第22話 スカッとおじゃん
8月から毎日3回投稿となります。
10時、17時、21時に投稿されますので是非お読みください。
山の麓には、甲冑を着た男が立っていた。どうやらこの城の門番らしい。
「貴殿殿は、旅の者か」
時代劇かかった口調に、ユウジは圧倒される。
「あ、はい」
スバルは腰の長刀に意識を向ける。一瞬で気がついた。この門番は手練れである。
あるいは、A級冒険者のスバル以上の剣豪。オーラが違ったのだ。
「海の向こうの者らか。この先は城だが、何用だ」
「実はこの街の情報を手に入れたくて」
「街の情報を手に入れるために城に来るというのか。瓦版屋にでも行けばよかろう」
瓦版とは、昔の新聞のことである。たしかに、情報が集まりそうなのはそちらのほうかもしれない、とユウジは気づく。正論であった。
「そもそもアポも取らずに来るのは客人としてどうなのだ」
正論であった。
「手土産ひとつも持たずに」
正論であった。
「出直してきてくれ」
3人は言われるがまま帰ることにした。
ちなみにこの先、一切城に寄るイベントは起きないことを事前に明かしておく。
瓦版屋を訪れると、弥吉という男が屋敷に招いてくれた。
「やあやあ外国の人。長旅ご苦労様でございます。昨今異国の来訪者も珍しくなりましたゆえ、なにか旅の土産話でもお聞かせ願えますか?」
弥吉は新聞のネタになる話題と交換に、この街の情報を教えてくれると約束してくれた。
「なんかニュースあったか?」
「それならビッグニュースがあるでしょう。城の件ですよ」
ランパは、王都で城が一夜にして崩壊した話をした。
弥吉は目を輝かせる。
「それは一体どんな妖の仕業で!?」
「妖?」
どうやらこの国では魔物のことを妖と呼ぶらしい。ひとつひとつが和風に変換されていくことにユウジは苦笑した。
「噂ではひとの手によるものとか。植物を操る能力者が、城のいくつもの亀裂に植物を植え込み、根のはる力強さでついには城を崩壊させたそうです」
「ははぁとんだ大罪人ですな!その者の処遇はうちグビでござろうか?」
「いえ…なんとまだ逃走中とのことです。もしかしたらこの国に流れ着くかもしれません」
弥吉は興味津々に筆を進めていった。いいネタをもらえたと上機嫌のようだった。
「マッチポンプすぎて笑うって」
ボソリとスバルが呟いたので、ユウジはその膝をペシンと叩いておいた。
「それで御三方がお聞きになりたいことというのは?」
「ええ、実は氷の魔物……いえ、氷を操る妖などの話は聞いたことがないでしょうか?」
弥吉は手の中で筆を回す。
「ブリザード殿のことでしょうか?」
「ご存じでしたか」
「ええ、先日討伐されました」
肩透かし行脚であった。




