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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第六章 ロスチュ編
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第69話 LOSS ♡ CHU

 夢の国ロスチュ。


 魔王四天王最後の1人、夢の魔物オウズが支配する国。


 飛行船の発着場から2キロほど歩いたところに、この国の入場門はあった。


 アーチ状の門にはピンク色の文字で「LOSS ♡ CHU」と書かれている。


 ランパは眉をひそめた


「えっちぃお店がありそうな国ですね」


 これまでの国のような門番はおらず、ユウジたちは門をくぐってそのまま入国できた。


 門からしばらく歩くと、大きなテントが現れた。

 

 サーカステントのような、円柱に円錐を重ねたような形のテント。


 傍らに立つネオンの看板には、これまた「LOSS ♡CHU」という文字が輝いている。


 スバルは辺りを見渡す。テントの周りには、木が数本生えているだけで、家一軒立っていない。小石が転がる地面が広がっていた。


「なんだこの国。このテントしか建造物ねえじゃん。ていうかほんとに国か?」


「一応は、と言ったところですかね……」


 鈴音は、口ごもっていた。説明しづらいと言った風だった。


「とりあえず中入りますか」


 ユウジはテントの中に入った。


 なかは陽の光がほとんど届いておらず、薄暗い空間だった。


 中心にある円形のステージのみライトで照らされており、はっきりと見える。ステージ上には、誰もおらず、ポールダンス用の鉄棒だけが、すっと立っていた。


 目が慣れてくると、そのステージを中心に椅子が取り囲むように並べられていることに気がつく。


 空席も多いが、いくつかの席には、静かにひとが座っていた。年齢層はバラバラだが、子供は少なく、大人がほとんどである。


「これからショーでも始まんのか?」


 スバルは首を傾げる。しかし、椅子に座る客たちは、みな目を閉じており、耳をすませば寝息を立てている。


 これから始まるショーを楽しみに待っているようには見えなかった。


 さらに奇妙なことに、客が座っている椅子には、風船が括り付けられており、宙にぷかぷかと浮かんでいる。


 遊園地でもらえるような風船を、いい大人たちがみな大事に持っているのだ。あまり見ない光景であった。


「なんだか不気味な光景ですね」


 ランパがぶるっと震える。鈴音はその頭をよしよし、と撫でた。


「怖がらないで大丈夫。これがこの国の全てだよ。うーん、声出しても起こさないかな。あのーすみませーん」


 鈴音が声をあげると、カタカタと音を立てて、ステージの床が開いた。


「はぁい♡新規さまぁ?」


 床の下から、ポールを登ってくる女の子のシルエットがあらわれた。


 女の子は、最低限胸元と股間のみを隠したような、露出の多い黒い服を着ており、健康的な肌色が、ライトに照らされて映える。


 背中には、小さな黒い翼が生えていた。パタパタとわずかに動いており、それは衣装ではなく肉体の一部だとわかる。


 扇状的な登場に、思わずユウジは唾を飲んでしまった。


 開いた床がパタン、と閉じたので、女の子はポールから降りてステージの上に足を着いた。


 女の子の身長は低く、顔も幼かった。ただし胸は立派に膨らんでおり、女性美を携えている。見た目の年齢で言えば、思春期をわずかに過ぎた頃であろうか。

 

 女の子は三日月型の眼で、じいっとユウジたちを見つめる。エロティックな視線で、ユウジは緊張してしまう。


「……ん?あっ!鈴音っち!」


 女の子は、ユウジの隣にいた、鈴音をピッと指差す。


 鈴音は、にこやかに手を振る。


「久しぶり、オウズちゃん」


「えーかわいい!なにその着物スカート!いいなぁー!」


 女の子はピョンっとステージを降りて、椅子の間の通路から、駆け寄ってきた。


「お母さんにもらったの」


「そっか!故郷に帰ってたんだもんね!ホント久しぶり〜!」


 女の子は、鈴音に抱きついた。勢いでその豊満な胸が溢れそうに動く。


「このひとたちは鈴音ちゃんのお友達?」


「うん、こちらユウジくん、ランパちゃん、スバルさん」


 女の子は、ユウジたちの方を向いて、自己紹介する。


「こんにちは!あたしは魔王四天王が1人、サキュバスのオウズって言うの!ようこそ夢の国ロスチュへ!」


 女の子、オウズはキュッと目を細めて笑った。口元から覗く犬歯の先端は、鋭く尖っていた。


 

 

 オウズは、2年前に魔王四天王に任命されたばかりで、それまでは鈴音と共に魔王の元に仕えていたのだという。


 ふたりは歳も近く、気が合ったので、その頃は毎日のように一緒に遊んでいた。


 オウズは楽しそうに昔話をする。


「あの頃は鈴音っちすごかったんだよ〜酔っ払って一晩で街の気候を豪雪地帯に作り変えちゃったり……」


「ちょ、ちょっとやめてよ〜」


 鈴音は、慌ててオウズの口を塞ぐ。昔馴染みの友に会って嬉しそうだった。


 再会の挨拶がひと段落したところで、ユウジはオウズに尋ねる。


「オウズさんはサキュバス……夢魔ってことですよね。この方々はあなたによって眠らされているんですか?」


 テント内の客席で眠りこける人々。夢の国ロスチュ。そして、そこを根城にする夢にまつわる魔物サキュバス。


 これらの要素を繋げると、ズオウがこの奇妙な光景を作り出している黒幕だと推理するのは容易かった。

 

 オウズは、うん!と素直に認めると、ボードを取り出して説明を始めた。


「じゃあこの国、ロスチュについて料金案内から始めるね♡まず90分コースから〜」


 ランパは、ぼそっとつぶやいた。


「やっぱりエッチなお店じゃないですか」

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