表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第四章 エンベコピー編
46/100

第46話 耳すま

「おっ見てみろよあれ!バザーやってるぜ」


「ほんとですねぇ見てみましょうか」


 太陽が真上に来た頃、ようやく活動を開始したスバルは、鈴音とともにエンベコピーを当てもなくフラフラと歩いていた。


 商品が並ぶツリーハウスに登ると、ちらりと数人の獣人の視線に晒されたが、彼らも楽しい買い物に夢中だったので、すぐに目を背けられた。


 並んでいたのは木工の食器や、木のおもちゃ、またぬいぐるみなどもあった。


「うぉフカフカしてる!これ獣人の毛玉集めて作ったのか?」


 ネズミの獣人は、目を細めてこくりと頷いた。


 このツリーハウスの上はスペースが広く、いくつかの露店が広げられていた。他にも石を繋げ合わせたアクセサリーや、果物なども並んでいた。


「手先が器用な方々がいるのですね」


 鈴音が感心すると、ネズミ獣人はすこしモゴモゴした。


「ま、まあそういう奴もいるさ。俺は売るだけだからな」


「…………?」


 不思議な反応に首を傾げる鈴音。


 ザワザワ!


 そのとき頭上の木々が大きくざわめいた。獣人たちが皆一斉に顔を上げる。


「お?お?なんだ?どうした?」


 ぬいぐるみをフニフニしていたスバルは反応が出遅れて、明後日にキョロキョロしている。一方鈴音は、獣人に負けない反射神経で、その音の正体を捉えた。


「ヒト……いやあの長い耳は……」


 人影はすぐに消えた。獣人たちはしばらく警戒して毛を逆立てていたが、気配が遠くに消えたからか、また買い物に戻った。


「チッこんな楽しい日にアレが来るなんて興醒めだな」「物騒よねぇ」「野蛮な奴らだ」


 獣人たちは口々に文句を唱えていた。


「なんだぁ?街の嫌われ者でもいたのか?」


 スバルは首を傾げている。


「……………まさか、そういうことですか」


 鈴音は目の前に並ぶ精巧な木のおもちゃを見て、平和のない世界に少々ゲンナリとした。





「おい鈴音ーどこ行くんだよ」


 鈴音はスバルを引っ張り、どこかへ向けて歩き始めた。


「人が少なく、でも開けた場所です。なるべく気を張っていてください。遠くからずっと監視されてます」

 

「えー気配わかんね。なんで私らのこと見られてんの?」


 ツリーハウス郡から離れた、鬱蒼とした林に入った鈴音は止まらずにずかずかと歩く。そして、ぽっかりと木が生えていない広場のような空間にたどり着く。


 足を止めた鈴音は腰に手を当てて声を張り上げた。


「こちらから手出しをするつもりはありません!出てきてください!話し合いをしましょう!」


 風に枝葉が揺れる音のみが響く。


「なんも出てこねーな」

 

 しかし直後、遠方から次第にスバルたちのいる方向へ向けて木々が揺れる。なにかが枝を飛び移りながらこちらに迫ってきている。


 さすがにここまで来るとスバルもその正体がわかった。


「へぇーこんなところにいるもんなのか珍しい。私に劣らない金髪じゃないか」


 ガササっ!スバルたちのすぐ手前の木の枝に、人影が立った。


 その影の正体とは……。


「やはり、エルフでしたか」


 鈴音はため息をついた。


 美しいエルフが木の上から、スバルたちを見下ろしていた。


 金色の髪を後ろでひと束に結ぶ高身長の女性。目はキリリっとしており背中には矢筒、手には弓を持っている。


「なんで獣人の国にエルフがいるんだ?」


 スバルが疑問を口にすると、エルフはキッ!と睨みつけてきて矢に手をかけた。


「ちょ!ちょっと待ってください!まずはお話ししましょう!私たちはあなたの事情をまだ知らないのです」


 鈴音が大声で叫ぶと、エルフも口を結んだまま、静かに矢から手を離した。


「なんなんだよいったい。気性が荒いエルフだな」


 スバルは憤慨していたが、鈴音には予想がついていた。なぜ彼女が怒ったのか。


 エルフは、スバルたちを睨みつけながら言い放った。


「汝らには我についてきてもらう。もし逆らえばすぐさまその心臓を撃ち抜こう」


「………ここは大人しく従いましょうスバルさん」


 鈴音は、恐る恐るスバルを見たが、案外その顔は楽しそうだった。


「おうよ、なんだか面白そうなことに巻き込まれたぜ」


「……楽しそうなら何よりです」


 鈴音は気持ちを切り替えた。このパーティと旅をする以上、厄介ごとにストレスを溜めていてはキリがない。


 自分もなるべく困難を楽しめるようになろう、とスバルを見習うこととした鈴音であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ