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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第五章 ウィッチ・ド・サン編
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第54話 ミントの架け橋

 背中に23本の矢が突き刺さったままのスバルが叫ぶ。


「重い!!!」


 スバルはエルフたちからもらった金銀財宝が入った袋を肩で担いでた。


 エンベコピーから飛び出してもう3日。変わるがわる袋を担いで運んでいたユウジ一行だったが、ついにスバルが音を上げた。体力に自信のある彼女だったが、先日の件の責任を取り、運ぶ当番を多めに担当したところ、もう限界がきた。


 背中に13本の矢が刺さったままのユウジは、やれやれ、とスバルの頭にミントを生やす。


「こうやって何度も回復してあげてるじゃないですか」


 ユウジのミントは回復能力を大幅に高めてくれる。危険のともなう長旅には、とても有用な能力となった。


 しかしスバルは愚痴を言う。


「だからといって酷使しすぎだ!もう嫌だね寝るわ」

 

 スバルは地面に寝転がった。背中には矢が生えているので、うつ伏せに。


「あーあ土まみれになりますよ」


 19本矢が刺さった鈴音が呆れた声を上げる。鈴音はしゃがみ込んでゆさゆさと揺らすが、スバルは唸るだけで立ち上がろうとしなかった。


「動きませーんランパさん一度止まってくださーい」


 鈴音は仕方なく声を張り上げ、一番先頭を歩いていたランパを止める。


「えーなんですかもう」


 765本の矢が全身に刺さったランパは、球体のようになっていた。ランパはここまで風に流されてコロコロと転がりながら進んでいた。


「でも確かにずっと歩きで動き回るのも大変か……」


 13本のユウジは腕を組む。彼もミントでドーピングを重ねているが、もう脚はくたくただった。こんな時、また都合よく幽霊列車が通りかかってくれたら嬉しいのだが、そうそううまくはいかない。


 19本の鈴音が手を上げる。


「乗り物を手に入れるのはどうでしょう、馬とか」


「あーいいねそれ」


 ユウジはかつて馬車に乗った時のことを思い出す。あの旅は非常に楽であった。


「でもよお、ここは辺り一面土と岩だらけの荒野だぜ?馬なんてどこで買うんだ」


 23本のスバルは文句を垂れる。しかしもっともで、ここから馬の一頭でも売っていそうな街までは、あと2日半はかかる。


「行商人とか通りかかりませんかねえ」


 765のランパが転がってきた。転がりすぎてどこかへ飛ばないように、鈴音が一本の矢を掴んで停止する。


「エルフは交流の少ない種族だったらしいからね、エンベコピーとの間に商人は通らないのかも。宝籠省とエンベコピーとの鉄道もヒイロさんが説得して作ったけどほとんど乗客はいなかったらしいし」


 ユウジは空を見上げる。太陽は雲で程よく隠れている。


 雲を背景に、鳥が一羽飛んでいた。

 

「あー翼があればいいのに」


「ドラゴン乗りこなしたいぜ」


「竜騎士ですか?かっこいいですね」


「あれ?スバルさん龍殺しみたいな異名ありませんでした」


「ドラゴン殺しのドラゴンライダーって怖いですね」


「暴力で従えてるなそれ絶対」


 みんなで空を見上げながらぼーっとしてると、その視界に急に、ラグビーボール型の物体が映り込んだ。


「!!?なんだあれ!!!」


 ガバッと起き上がるスバル。飛行物体はゆっくりと空を動いていた。ユウジは首を傾げる。


「あれは……飛行船?」


 この世界にも飛行船があるとは思わなかったのだ。国によって大きく文明レベルが異なることは薄々感じていたが、予想だにしてなかった。まだドラゴンライダーが現れる方が納得できる。


「船ってことですか?手を振ったら乗せてもらえませんかね」


 鈴音も飛行船を見るのは初めてのようだった。ブンブンと手を振るが、飛行船に反応はない。


 スバルそうだ、と背中に刺さった矢を一本引き抜く。


「ユウジ!ボウガンであの船撃ってみろよ」


「野蛮ですって。……あ、でもいいですねそれ」

 

 ユウジはいいことを思い付いた。ボウガンに矢をセットして、狙いを定める。


「鈴音さん、準備しておいて」


「え?ユウジくん何を?」


 ユウジは鈴音を手招きした。そして、船に向かって矢を放つ。


 空高く飛んでいく矢。ユウジはその矢尻に、ミントの種子を仕込んでおいた。矢の軌道に合わせて、空中にミントが出現していく。空にかけるミントロードである。


 鈴音はそれを見て察する。


「なるほど、あれを凍らせればいいんですね」


 大きく息を吸い込んで、冷気を飛ばす鈴音。ミントロードが氷で固まり、補強される。


 そうして、飛行船まで届くほどの長い氷の道ができた。


「よし、いくか」


 スバルは氷の道の上を駆け出す。滑りそうになるのを時折剣で杖にしながら支えて、あっという間に飛行船まで辿り着いた。


 その間にランパは体中の矢を抜いて久しぶりの顔を見せる。


「じゃあ私たちも行きましょうか。スバルさんが交渉してくれてるはずですので」


 ランパはユウジと鈴音を担いで、氷の道を滑らないように爪を立てながら、ゆっくりと登っていった。




 10分後、ランパたちが飛行船にたどり着くと、飛行船内では剣を持ったスバルが、責任者らしき男と口論していた。


「だから金はあるって言ってるだろ!」


「ハイジャック犯に譲歩は致しません!」


「あーあ揉めちゃってますよ……」


 鈴音はどうする?とユウジを見る。ユウジは親指を立てる。


「任せて」


 ランパはユウジを下ろした。ユウジは男に近づく。


「なんですかあなたは、この方のお仲間ですか!?」


「大人3枚、子供1枚で」


「……っ!!!なんなんですかあなたたちは!」


 男は最後まで憤慨していたが、金銀を多めに渡したら、乗せてくれることとなった。


 こうしてユウジたちは、飛行船に乗って快適な旅をすることになったのだった。

 

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