第12話 占ってもいいですか?
王都『サンワロック』。海運に栄えた都市であり、豊かな資源に恵まれた、賑やかな都であった。
王都へ着き、まずは一同はパージマルおすすめの占い師のもとへ向かった。
子供たちに名前をつけてもらおうとしたのだ。
占い師の女は、次々と名前をつけていく。
「あなたはルーシー、君はピーク、そこのあなたはリクね」
名前をもらった子供たちは喜んでいる。物心ついてから、奴隷になり、番号でしか呼ばれていなかったので、自分の名前というのがとても嬉しいようだった。
5人の子どもへ命名が終わった時、ランパが前に出る。
「次はわたしをお願いします」
すると占い師は首をかしげる。
「あら?どうやらあなたにはすでに名前があるようだけど改名のご要望かしら?」
「ああ、実はこの子には仮の名前をつけていたんですよ。ランパと言います」
タージマル卿が説明すると、占い師は再び怪訝な顔をする。
「仮……なのね。そして命名者はあなたではない……そこのお嬢さんかしら?」
「えっ?わたし?ああ、そうだけどなんでわかったんですか」
ボーとしていたスバルは急に呼ばれ、ビクッとした。頭の中では今日のご飯について考えていた。
占い師は水晶に手を当てながら、脂汗を浮かべる。
「これは……どうやら無理そうね。改名は。あなたの魂にその名前がガッチリ融合してる。切り離そうとすれば運命がズタズタになるわ」
「……どういうことですか?」
不安そうなランパ。占い師は続ける。
「名前って言うのは、魂の識別名でもあるの。あなたの魂は長い間名前を求めていた。そしてランパという名前を与えられた時、完全に魂と結びつけられたの。魂にはある程度未来の運命が刻まれている。もし、無理やり改名すれば、あなたの人生は非業の死を遂げるでしょうね」
「えーとつまりこの子はもうランパとして生きるしかないってことですね」
ユウジの言葉に占い師は頷く。
ランパはすこし複雑そうな顔をしながらも、ゆっくりと状況を噛み砕く。
「ランパ…ランパ……うん、仮のつもりでしたけど……ゆっくり慣れていきます」
「あと」
ランパが状況を受け入れつつあるなか、占い師が追加の占い結果を申告する。
「その命名者さんとランパちゃんはどうやら……硬い縁ができてしまったようね……これも無理やり引き剥がすものではないわ。しばらく……数年は一緒にいた方が物事は好転する」
「へえ!なんだ嬉しいねぇ!ランパと私はソリが合うってか!」
スバルは、ランパに駆け寄り、その柔らかそうなほっぺを揉みしだく。
「ぶふぅ…ちょやめてください。やめ…引っ掻きますよ?」
タージマルは占い師に尋ねる。
「ううむ、この子は私が雇うつもりだったのですが、スバルくんと旅をさせたほうがよいのでしょうか」
「そうね、その方がこの子のためになると出ているわ……逆に一緒にならないといろいろあってランパちゃんは死ぬわ」
「えっ?死ぬんですか?」
聞き逃せない一言にランパは硬直する。
「あとスバルさんも死ぬわね」
「え?わたしも?」
「あとパージマル卿とそこのユウジくんも死ぬ」
「え?僕もですね?」
「わたし新婚なのだが?」
一同に沈黙が訪れる。
「……………」
「死にます」
沈黙の中、もう一度占い師が繰り返した。
タージマルは金貨の入った袋を取り出して、ユウジ、スバル、そしてランパにそれぞれ報酬を渡していく。
「いままでありがとう君たち。ぜひいい旅を続けてくれ。ランパくんも達者でな」
「あっえっご主人様……ありがとうございました?」
ランパは手のひらの数枚の金貨に目を白黒させながらも、なんとか礼を言う。
ユウジは気まずい雰囲氣のなか、金貨と交換にミントの種子が詰まった袋を、タージマル卿に渡す。
「どうぞ。その……またご縁があれば」
「ああ、ぜひ」
タージマル卿は目を背けていた。
こうしてユウジ、スバル、ランパの3人はパーティらしきものを組むことになったのだった。
なお占いによるとタージマル卿の新婚生活はとても上々であるとのことだった。
これからの生活が幸せなタージマル卿に水はさせない。決して彼を薄情だと責めてはならない。
どうかご理解いただきたい。




