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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第五章 ウィッチ・ド・サン編
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第56話 ゴーレム祭り開催中!

 飛行船が降り立ったのは、観光魔法都市「ウィッチ・ド・サン」。


 この時期は祭りが催されており、特に人通りが多かった。


 飛行船の乗客たちも各国からやってきた観光客だという。


 門番から前科持ちとして白い目で見られる通過儀礼を終えたユウジは、賑やかな街の様子に心踊った。


 風船を持って走る子供たち、楽しそうに買い食いするカップル、そしてメインストリートでは華やかなパレード。


 

 鈴音はパンフレットを片手に指差す。


「見てください、あれがゴーレム神輿ですよ」


「うわぁ…!」


 ランパはその奇妙な光景に歓声をあげる。


 土で作られた3メートルほどの人形が、4体あつまり、神輿を担いでいるのだ。


 担がれた神輿のうえでは、美しい女性が、ヒラヒラと舞を披露している。


「あれがゴーレムですか……」


「はじめて見るなぁ」


 スバルは、眩しそうに女の舞を眺めた。



 ウィッチ・ド・サン、3年に一度のゴーレム祭り!


 魔法使いの多く住むこの街では、腕のある使い手たちが、精巧な動く土人形「ゴーレム」を見せ合う祭りが行われる。



「いいタイミングできましたね」


 ユウジは運が良かったと頷くが、鈴音はうーんと唸る。


「実のところウィッチ・ド・サンは観光都市として有名で、大規模な祭りはかなりの高頻度で行ってるんだよね」


「あ、そうなんですか」


「祭りの種類が多すぎて一度見た祭りをもう一度見ることができたらかなりのマニアと言われるほどみたい」


 つまりこの都市において、祭りはさほど特別なものではないらしい。


 それでもランパは目を輝かせてた。


「スバルさんお小遣いください!あそこの飴食べたいです!」


「んあーいいぞ、むっ?じゃんけんに勝てばもう一本だと…!?なんだその狂ったサービスやべぇやるしかねぇ!」


 人混みが多いので、スバルはランパを肩車して屋台の方に行った。


 ユウジはふたりに声をかける。


「さきに宿を確保しておきますねー!あとで広場で落ち合いましょう!」


「おー!頼むわ!」


「迷子にならないようにしてくださいね!……じゃあユウジくん行こうか」


 鈴音はすっとユウジの手をとって、人混みを歩きはじめた。


 ひんやりとした鈴音の手は、祭りの熱気のなかで、オアシスとなる。ユウジはしっかりとその手を握りかえした。


「あひゃ」


 鈴音が素っ頓狂な声を出す。


「どうしたの?」


「いえ……」


 鈴音は顔を伏せる。頬が赤く染まっていた。熱でもあるのかとユウジは心配になる。


「あの……ユウジくん、宿とったら私たちもお祭り観にいかない?」


 か細い声で鈴音が提案する。


「いいね、じゃあスバルさんたちと合流してから……」


「ううん、ふたりきりで」


 鈴音は上目遣いでユウジに身を寄せてきた。


「暴れ大蛇が出たぞー!」


 そのときユウジたちの背後から、悲鳴が上がる。突然現れた巨大な尾っぽが屋台を薙ぎ倒す。


「シャー!!!」


 通りに顔を出した大きな蛇の頭。チロリチロリ、と舌を出して獲物を吟味している。


 おそろしい怪物に逃げ惑う人々。


「うわー!たすけてー!」「なんでこんなところに蛇がー!」「魔法局から逃げ出してきたんだ!」「どいてどいて!」


「あれ?なんかあったんですかね」


 ユウジは騒動に気づいていないようで脳天気だった。鈴音はちらりと背後を見てため息をつく。


「シャー!!!」


 蛇が牙を剥き出しにして、民衆に頭を突っ込もうとする。


「タイミングの悪い……」


 鈴音は冷たい目で蛇を睨んだ。


 ビクッ。


 蛇が口を開けたまま、動きを止める。


 一瞬で理解したのだ。格が違う、と。


 鈴音は動きの止まった蛇の方へ、フッと息を飛ばす。


 音もないままに、無数の細かな氷の粒が、蛇の全身に刺さる。


「…………!!!」


 蛇は目を白黒させて、静かに気を失った。塔のように高く伸びていたからだが、ゆっくりと傾く。


 民衆たちは突然動きを止めた大蛇に、呆然として立ちつくしていた。


「なんだ?」「様子がおかしいぞ」「に、逃げなくてもいいのか?」「しんだ?」


 鈴音は、ふぅと髪をかきあげる。


「あれ?急に歩きやすくなりましたね。いまのうちに前に進みましょう」


 ユウジは、足を止めていた鈴音の手を引く。


 引っ張られた力強さに、鈴音はポッと頬を染める。


「もう……ユウジくんったら鈍感なんだから……」


 背後で大きな音を立てて、蛇のからだが地に沈んだ。


「鈍感?僕が?そうかなぁ……」


 ユウジはあらゆることを気にせずに生きてきたのだった。

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