第17話 はじめてのおつかい
8月から毎日3回投稿となります。
10時、17時、21時に投稿されますので是非お読みください。
王都のギルドに来たランパは、まず人の多さにくらりとした。
鎧を着た男たちが密集する空間。
室内にこんなにひとがいるところに来るのは初めてだった。
ひとまず、ソファを見つけて座る。
落ち着いて、ギルド内の構造を観察した。
どうやら業務ごとに窓口があるようだった。窓口うえの表札にそれぞれの対応業務が書かれている。
だが、ランパはあまり文字が得意ではない。書けるのはいくつかの個人情報のみ。
どの窓口が冒険者登録か、見極めることがまず第一の関門として立ち塞がった。
そこでランパは、賭けに出ることにした。
一番長蛇の列に並んでみた。
みんなが必要な手続きはここでやっているに決まっている。ランパは気長に列で待機した。
しかし列が進むにつれて、前方や後方の会話から、どうやら自分は違う窓口に並んだようだと気づく。
だが、もう列の中腹まで来ている。いまさら引き返せない。窓口の人の柔軟な対応に期待するしかない。
25分後。
「次の方どうぞ」
「はい!」
ランパは元気よく返事をした。
「あの、冒険者登録を済ませたいんですけど」
「ああ、それは右隣の窓口ですね。ここはクエスト報酬の受け取り口です。次の方どうぞー」
ランパは列から剥がされた。
またいちから並び直しである。
右隣の列に並んでいるのは、たしかにベテラン冒険者的な風貌の者はいなかった。
もっち注意深く観察するべきだった、と悔やむランパ。
幸いなことに、さきほどより待機列は短く、5分もかからずに順番が回ってきた。
さきほどより、窓口の女性は若く、柔軟さが期待できた。
「冒険者登録を済ませたいんですけど」
「かしこまりました。それではまず魔力計測などを行いますので、あちらのテーブルにある書類を書いてお待ちください。右隣の窓口から番号でお呼びします」
ランパは、はい!と列から外れた。一歩前進である。
書類の内容は少し難しかったが、記入例が置いていたので、すべて書き込めた。
番号は14。さきほど11番と聞こえたのでまだ時間はありそうだった。
その間に、長い列に並んでいるときにじわりと近寄ってきた尿意を解消しようと、ランパは一度ギルドの外に設置されたトイレに向かう。
「ふぅ、疲れたな…」
ギルドとはむずかしいものだ、とランパは目をしぱしぱさせる。
用を済ませていると、ランパの高性能な耳に、声が届く。『14番の方ー!』
慌ててパンツを履き直すランパ。急いでギルド内へ戻る。
『14番の方いらっしゃらないようなので15番の方』
遅かった。ランパは仕方なく、15番の男の後ろに並んで待つ。
そして15番の男が終わったのち、窓口の女に14番の札を見せるも、女は札を受け取って、片付けると、驚くべきことを言った。
「16番の方ー!申し訳ありません、もう一度左隣の列からお願いします」
ランパは発狂しかけた。
なんとか冒険者登録を済ませて、宿に帰ってきたランパはことの顛末をスバルに話す。
すると、スバルはふぅんと頷きながらこう返した。
「最初のとこさ、そのへんの先輩の冒険者に聞けばよかったんじゃないか?
あと私がついていけば、たぶん順番とばしできたぞ。今度から私を呼べな」
あー、とランパは唸った。
ランパはこの日ひとに頼るのを覚えた。




