第18話 ミントテロ 最大級
8月から毎日3回投稿となります。
10時、17時、21時に投稿されますので是非お読みください。
さて、ここしばらくユウジはただ寝るだけだった。
たまに固いパンを食べて、筋トレをする。
そして空想をしたのち、寝る。
310年だ。飛ばしすぎても精神が病む。
隣の牢屋など、普段静かなのに突然叫び声があがる。ああなってはおしまいである。
とはいえ、ユウジも馬鹿ではない。ほんとは310年も待てるわけがない。
彼は少しずつ、ミントの種子を牢の外へ飛ばしていっていた。
ミントはの種子は隣のミントと交配してまた隣へ種子を飛ばす。そうして牢屋の廊下はミントでグリーンになった。
看守が注意してきた。
「ミント飛ばすな!ここそんな掃除のやつ来ないんだから!」
「はーい」
ユウジは、前世で読みかけだった漫画の続きを空想していたので、話半分に注意を受け入れた。
ミントの種子の広まる範囲は、拡大していく。
壁を伝い、床を伝い、ついには地下を制覇した。
そして次は階段を登っていく。
この頃には看守もさすがに不気味がっていた。
「いやお前、やりすぎだろ。暇だからってミント飛ばすな。職場が緑化して安らぐのはいいんだがここまでだと気持ち悪い」
「はぁ」
ユウジは新しいポケモン新作のタイトルを考えていた。
ポケットモンスター ソルティ&シュガー
余談であった。
ミントは階段を伝い、やがて王城一回に広がった。石畳のブロックの間に躊躇なくミントは侵入していく。
止まることはない。
王城の庭師がこの事態を聞きつけた。なんでもそろそろ王城が誇る薔薇園に、このミントが到達するというのだ。
「仕方ありませんね、除草剤でなんとかしましょう」
効果はあり、一時的に、ミントの侵攻は、途絶えた。防衛ラインは守り切ったのだ。
だがしかし、その次の日にはもう薔薇園はミントに侵されていた。
「うわああああ!!!」
絶望した庭師は枝切り鋏を放り出して逃げていった。
やがてミントは城の一階を征服。すべての部屋をミントまみれにする。
さらに2階、3階と各階の部屋はすべてミントに侵された。
王の耳に入ったときには、もう手がつけられないほどになっており、あと数刻もすれば玉座の間にミントが届くとのことだった。
慌てて王は地下牢に降りる。
「ユウジ殿!やめてくれ!これは国家反逆罪だぞ!」
「やめてくれと言われましても、さすがにここまできたら俺の制御もできないかもです」
「ええ…じゃあどうするつもりなんじゃ」
「最初はこの牢から出られればよかったんですけど、思ったより王様がここに来るのが遅かったので……ちょっともう手遅れというか……」
「ではこのあとこの城はどうなるんじゃ?」
「ミントの根がはった石壁はすべて……崩壊して、最終的にはこの城、崩壊するんじゃないでしょうか?」
「バカもーーーーン!!!」
王や部下、看守たちは逃げ出した。ユウジを牢に残して。
「あっせめて鍵置いてって」
ユウジが声をかけるも、もう誰もいなかった。
ユウジが牢屋に捕まって1週間後。
スバルとランパは轟音を耳にする。
山でしか聴かないような、土砂崩れの音だ。こんな港町では聞く機会がない。
街中のひとが騒いでいたので、皆が指差す方向を見ると、そこにはポロリ、ポロリ、と土埃を上げながらひび割れていく城の姿があった。
「……さすがにここまでやるとは予想外」
「あれユウジさんがやったんですよね……なんなんですかあのひと」
ドガーーーん!!!
大騒ぎする都民の声をかき消すほどに、ひときわ大きな瓦礫の崩れる音がした。
その日王都、サンワロックから王城は消えた。




