


 恐る恐るランパが尋ねると、鈴音は困ったようにグラスを揺らした。


「うーん証明することはできないけど……」


「大丈夫♡保証するよー」


 屋敷の奥から、オウズが現れた。水着を着ており、手にはうちわを持っている。


「ランパちゃんは夢渡りをしたんだよ。ロスチュの仕組み、さっきはざっくりと説明したけど、実はこの世界って、個々が見る夢を繋げて、一つの大きな世界を形成してるんだ」

 

 ランパは、腑に落ちない感じだったが、顔見知りがふたりも現れた安心感もあるので、素直に縁側に座った。


「あの向こうで私ユウジさんに会ったんですけど、あれは……」


「それはランパちゃんの夢で作り出したユウジくんだね♡夢渡じゃなくて、ランパちゃんの夢に最初からいたんだから♡」


「あっあー……そうですかっ」


 顔を赤らめ、上擦った声になるランパ。恥ずかしい。自分は夢でユウジをあんな風に仕立て上げていたのか、と。


「えーランパちゃんどんな夢見てたの?」


「教えませんっ!」


 鈴音が面白そうに尋ねるが、ランパはそっぽを向いた。


「えへへ、でもそんな鈴音も私が来るまでユウジくんとさぁ♡あんな大胆な♡」


 鈴音は、オウズの口を慌てて塞いだ。


「もう!いいでしょ!その……一線は越えなかったんだから」


「ウブなんだから♡」


 オウズは、クスクスと笑った。




 しばらくして、スバルも空間の裂け目から合流した。一瞬、一瞬だけ彼女の表情は曇っていたが、すぐさま、いつもの調子で手を上げた。


「おーす」


「ようやく会えましたね。お菓子ありますよ」


 スバルは、縁側に座ると、前触れもなくランパと鈴音の肩を抱き寄せた。


「なっなんですか?」


「スバルさん?」


「……………」


 不思議がるふたりだったが、スバルは無言だった。


 オウズは、クスクスと笑った。


「いったいどんな夢を見たのかしら♡悪夢だったら災難ね♡」


「………」


「ひゃんっ♡」


 スバルは、なにも言わずに、むんずとオウズのおっぱいを揉んだ。


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