第25話 鈴音さんち
8月から毎日3回投稿となります。
10時、17時、21時に投稿されますので是非お読みください。
「すいませーんこちら雪女さんのおうちですか?」
ユウジたちは、新人魔王四天王である、雪女が来国したと聞き、その実家へ足を運んだ。
前回の反省を活かし、手土産に饅頭を持っていた。
「あらあら、どうもぉこの国のひとではなさそうですが、鈴音にご用事ですか?」
なかから出てきたのは優しそうなお婆さんであった。
「こんにちは、私はユウジという者です。魔王討伐のための活動をしています。このたびこちらに住む雪女さんが新しく魔王四天王に就任したと聞き、顔合わせをしておきたいと参じました」
「あらあら遠いところからありがとうございますね。お上がりください」
囲炉裏のある居間に通された。ぐつぐつとお湯を沸かしている。
「鈴音はいま裏山のほうにお仕事に行っていますから、少々お待ちください小一時間もしないうちに帰ってくると思います」
お婆さんは、鈴音さんの母上様だという。先代の雪女であり、古くからこの地に住んでいるという。
「私の時代はこの地で自然や地域の人と生きるだけの妖だったのですがねぇ、鈴音は魔王様にスカウトされまして、つい先日まで魔王様の側近として働いていたのですよ」
「そうなんですね、あ、こちらつまらないものですが」
ユウジのお饅頭を母上様はえらく喜んだ。お茶を淹れてくれ、みなで食べながら鈴音を待つことにした。
実家のような安心感のする空間に、スバルもすっかりくつろいで、船を漕いでいた。
ランパは子供用のおもちゃとして置いてあったけん玉に夢中であった。
「剣に刺すのが難しい……」
ユウジはお茶を啜った。
「裏山で仕事と仰ってましたが、魔王四天王とはどのような業務を?」
「あの子から聞いたところでは、裏山には多くの魔物が暮らしていますので、そこの天候を雪女の能力で吹雪にし、魔物の活動を低下させるそうです」
「活動を低下ですか?魔王の目的は魔物を支配することと聞いたのですが」
「そうですねぇ。普段は吹雪で管理しておいて、戦力としては魔物を一時的に利用する際には、冷凍保存して魔王様に届けるそうです」
「ははぁなるほど……」
ユウジは、四天王は、魔王軍の戦力増強に、大きく買っている存在なのだと理解した。
だが、同時にすぐに討伐する必要はなさそうだとも感じた。平時はむしろ魔物を沈静化させているのだから。
ガラガラ。引き戸が開く音がする。
「さんむ〜、おかあーさんお茶飲みたーい」
「あら鈴音が帰ってきたようですね」
「裏山の大黒猪、かなり荒れてたから何匹か狩ってきたよ、外に置いといたから今日食べよ……あれ」
半纏を羽織った、銀髪の女がひょこりと顔を出した。
「……お母さんお客さんいるなら言ってよ」
鈴音の声が小声になる。
「鈴音のお客さんよぉ。ほら、櫛あるから髪ととのえて。すみませんねぇお見苦しいところ」
「いえいえお構いなく」
鈴音はささっと玄関の方へ顔を引っ込めた。
スバルが物音に気がつき、目を覚ます。
「あれ?寝てた?たたかう?」
「まだ寝てていいですよ」
「おぅ……ちょっと……今日は眠いな」
スバルには、暖かそうな毛布がかけられた。
「見てください!ついに剣に刺さりました!!!」
ランパはけん玉を見せびらかしてきた。




