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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第三章 宝籠省編
36/100

第36話 幹

 天井から伸びてきたタコの足。


 それはユウジにとって絞首台にかかる縄であった。


 しかし異世界に転生してから、これまで一切のピンチを乗り越えずに過ごしてきたユウジには、その危機を察知することはできなかった。


 不用意にも、ユウジの指先が、触手に触れようとした、その瞬間。


「うらああああああ!!!」


 耳をつんざく叫び声が室内に鳴り響いた。


 静寂を切り裂き、同時にタコの足を切り裂きながら、空から急降下してきたのは。


 金髪がたなびく、美しき剣士。


 横顔には半分ずらしたガスマスク、上半身は裸の、両手で長刀を握りしめる女。


「ス、スバルさん……?」


 ざっくりと二股に裂けたタコ足を背に、彼女は長刀を振るって、刀身についていた粘液を吹き飛ばした。そして、ゆっくりと鞘に収めると、いたずらっ子っぽく笑った。


「よおユウジ。ビビったろ突然現れて」


「助けに来てくれたんですか……!?」


 スバルはユウジに手を差し伸べた。


「やっぱりお前には、私がついてないとダメみたいだな」


 ユウジがその手を取ると、スバルはバタン、と彼の胸に倒れ込んだ。


「おとと」


「わっ大丈夫ですか?」


「へへ、決めきれなかったわ。すまん、疲れた。肩貸してくれよ」

 

 スバルは照れたような顔をした。





 鉄の扉は、スバルがファイアボールを撃ち続けることによって、こじ開けることに成功した。


 地下道に続く道を進むふたり。スバルはユウジに肩を担がれていた。


「あーあ全身いてぇなぁ」


 スバルは愚痴をこぼす。


 彼女の全身は打撲痕や裂傷だらけであった。触手に捕まって地面を引き摺られ、あらゆる場所にからだがぶつかってここまで来たのだ。これ以上動けるはずもなかった。


「ありがとうございます、俺のために」


 運動不足のユウジは、スバルのからだを運ぶのに精一杯だった。


 しかし恩人である。雑にせず丁重に運ばなければならない。


 スバルは礼を言われ、顔を赤らめた。


「うるせい。私はクラーケンを倒しにきただけだ」


「え、クラーケン……?魔王四天王の?倒したんですかスバルさん」


「……………」


 スバルは口を閉じて、黙ってしまった。そしてしばらくの沈黙ののち明かす。


「わかんね。ってのも、触手の大元を辿って、たどり着いたのが、高い塔の一室だったんだ。そこにクラーケンがいると思ったんだが……」


「思ったんだが?」


 スバルはその部屋で見たものを説明する。


 そこには壁一面に、街中の映像を映し出すモニターが設置されていた。


 そして天井からは触手の根本……一本の太い触手が生えていた。


 そこから枝分かれした複数の触手が、部屋の各所に設置された移動へと伸びていたのだ。


「え?触手のおおもとって……タコの頭とかじゃないんですか?」


「違った。でっかい太い触手だった」


 ユウジは奇妙なその部屋を想像する。夢に出てきそうな気持ち悪さだった。


「だから私はとりあえず、太い触手の根本を剣でザクザクして、ユウジのいそうな部屋へ繋がる井戸へ降りたってことなんだが。これはクラーケンを倒したってことでいいか?」


「部屋は無人だったんですか?」


「うん」


「じゃあ……それならクラーケンってやつの本体は太い触手だったってことで、いいんじゃないですかね」


「まじで?やった。わたし単独で魔王四天王倒したってこと?すげーじゃん」


 スバルはにしし、と笑った。そして、さすがに疲れたのか、まぶたを閉じる。


「わりぃ。ちょっと寝るわ」


 どっと重くなるスバルの体を、ユウジはなんとか支える。


「……ふかふかのベッドで寝ましょうね、スバルさん」


 ふたりは地下道から地上を目指して歩いていった。


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