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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第五章 ウィッチ・ド・サン編
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第58話 初!ゴーレムづくり体験記念

 ユウジと鈴音は、それなりに立派そうな宿屋をとった。飛行船でからだがこわばっていたのだ。


 祭りの多いこの都市では、遠方からの来訪者は多いらしく、宿屋の娘は旅人であるユウジたちを快く受け入れてくれた。


「観光はこれから?おすすめはBLTですよ」


「BLT?」


 宿屋の娘は窓の外を指差した。


「Big Long Treeです」


 街の中央には巨大な樹が一本生えていた。天を穿つほどの高さと、巨人でも抱えきれないほどの幹の太さを持つ一本。


 樹齢など人間の尺度では測れもしなかった。


「根の周りはゴーレム祭りのメイン会場になっていますから、ぜひ行ってみてください」


「楽しそうだね、ユウジくん!」


 鈴音はワクワクと浮き足立っていた。


「そうだね。行ってみようか。ところでゴーレムってどういう仕組みなんですか?」


 ユウジが尋ねると、宿屋の娘はよくぞ聞いてくれました、とばかりに、棚に飾っていた小さな土人形を持ってきた。


「見ててください?このゴーレムに魔力を込めると〜ほらっ」


 娘の手のひらの上で、ゴーレムはパラパラと砂利をこぼしながら、ゆっくりとその腕を上げる。


 そして鈴音にむかって、カクカクと腕を振ってきた。


「わぁ〜かわいい!」


「ゴーレムの仕組みは単純です。動きをプログラムしておいた魔石を事前に埋め込み、動かすときは魔力を注ぐだけ。ふふっこれ私の自信作なんです」


 娘はもう一度ゴーレムに魔力を注ぐと、手のひらの上で一回転まわった。


「魔力かぁ…魔法ってそういやちゃんと使ったことないかも」


 ユウジはこれまで、ミント能力一本で旅をしてきた。スキル鑑定なども怠ってきたので、自身がどの程度の魔力量をもっているのかも知らず、またどんな魔法が覚えられるのかも知らなかった。


 鈴音はそれなら、とゴーレムを指差す。


「簡単な魔法だったらユウジくんもすぐ覚えられるよ。このゴーレム動かすのもわりと簡単だし」


 宿屋の娘は頷く。


「祭りの会場にいくと、ゴーレムづくり体験などもやっていますし、ぜひやってみてください」


「ほんとですか!やりいこ!ユウジくん!」


 鈴音は強引にユウジの手を引いて外へ出た。


 『BLT(Big Long Tree)』に近づいていくと、ユウジはその大きさに圧倒された。


 視界いっぱいに映り込む茶色い幹と空を覆う枝葉の天蓋。


 まるで巨大な怪物が葉を揺らしながら獲物が来るのを待っているようだった。


 巨大な樹木の目に捉えられたら、もう逃げられない。地面を隆起させる根は、捕食のための大口のよう。


 ユウジは、意識が飲み込まれそうになっていた。


「でっかいね」


「この街ができる前からここにあったらしいよ。なんだか神秘的……、あっユウジくん見て!」


 鈴音の指差す方向には、『ゴーレムづくり体験』ののぼりがたったテントがあった。


 テントの中では子供たちが楽しげに泥団子を転がしている。


「子供ばかりだけどまあいっか、2人お願いしまーす」


 ユウジが声を上げると、子供と楽しげに話していた女性が反応した。


「はぁい」


 座っていた女性はその畳まれた細いからだを伸ばした。直立した結果、彼女はワンピースに包まれた、長い背丈を顕にした。


「ご新規様ですねぇこちらにどうぞぉ」


 女は身長2メートルを超えていた。空から降ってくる声に誘導され、ユウジと鈴音は空いていたテーブルに座らされた。


「こんにちはぁ。わたくしゴーレム体験の指導のお姉さん、ベコと申します」


 頭を下げるベコ。頭には麦わら帽子をかぶっていた。


「べこ……」


 ユウジは牛?と言いかけた口を閉じる。


「カップルで観光ですかぁ?仲良しさんですねぇ」


「いえ…」


「まあ、そういうかんじですえへへ」


 鈴音はユウジの声を遮ってにへらと笑う。


 ベコはお淑やかに微笑んで、ユウジたちの前へゴーレムキットをふたつ出した。


「まずこちらの泥の山から土人形を作っていただきまぁす。形はなんでもいいですよぉ。あちらのお兄ちゃんはぁ、サラマンダーを作っていましたぁ」


「へぇ。人型じゃなくてもいいんですね」


「うーんなにしようかな……」


 ユウジと鈴音はコネコネと泥を弄り、形を作っていった。


「できた!みてみて雪だるまならぬ泥だるま」


 鈴音は泥団子をふたつつくりそれを上下で重ねていた。


「かわいいですねぇ」


「おーいいですね。僕もできました」


 ユウジは、自信満々に泥人形を見せた。なお、それは人形といえるようなものではなく、一本の泥を棒状にしただけのものだった。


 ベコは困ったように首を傾げる。鈴音も考え込む。


「ううんとぉ。剣かなぁ」


「えー当てたい……蛇!」


 しかしユウジは首を振る。


「違いますよ。どう見ても棒じゃないですか」


 ユウジはなんでも作れる自由な泥遊びで「棒」を作ったのだった。


「棒かぁ」「たしかに棒だね…」


 ベコと鈴音はその前の棒にそれしか言えなかった。


「棒です」


 ユウジは力作のつもりだった。


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