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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第三章 宝籠省編
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第39話 反撃の「狼煙」②

 鈴音は、オート操縦のロボット警備兵につれられて、クラーケンのいる部屋へ通された。室内は、金属の壁に囲まれていて、中央には大きな玉座が置かれていた。


「お久しぶりです、私は、このたび魔王四天王に選ばれました、雪女の鈴音と申します」


 鈴音は今日、新たに魔王四天王に就任した名目で、クラーケンに会いにきた。いくつかの手続きを踏んだが、意外にもすんなりと建物に招かれるに至った。


 玉座に座っていたのは、フルアーマーの騎士であった。


 室内で、甲冑を着るその異様性を指摘する者はいない。この建物には動くものはロボットしかおらず、鈴音以外一切の生命が存在しなかったからである。


 騎士はカタカタと震えた。鎧の隙間から、機械的な声が響く。


「覚えているぞ。魔王さまのところにいたガキだな。髪色がおとなしめになったようだが、嫁にでもはいったか」


「………ご冗談を、クラーケン様」


 鈴音は癇に障りつつも、矛を抜かなかった。いまここで争って負けるとは思わないが、確実に勝てるとも言い切れなかった。



 クラーケンは、全身を機械に置き換えて蒸気のパワーを最大限に使える。さらに、宝籠省の国民から集めた魔力を用いて生成した触手の戦力を持っている。ほかに、いくつの切り札を隠しているとも考えられる。


 あくまで、自分は先鋒。主役ではないのだ。


「して、挨拶まわりというわけか。それにしては、この国についてから長らく道草していたようだが」


「ええ、まあ。初めてくる国ですから、観光ですわ」


 クラーケンはカタカタと小刻みに震えた。


「白々しい。国中の監視カメラは貴様らの動きをすべて捉えている。我の触手を斬った者たちと行動を共にしていたであろう」


「………旅で出会った友人です。なにかの、手違いで衝突があったとは聞いていますが」


「黙れ」


 鈴音の背筋が凍る。鋭い一声は、殺気に満ちていた。鎧は、ゆっくりと立ち上がると、腰に刺した剣を抜いた。全身の鎧に隙間からは、蒸気が漏れており、プシュー、プシューと音を立てていた。


「なんの心変わりか知らんが、我に牙を向けるというのなら、それは魔王様への背信と同義。案ずるな。貴様の首はちゃんと故郷に届けてやる」


「……あなたはなぜ、この国を陰から支配するのですか」


「ふん、くだらん時間稼ぎか?だが、答えてやろう。人は目に見えない恐怖にこそ従うのだ。ゆえに私は人前に姿をみせな」


「怖いからですよね、人間が。あなたはもともと弱い魔物でしたから」


「ほざけ」


 クラーケンは、鎧の背後から蒸気をジェット噴射して、一気に鈴音との距離を詰めた。そして、剣を彼女に白い首に振るう………。


 ガキン!!!


 刃と刃がぶつかる音が響く。


「よおクラーケンさんよお。町中引きずり回してくれたお礼をしねえとなあ!」


 クラーケンの刃を受け止めたのは、扉に向こうに隠れていたスバルであった。両手で剣を押し込み、クラーケンを後退させる。


「貴様……あの日の痴女か!触手を台無しにした報いは受けてもらうぞ!」


「うるせえ!おっぱいをポロリできない不自由な国なんてぶっ倒してやんよ!」


 クラーケンは、機械の声で叫んだ。


「この変態め!」


 部屋の床が、突如隆起し、いくつかの穴が空いた。そしてそこから生えてきたのは10本の触手群。


「うおおお!蠢いてんの改めて見るときんもー!」


「まじきもーいですね。触手が許されるのは浮世絵師までですよね」


「ほざけ!」


 いっせいに襲いくる触手。スバルは長刀を神速で振るうと、次々と触手を切断していった。


 だが、その隙に背後に回り込んだクラーケンは、スバルの脳天に剣を振り下ろそうとする。


「させませんよ」


 鈴音は凍える吐息を吹いた。途端、クラーケンの甲冑は氷漬けになり、動きを停止する。


「小癪な!」


 クラーケンは蒸気を噴出させて、熱で氷を溶かそうとする。しかし、鈴音は絶え間なく冷気を注ぎ込む。


「スバルさん、いまのうちに!」


「任せとけ!」


 スバルは剣を振るって、あっという間に10本の足を切り落とした。びちびちと、切り落とされた先端が床を跳ねる。


「小癪!小癪!」


 クラーケンは氷をとかそうと躍起になるが、鈴音の冷気の方が優っていた。


「魔物としての格が違うんですよ!」


「よし!撤退するぞ!」


 スバルの掛け声とともに、扉をぶち破り、蒸気駆動の空中浮遊バイクに乗った大男が部屋に侵入してきた。


「振り落とされるなよ!」


「さあ!私に捕まってください!」


 大男の背中には、ちょこんとランパが乗っていた。ランパは腕をうんと伸ばす。バイクが、鈴音とスバルの横を通り過ぎる瞬間、ランパは爪でふたりをひっかけて、バイクに乗りこませた。


「くそ!逃げるな!逃げるなあああああ!」


 クラーケンはいまだ下半身の氷が溶けておらず、身動きがとれずにいた。その間に、大男が運転するバイクは、皆を乗せて、部屋から脱出した。


「あばよ支配者さま!最後にお姿見れて光栄だったぜ!」


 大男は捨て台詞を吐いて、蒸気と共に姿を消した。


「おのれえええええ!」


 静寂の建物に、クラーケンの怒声が鳴りわたった。





 大男は、蒸気バイクを止め、同乗者の3人を下ろした。


「よお、これで仕事は完了だな」


「はい、お疲れ様でした。僕じゃそんなでっかいバイク操縦できませんから助かりました」


 ユウジは、大男に礼を言った。


 スバル、ランパ、鈴音は、ゾロゾロとユウジに絡みに行く。


「ういーす。あざしたーおつかれーす」


「おつかれさまですスバルさん」


「病み上がりのわりに頑張りましたよ私。それより、見てくださいこのおニューの服!」


「うんありがとうランパ。ゴスロリも可愛いね」


「汗かいちゃった。はやく祝勝会いこ!ホテルのバー涼しくていいんだよー」


「いいですねえ。あ、あなたも来ます?」


 大男は、先ほどまでの緊迫した死地との温度差に、戸惑っていた。


「これで、ほんとうに終わったんだよな」


 ユウジはあっけなく頷いた。


「ええ。大丈夫ですよ。だから言ってるじゃないですか。





 これで、僕らの勝ちです」


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