第二十四章 ぼくらが廃村に招かれた話 2.隠物(その1)
~Side 真凛~
隙あらば引きこもろうとする優樹を引っ張り出すのに成功して、翌日再び蓑掛山へやって来た……つもりだったんだけど……
「ねぇ優樹……あたしたちって、蓑掛山へ行くつもりだったわよね?」
「うん、そうだね」
「甕辺の駅で降りて、蓑掛山へ登る予定だったのよね?」
「うん、そうだね」
「だったら……ここはどこ? 何であたしたち、こんなところにいるの?」
あたしたちが今立っているのは、山間にある農村っていう感じの場所。人の気配がしないところをみると、廃村ってやつなのかもね。ただ……問題は蓑掛山の近くに、こんな農村なかったはずなのよね。……って言うか、そもそも地形からして違ってるし。
そうぼやいたら、黙ってスマホを見ていた優樹が、
「スマホのGPSだと、繰越峠の近くになってるけど……」
「あ、GPS使えたの?」
「うん。……少なくとも、またどこかに迷い込んだわけじゃなさそうだよ」
「……吉報なのかしら? 一応……」
何しろ、あたしたちには前科があるものね。また変なところに迷い込んだのかと、それが心配だったんだけど……大丈夫みたいね。
でも……
「繰越峠? ……よく知らないけど……それって、甕辺の近くじゃないわよね?」
「うん。全然違う方向だね。……少なくとも、甕辺駅で降りてから迷子になった――っていうんじゃ、説明はつかないね」
……サラッと言ってくれるけど……それって、そもそも最初から、あたしたちがたぶらかされてた――って事じゃない。大問題よ?
けどまぁ……どうせマヨヒガがらみなのよね? だったら、このまま流された方が面白いかも。
「う~ん……マヨヒガも怪しいと言えば怪しいんだけど……どっちかって言うと、金霊の仕業じゃないかな」
「金霊?」
「うん。何となくだけど、そんな気がする」
「そう……スキルホルダーの優樹が言うんなら、間違いって事はないわよね」
「そう簡単に丸呑みされても困るけど……うん、多分大丈夫かな」
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~Side 優樹~
「それで優樹、金霊の仕業って名指しするからには、それなりの根拠があるのよね?」
「根拠って言うのかな……何か引っ張られるような感じがするんだよね。金霊に呼ばれた時と同じように」
「ふぅん……わざわざあたしたちをたぶらかしてまで連れて来たからには、それなりの財宝が期待できるんでしょうね?」
いや……ぼくに言われても……どっちかって言うと、ぼくも金霊にたぶらかされた方だから。
真凛からの圧を背後に感じつつ、「金霊」――多分――のナビに従って歩いて行くと……
「……多分、ここかな?」
「ここ? ……ここに何か埋めてあるのね?」
「うん。真凛ちゃんの探知魔法でわからない?」
「待って……あるわね。そんなに深くないけど、何か金属の塊みたいなのが埋まってる……やったわね!」
テンション上がりっぱなしの真凛が、魔法で土をどけて埋まってたものを掘り出したんだけど……
「……錆びた鉄の……棒?」
泥か土かと思えるようなものの中から出てきたのは、これもボロボロになった赤錆びの塊だった。真凛は何かわからなかったみたいだけど、【鑑定】してみたら錆び付いた日本刀の集まりだった。木の鞘は朽ちて土みたいになってるし、それを包んでいたらしい風呂敷も腐って土に還ってるけどね。
「……これがお宝ってわけ?」
――そう拍子抜けしたような声で言う真凛は、呆れ半分腹立ち半分って感じだけど、多分こっちは付け合わせだね。
本命はもう一つの方だろう。
「あら? こっちは何ともないみたいだけど……日本刀には見えないわね?」
土の中から取り出したもう一つの塊を真凛は不思議そうに見てるけど……そうだろうね。【素材鑑定】の結果でも、日本刀とは違うし。
「……真凛ちゃん……それ、ミスリルのショートソードだって」
「ふぅん……ミスリルなんだ。……え? ……ミスリル……?」
《対象物の品質は以下の通りです。
【魔銀みすりるの小剣】 品質:上 貢献度:中 備考:異世界産
マヨヒガの収蔵品として取り込みますか? はい/いいえ》
「待って待って!? 何でミスリルのショートソードなんか埋まってるのよ!?」
「さぁ……ぼくに訊かれても……ただ、備考に〝異世界産〟って書いてあるよ?」
「異世界!?」




