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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第四章 エンベコピー編
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第50話 対峙

「あなたがエルフですか。よろしくお願いします」


 ユウジが握手を求めると、エルフは躊躇いつつもその手を握った。


「よろしく頼む。それで……大丈夫なのか?あの子で」


 エルフは心配そうにランパを見た。幼い子供の、しかも獣人である。彼女が信頼たり得るのか、エルフには確証が得られなかった。


「我々は獣人を追い出すための運動をしているのだぞ。気に障ったらすまないが、それに旅の者とはいえ、獣人を駆り出すというのはどうなのだ」


 反獣人のエルフ側の代表者が、獣人。それは傍から見ればちぐはぐなことだった。


「私も止めたんだけどな。そんなことしたら他の獣人に仲間外れにされちゃうぞって」


 スバルか鈴音が代表で戦おうと言った時に、ランパは自ら挙手した。


 もしランパが勝ってしまったら、否勝負の場に出てしまった時点で、彼女はどこにも味方がいない「コウモリ」になってしまう。


 獣人からは裏切り者と呼ばれ、エルフからも仲間を裏切ってこちらへついたと蔑まれるだろう。


 しかしランパは、なにも気にしていないようであった。


「別にこの国の誰に嫌われようがいいですよ。どうせここに私の親族はいないことがわかりましたから」


「ドライなヤツだなぁ」


 スバルはランパの頭を撫でる。強がりはバレバレだった。ランパはフン、と鼻を鳴らした。


 ランパはエンベコピーを探し回ったが、両親の手がかりはなにひとつ見つからなかった。


 孤独を改めて思い知らされたショックは計り知れず、自暴自棄になってもおかしくない。


 もしそうなら、ユウジたちはランパが戦うのを止めただろう。しかし、彼女が立候補した理由はもっと前向きなものだった。


「気づいたんですよ。いまの守るべき私の家族は、ユウジさんたちだって。だから私はこのパーティのために戦います」


「ランパ……」


 あまりに嬉しい言葉に、ユウジも涙がこぼれそうになる。


 ランパは、もう居場所を見つけていたのだった。これからは、孤独に打ちひしがれることはないのだ。


 スバルと鈴音もうるりと来たようで、目頭を覆っている。


「ランパ、ずっと一緒にいるからな……!」


「ほんとに、ほんとにいい子……」


 エルフは急に泣き出したユウジたちに囲まれて、居心地が悪かった。


「……そこまで仲間から信頼されてるなら構わん。お前に任せたぞ」


 ランパは胸を叩いた。


「任せてください!報酬はたっぷりいただきますよ!」


 スバルはウおんと泣いた。


「たくましい子に育って……!」


「あなたは少し反省してください」


 スバルは、鈴音にツッコまれた。

 


 

 ヒイロに指定された勝負の場は、薄暗い森の深部だった。観客は誰もいない。勝負の結果はごく限られた者しか知らないことになるのだ。


 ユウジたちが到着すると、切り株に座っていたヒイロが手を振った。


「やあユウジくん。それとエルフさんもこんにちは。今日はよろしくね」


 エルフは憎悪のこもった目でヒイロを見た。物腰柔らかなヒイロだが、彼はエルフたちにひどいことをしたのだ。


 しかしユウジにはまだそれが信じられなかった。


「まさかヒイロさんと戦うことになるとは思いませんでした」


「ああ、そうだねまったくだよ代表戦には君が出るのかい?」


「いえ、この子ランパが出ます。……あの勝負の前に聞きたいんですけどいいですか?」


「どうぞ」


「どうしてヒイロさんはエルたちを森から追い出したんです?」


 ヒイロは即答した。


「仕方なかったんだよ」


「仕方なかった……?」


 エルフが拳を握りしめる。いまにも飛びかかりそうだったので、スバルはエルフの背後に回り込み、いつでも止められるようにする。


 ヒイロは続ける。


「獣人とエルフでは文化が似てるようで違いすぎた。あのまま共生していれば、いつか大きな衝突が起こったろう。だから争いが起きる前にその芽をつんだんだ」


「でもエルフを追い出すほどの交渉術があるならヒイロさんには、争いの回避も可能だったのではないですか?」


 ユウジが詰めると、ヒイロは首を振った。


「俺が死んだ後も、国は続くんだよ。もし俺がいなくなったら、獣人たちはまた路頭に迷う」


「……………」


「奴隷を解放した責任は、ちゃんと俺が取らなきゃいけないんだ」


 ヒイロは立ち上がった。


「エルフたちを侵略する形になってしまったが、こちらにも譲れない事情はある。それじゃ、うちから選出した戦士を紹介するよ」


 パチンと指を鳴らすヒイロ。茂みの中で待機していた代表戦士が姿を現す。


 スバルは鈴音に耳打ちした。


「なんだよヒイロが戦うんじゃないならユウジ出せばよかったな……なあ、この展開、ランパの姉とかが出てくるんじゃねーの?」


「そんなさすがに……悪趣味すぎますよそしたら」


 ヒイロが選んだ戦士が前に出る。


「あ、あなたは!」


 ランパは見覚えのあるその人物に、声をあげる。


 ヒイロは紹介した。


「うちからの代表戦士、ウサギの獣人ピースだ」


 そこにいたのは、エンベコピーに来た時、ヒイロの世話をしていたウサギの獣人だった。


「よろしくお願いします!」


 ピースと紹介された彼女は、頭を下げた。


 長いウサギ耳がびよよんと揺れた。

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