第19話 夜に駆ける
8月から毎日3回投稿となります。
10時、17時、21時に投稿されますので是非お読みください。
地下牢にいたユウジだったが、大量のミントで籠を作っていたら、なんとか瓦礫に押し潰されずにすんだ。
草木のクッション性おそるべしである。
とはいえ、運がいいがゆえの結果ではあった。
そんなわけで土まみれになりながら宿屋に帰ってきたユウジを、スバルとランパは迎える。
ランパは冷たい目でユウジを見下した。
「……なにしてるんですか?ドン引きですよあれ。非常識にも程があります」
一方、スバルは珍しく泣き喚いていた。
「ばーかばーかばーか!なんで私の部屋まで壊すんだよ!オキニのぬいぐるみまだ置いてたんだぞ!」
ユウジは頭をかく。
「僕も必死だったんですよ。地下牢からの脱出。助けてくれなかったなら自力で出るしかないじゃないですか」
スバルはぶつくさと言う。
「こっちはそれなりに根回ししてやってたんだぞ、お前が自力でやるのも想像してないわけじゃなかったけど」
「そうだったんですか……?ありがとうございます。でもミントの根回しのほうが早かったようで」
「ばーかばーか!!!」
スバルは地団駄を踏んだ。
ランパは、で?とユウジを見つめる。
「どうするんですか?このあと重大犯罪人となったわけですけど。逃げます?いまなら慌ただしくて関所もザルかもしれません」
ユウジは目を丸くする。
「え、着いてきてくれるの?」
ユウジはさすがに自身がしたことの大きさに、仲間たちから見放されるだろうと思い、この宿に別れの挨拶を告げにきていた。
しかし、ランパは逆に呆れたように返す。
「私はもともと奴隷ですよ。まともな生き方なんて知りませんし、頼れる人もあなたたちくらいしかいない。着いていくに決まってるじゃないですか」
「ランパ……」
スバルも涙を拭いながら言う。
「城を壊したのはアレだけど犠牲者はいないみたいだし……。それにお前私がいないともっとやばいことするじゃん……」
「スバルさん……それは……うーんたしかに」
「さあいきましょう早く」「追手が来る前に行くぞ!」
ユウジは、ふたりに手を引かれて宿を出る。
闇夜はいつになく賑やかだった。大事件は大ゴシップとしてお祭り騒ぎを引き起こしていたらしく、街の人たちは酒を片手にことの真相を語り合っていた。
ユウジは、それを見て少し落ち着く。
もう少し、この世界で生きてみてもいいかもしれない、と。
ユウジ、スバル、ランパの3人は、こうして王都サンワロックを後にするのだった。
この日彼らは、ミントティーを飲んで、安らかに眠った。




