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ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第三部 五年生 二学期
88/125

第二十四章 ぼくらが廃村に招かれた話 2.隠物(その1)

 ~Side 真凛~


 隙あらば引きこもろうとする優(ゆう)樹(き)を引っ張り出すのに成功して、翌日再び蓑(みの)掛(かけ)山(やま)へやって来た……つもりだったんだけど……


「ねぇ優(ゆう)樹(き)……あたしたちって、蓑掛山(みのかけやま)へ行くつもりだったわよね?」

「うん、そうだね」

「甕辺(みかのべ)の駅で降りて、蓑掛山(みのかけやま)へ登る予定だったのよね?」

「うん、そうだね」

「だったら……ここはどこ? 何であたしたち、こんなところにいるの?」


 あたしたちが今立っているのは、山間(やまあい)にある農村っていう感じの場所。人の気配がしないところをみると、廃村ってやつなのかもね。ただ……問題は蓑(みの)掛(かけ)山(やま)の近くに、こんな農村なかったはずなのよね。……って言うか、そもそも地形からして違ってるし。


 そうぼやいたら、黙ってスマホを見ていた優(ゆう)樹(き)が、


「スマホのGPSだと、繰越(くりこし)峠(とうげ)の近くになってるけど……」

「あ、GPS使えたの?」

「うん。……少なくとも、またどこかに迷い込んだわけじゃなさそうだよ」

「……吉報なのかしら? 一応……」


 何しろ、あたしたちには前科があるものね。また変なところに迷い込んだのかと、それが心配だったんだけど……大丈夫みたいね。

 でも……


「繰越(くりこし)峠(とうげ)? ……よく知らないけど……それって、甕辺(みかのべ)の近くじゃないわよね?」

「うん。全然違う方向だね。……少なくとも、甕辺(みかのべ)駅で降りてから迷子になった――っていうんじゃ、説明はつかないね」


 ……サラッと言ってくれるけど……それって、そもそも最初から、あたしたちがたぶらかされてた――って事じゃない。大問題よ?

 けどまぁ……どうせマヨヒガがらみなのよね? だったら、このまま流された方が面白いかも。


「う~ん……マヨヒガも怪しいと言えば怪しいんだけど……どっちかって言うと、金霊(かなだま)の仕業じゃないかな」

「金霊(かなだま)?」

「うん。何となくだけど、そんな気がする」

「そう……スキルホルダーの優(ゆう)樹(き)が言うんなら、間違いって事はないわよね」

「そう簡単に丸呑みされても困るけど……うん、多分大丈夫かな」



 ********



 ~Side 優樹~


「それで優(ゆう)樹(き)、金霊(かなだま)の仕業って名指(なざ)しするからには、それなりの根拠があるのよね?」

「根拠って言うのかな……何か引っ張られるような感じがするんだよね。金霊(かなだま)に呼ばれた時と同じように」

「ふぅん……わざわざあたしたちをたぶらかしてまで連れて来たからには、それなりの財宝が期待できるんでしょうね?」


 いや……ぼくに言われても……どっちかって言うと、ぼくも金霊(かなだま)にたぶらかされた方だから。


 真(ま)凛(りん)からの圧を背後に感じつつ、「金霊(かなだま)」――多分――のナビに従って歩いて行くと……


「……多分、ここかな?」

「ここ? ……ここに何か埋めてあるのね?」

「うん。真(ま)凛(りん)ちゃんの探知魔法でわからない?」

「待って……あるわね。そんなに深くないけど、何か金属の塊みたいなのが埋まってる……やったわね!」


 テンション上がりっぱなしの真(ま)凛(りん)が、魔法で土をどけて埋まってたものを掘り出したんだけど……


「……錆(さ)びた鉄の……棒?」


 泥か土かと思えるようなものの中から出てきたのは、これもボロボロになった赤(あか)錆(さ)びの塊だった。真(ま)凛(りん)は何かわからなかったみたいだけど、【鑑定】してみたら錆び付いた日本刀の集まりだった。木の鞘は朽ちて土みたいになってるし、それを包んでいたらしい風呂敷も腐って土に還ってるけどね。


「……これがお宝ってわけ?」


 ――そう拍子抜けしたような声で言う真(ま)凛(りん)は、呆れ半分腹立ち半分って感じだけど、多分こっちは付け合わせだね。

 本命はもう一つの方だろう。


「あら? こっちは何ともないみたいだけど……日本刀には見えないわね?」


 土の中から取り出したもう一つの塊を真(ま)凛(りん)は不思議そうに見てるけど……そうだろうね。【素材鑑定】の結果でも、日本刀とは違うし。


「……真(ま)凛(りん)ちゃん……それ、ミスリルのショートソードだって」

「ふぅん……ミスリルなんだ。……え? ……ミスリル(・・・・)……?」



《対象物の品質は以下の通りです。

 【魔銀みすりるの小剣】 品質:上 貢献度:中 備考:異世界産

 マヨヒガの収蔵品として取り込みますか? はい/いいえ》



「待って待って!? 何でミスリルのショートソードなんか埋まってるのよ!?」

「さぁ……ぼくに訊かれても……ただ、備考に〝異世界産〟って書いてあるよ?」

「異世界!?」


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