第二十三章 ぼくらが蓑掛山に行った時の事~金霊~ 7.ホームセンターにて
~Side 真凛~
蓑掛山の埋蔵金仮説に意外な形の決着がついた後、あたしは凹んだ気分のまま登山道を下っていた。
あたしが軽率な振る舞いをしたばっかりに、相棒である優樹を危険にさらしてしまった。危険なものではなかった――金霊だからむしろ福の神――けど、それは結果論でしかない。優樹の身に危険が及んだ可能性だってあるわけだし。……まさか、あたしを差し置いて優樹の方に向かうなんて思わなかったからだけど……考えが足りなかったのは事実よね。
反省するべきなのはわかってるけど、失敗したという事実ばかりが頭の中をグルグルまわってる感じで、反省とか対策とか、建設的な方に頭が働かない。
……ダメだわ、こんなんじゃ。とにかく優樹は無事だったんだから……って言うか……結果的には大丈夫だったのよね?
そもそもマヨヒガが許可したからこそ、金霊も飛び込む事ができたんだろうし……そう言えば、マヨヒガの自己防衛能力って、どうなってるのかしら?
……割と重要な問題みたいな気がするし……これ、優樹に確認しといた方がいいかもしれないわよね……
そんな事を考えながら歩いていると、
「あ、ちょっと待って真凛ちゃん。寄って行きたいところがあるから」
――優樹が寄り道を提案してきた。
「……こっちに何かあるの?」
「うん。ネットでこの辺りの地図を見てたら、ホームセンターがあったから」
「ホームセンター?」
「うん。前にゴザを買いたいって言ってたじゃない? けど、家の近所だとどうしても目立つし、好い機会だからここで買っていこうかなって」
……そう言えば……前にそんな事を話してたわね。忘れてたわ。
「割り勘にしようって話になってたわよね? ……いくらくらいになりそう?」
山登りのつもりだったから、あんまりお金は持って来てないんだけど……
「ネットで調べた限りだと、思ってたほどは高くないみたい。サイズにもよるけど、外国産だと……」
「ダメよ。マヨヒガの畳を作るお手本にするんでしょう? だったら国産一択よ」
うん、安心快適な生活を追求するためにも、断固としてここは譲れないわよね。
「……うん、それでもそんなに高くなかったよ」
結局は財布の中身と相談して、江戸間四畳半のイ草上敷きを買う事にした。もちろん国産よ。
ついでに優樹の提案で、園芸用の有機肥料を何種類か買っておいた。マヨヒガの敷地がどうなるのかはわからないけど、果物の種子は着々と集めてるし、竹姫の筍も取り込んだしね。〝備えあれば憂いなし〟――よ。
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~Side 優樹~
帰り道に真凛が凹んでたのが気になってたけど、ホームセンターで買い物をしてるうちに、気分も上向いてきたみたいだから一安心だね。
ただ……その後でちょっとややこしい事を訊かれちゃったんだよね。
マヨヒガの自己防衛能力だなんて。……考えた事もなかったけど……お地蔵様とか案山子さんとか頼りじゃないのかな?
けど……でもそんな事を言ったら真凛の事だから、お守りを増やそうって話になるだろうしなぁ……
お守りどうしがケンカするって話もあるし、そう言って話をそらすのが賢明かな?
これにて今回の更新は終幕となります。マヨヒガへの「金霊」の参加が切っ掛けとなって、次章以降は大きく話が動く事になります。




