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ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第一部 五年生 一学期
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第二章 少しだけ変わったぼくたちの日常 4.真凜の特訓計画(その2)

 ~Side 真凜~


 (ゆう)()は残念そうだし、あたしもそれは同感なんだけど、


「ないとは言えないわよ? さっきも言ったとおり、【魔道・天】はそもそも中身がわからないし、【魔道・地】にしたって、全部が解放されてるんじゃないような気がするのよね。……あたしの勘だけど」


 手札がわからないのはちょっとアレだけど、まだ当たりクジが残ってるかもしれないっていうのは……少しワクワクするわよね。


「【魔道・天】に含まれてるのかな? 【光魔法】と【闇魔法】」

「あたしもそれは考えたんだけど……」


 【魔道・天】がまだ解放されてない事を考えると、それなりに強力な魔法なんじゃないかと思うのよね。だとすると、【光魔法】と【闇魔法】はそれだけ強力な魔法という事になるんだけど……


「う~ん……【光魔法】でレーザー、【闇魔法】でブラックホールとか?」

「どこの最終兵器よ……」


 (ゆう)()の言うのもわかるんだけど、


「【光魔法】と【闇魔法】にだって、初歩的な魔法はあるはずじゃない? 【ライト】とか【暗視】とか。それすらも特別扱いっていうのが、何か納得できないのよね」

「完全に別のカテゴリーに含めるほどじゃないって事かぁ……だったら、時間と空間?」

「【時間魔法】と【空間魔法】……それはありそうね……」

「六神通っていうのも考えたんだけど、六神通って感覚系のスキルが多いじゃない? ESPとかPKなら、さっきの例でいくと【魔道・人】に含まれそうな気もするし」

「ESP……〝超感覚的知覚〟――だった?」

「うん。Extra-Sensory Perception。で、PKは念動。Psycho-Kinesis、サイキックだね」

「……確かに、【ヒール】と並べた方が収まりがよさそうよね……」

「で、問題の練習方法なんだけど」

「……そう言えば、そういう話だったわよね。(ゆう)()が話を脱線させるから、忘れてたわ」

「え~? ぼくのせい?」


 きっかけが(ゆう)()なのは確かでしょ?


「……まぁいいや。で、【ライト】に代わるトレーニング法だけど……」

「あたしとしては【ヒール】がいいと思うのよね。ほら、あたしってば道場に通ってるし。疲れを取りながら魔法の練習にもなるって、一石二鳥じゃない?」


 ラノベでも定番だし、これしかないと思ってたんだけど――


「あ、それ、よしといた方がいいよ()(りん)ちゃん。少なくとも安全性が確認できるまでは」

「……安全性?」


 【ヒール】のどこに〝安全性を確認〟する必要があるんだ――って思ったけど……(ゆう)()の指摘は、ちょっと怖くなる話だった。


「【手当】っていうのがどういう魔法かわかんないけどさ、〝傷つく前の状態に戻す〟――っていうのが基本だと思うんだよね」

「それのどこが危険なのよ?」

「まずだけど、筋繊維の超回復は多分阻害されるよね」


 ……〝キンセンイ〟の〝チョーカイフク〟……?

 それは何だと訊きそうになったけど、(ゆう)()が先回りして説明してくれた。


()(りん)ちゃんは聞いた事ない? トレーニングとかで筋肉を酷使すると、筋肉が前よりも太く強くなろうとする――って話」

「……聞いた事あるような気がする……それがチョーカイフクってやつ?」

「〝超回復〟――ね。そして、超回復を待たずに【ヒール】を使った場合……」

「あ……筋肉が育たない可能性もあるわけか……」

「筋肉だけじゃないよ? ぼくたちみたいな成長期の子供だと、身長とかも伸びない可能性だってあるわけだし」


 〝ラノベでも、子供にヒールを多用してはいけない――って設定とか、なかった?〟……なんて(ゆう)()は言ってるけど……それって、あたしたちのアドバンテージが一つ封じられたって事じゃない!


「もう少し嫌な話を続けるね? 筋繊維だけじゃなくて、神経細胞とかにも影響が出たりすると、神経の回復……で、いいのかな? ……ともかくそれにともなって、反復練習しておぼえた技とかもリセットされたりするかもしれないよ?」


 ……冗談じゃないわよ。技のタイミングとかおぼえるのに、あたしがどれだけ苦労してると思ってるのよ……


「更に!」

「まだあるの!?」

「これは考え過ぎだと思うんだけど……【ヒール】が身体の成長を促進して傷を治している場合……『成長』と『老化』って、表裏一体だよね?」

「――――!?」


 ――あたしは絶対【ヒール】は使わないって決めた。


「まぁ……これはあくまで最悪の想定ってやつだけど……少なくともその辺がはっきりするまでは、自分に【ヒール】をかけるのは、慎重にやった方がいいと思うんだ」

「……他人にかけるのは問題ない――って、言ってるように聞こえるけど……?」

「大人にかけるのは問題ないと思うよ? それに、さっき言ったような老化の促進は最悪の想定だし。……そもそもそういう欠点があったら、魔法として確立してはいないと思うんだ」

「……脅かさないでよ……」

「ごめん。でもさ、ぼくたち子供が【ヒール】を受けるのは、やっぱり用心した方がいいよ」


 同じ「回復」と言っても、負傷の回復と疲労の回復は別のプロセスになるはず――って(ゆう)()は言うんだけど……やっぱりちょっとためらうわよね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 小学5年生の知識・会話じゃないでしょう? こういうのでさめちゃうんだよなぁ。。。
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