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【異世界ミント無双】〜ミントテロで魔王倒します〜  作者: ぴとん
第二章 マクアショー編
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第27話 冷凍保存とミント酒

8月から毎日3回投稿となります。

10時、17時、21時に投稿されますので是非お読みください。

 ユウジたちは、鈴音の導きにより、新しい大陸に向かうこととなった。


 まず目指すのは、宝籠省(ホウロンショウ)。別名 蒸気の国。



 ここには、魔王四天王がひとり、巨大タコクラーケンが住むという。


 しかし、クラーケンが住むのは、どういうわけか、海沿いの街ではなく、大陸についてからしばらく行った先の内陸部なのだという。


 大まかな旅路を説明する鈴音。しかし、かろうじて聞いていたのは、ユウジくらいだった。


 スバルとランパは、ミントを嗅ぎながら、船に揺られる。


「すはーすはー……少し……落ち着きます……」


「今回は波が穏やかで助かったぜ……まだ吐かないですむ……まだ」


 グロッキーな状態なふたり。鈴音は船酔いには強いようで、心配そうに見守る。


「あの、あまりにお辛いようでしたら、冷凍保存しましょうか?」


「えっ?それって魔物にするやつじゃないんですか?」


「ええ、でも人間にも使えますよ。仮死状態になりますので、着いたら解凍すれば、船酔いせずにすみます」


 冷凍保存してもらい、目を覚ませば、目的地についている。まるで深夜バスみたいだとユウジは思った。


 ユウジは、マクアショーにいる2週間ほどの間、気のいい漁師によく船釣りに誘われていたので、慣れで船酔いに耐性がついていた。


 そのため、ユウジ以外のスバルとランパは冷凍保存してもらうこととなった。


「ミントよりいい方法があるなんてな。鈴音がいてくれてよかったぜ。結婚しようぜ」


「ありがとうございます、鈴音さん……私のご主人様はユウジさんでもスバルさんでもなくあなただったようです……」


 ユウジは自身の不要論に、複雑な気持ちになった。


 鈴音は口から冷たい吐息を出す。


 サァァァァ


 冷たい風がスバルとランパを包む。しばらく身震いしていたふたりだが、その後睡眠、次第にからだの周囲に結晶が形成されていく。


 そしてあっという間に、スバルとランパは氷の塊に閉じ込められた。



「うわ……すごいですね死んではいないんですよね」


「ええ、私が解除すればすぐに氷は溶けます」


 鈴音は唇の端についた、氷の粒をハンカチで拭う。どこかエロティックな仕草であった。


 かくして、氷漬けになったスバルとランパ。


 そして、二人きりの船旅となった、ユウジと鈴音。


 船は波に揺られて大陸へ向かう……。




 航海1日目の昼頃。


 日差しの下に入っていた鈴音に、ユウジは話しかける。


「暑いですか?」


 鈴音の額には汗が浮かんでいる。


「雪女ですので……」


 鈴音はハンカチでしきりに汗を拭いていた。すでにハンカチはビショビショだった。


 そのとき、涼しい海風がふく。


「あっ」


 風の盗人が、鈴音のハンカチをとりあげる。


 鈴音の細い指から離れる布切れ。なびきながら、海の向こうに飛んでいく。


 ユウジは、すかさず猫ちゃんポーチをさぐる。


「あの、これ使ってないハンカチです。もしよかったらどうぞ!」


 鈴音は、差し出されたハンカチをみつめる。


 花柄でかわいらしかった。


「ありがとうございます」


 鈴音はクスリと笑った。




 航海日2日目の夕方。


 ユウジたちはパンを齧りながら話していた。


「えっ鈴音さんって僕と同じ17歳なんですね。落ち着いてるので歳上かと思ってました」



「そんなことないですよ、むしろ私はユウジさんの方が歳上かと。そういえばスバルさんとランパさんはおいくつなんですか?」


 ユウジは記憶を探る。スバルは一つ上の18だと聞いていた。しかし、ランパは元奴隷なため正確な生まれは聞いたことがなかった。


「スバルさんは18で……ランパは11歳くらいじゃないですかね」


 パンを食べ終わったころ、船乗りたちは酒盛りをしていた。


 鈴音は、それをじぃっと見て、言った。


「ユウジさん……ミントでお酒、作ってみませんか?」


「そんな話もしましたね、そういえば」


 鈴音は船員たちから、ウォッカのような濃い酒をもらって、ユウジのミントをなかに漬けた。


「さ、美味しくなるまで待ちましょう」


 鈴音は嬉しそうに酒瓶を抱きしめた。


「……同い年なんですから、敬語じゃなくていいんですよ」



「えっ……そうですか?……うーんと、えっと……ふふ、気恥ずかしいな。少しずつ慣らしていき……いくね?」


 鈴音は顔を赤らめた。



 航海日3日目。この日は雨で、ずっと船内にいた。


 船員たちは寒そうに、カタカタ震えて、お湯や酒を飲んでいた。


 鈴音は雪女なので、なんてことはなかったが、ユウジはそうもいかない。お湯をもらうと、ミントを出して、ミントティーにして飲んだ。


 ミントには、実はからだを温める効果もある。


 以前ユウジは、夜の見張りをした時に、ミントティーは寒さには合わないと勘違いして

いたが、そのあとからだが温まっているのに気がついたのだ。


 ミントティーで温まり、からだが動くようになったユウジは、船員たちにもミントを分け与える。


「どうぞみなさん飲んでください」


「……………」


 鈴音は体育座りでその姿を眺めていた。


 


 航海日4日目。


 鈴音がユウジに駆け寄る。


「ユウジくん飲んでみて!いい味ができました!」


 鈴音は酒瓶を差し出す。ユウジはこの世界に来てから、酒などほとんど飲んでいなかったが、勢いに乗せられてつい一口飲んでみた。


 からだがカァと熱くなる。しかしミントの風味も心地よい。


「これは……いいものができまし……できたね!」


「うん!」


 鈴音は酒瓶を持って無邪気に小躍りした。


 ミント酒は、船員たちにも振る舞われ、ユウジたちは航海の最後まで、体調を崩すこともなく楽しく過ごした。



 やがて港に到着し、船から降りた鈴音は、スバルとランパの冷凍保存を解除する。


 しゅわぁ。と蒸気とともに目を覚ますふたり。


「ん……着いたか?」


「むにゃ……」


 

 ユウジと鈴音は、ふたりで楽しそうに話しながら港を歩いていた。


「鈴音さんはここに一度来たことがあるんだよね」


「うん、美味しいランチのとこ知ってるよ」


「………」「………」


 その背中を見て、スバルとランパはコソコソと話す。


「なんか……あのふたり、距離近くないですか?」


「うちらが寝てる間にデキたんだちげぇねえよ」



 旅は道連れと言うが、人数が増えるとそれはそれで人間関係難しいものである。


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