第二十三章 ぼくらが蓑掛山に行った時の事~金霊~ 3.夜の内緒話(その1)
~Side 優樹~
家に帰り着いてから、お母さんの許可を貰ってパソコンを使わせてもらった。ネットに接続して、お父さんの言ったように寛永通宝の種類を調べようとしたんだけど……こんなに種類が多いなんて思わなかったよ。
波銭って呼ばれる四文銭なのはわかったし、さびてない事から鉄銭じゃなくて真鍮だろうって事も見当が付いたんだけど、パッと見ではそこまでだった。
ただ……【鑑定】のスキルで成分組成がわかったから、どうやら文政四年に鋳造された〝赤銭〟と呼ばれるタイプのものだろうと、見当は付いたんだけどね。
文政四年というと、西暦に直すと一八二一年だ。二百年くらい前のものだとすると、明治時代の落としものというお父さんの説は怪しくなるんじゃないか――と思ったんだけど……よく考えたら、寛永通宝には違いないんだから、文政のものを明治に使ってたとしも、別に問題はないんだよね。……そこまで古いものにしては妙に状態が良いのが、少し気になるけど。
それより問題は、ついさっきこれを【鑑定】した時に判明した新事実の方だ。さすがにこれは真凛に伝えなきゃまずいけど……また何か面倒な事を言い出しそうな気がするなぁ……はぁ……
・・・・・・・・
『……何ですって? 〝収蔵品〟?』
あぁ……気のせいか、スマホ越しの真凛の声が、いつもより低く聞こえるよ。……〝ドスの効いた声〟――って言うんだっけ。
「うん。お父さんがいるんで言えなかったけど、寛永通宝を拾った時にね」
あの時、手に持ってた寛永通宝に対して【鑑定】が発動したんだけど……その時の画面が問題だったんだよね。
《対象物の品質は以下の通りです。
【古銭 寛永通宝(四文銭)】 品質:中 貢献度:小
マヨヒガの収蔵品として取り込みますか? はい/いいえ》
思っていたより品質が高かったけど……問題はそこじゃなくて、「収蔵品」として取り込めるってとこなんだよね。
さすがにお父さんがいる前で取り込むなんてできなかったけど……さっき試してみたら普通に取り込めて……その後、普通に出す事もできたんだよね……
『もう普通の【収納】と変わらないじゃないのよ』
……普通の生活に【収納】スキルがあるかどうかは別として……
「でも真凛ちゃん、ラノベとかに出てくる【収納】スキルとは違って、何でも取り込める……収蔵できるってわけじゃないみたいだよ」
『あれ? そうなの?』
「うん」
部屋にあるものを片っぱしから試してみたんだけど、素材の時と同じように、生き物とかプラスチック製品はダメだった。
あと、これも素材の時と同じだけど、食べ物とかも取り込めなかった。……これ、マヨヒガに滞在する時の事を考えたら、結構問題なんだけど……自分で持ち込む分にはいいのかな? それとも、スキルのレベルが上がったら取り込めるとか?
それ以外の道具とかにも取り込めるものと取り込めないものがあって、どうやら量産品は取り込めないものが多いみたい。その他に記念写真とかも取り込めなかった。念のためにフォトスタンド――プラスチック製だった――から外して試してもみたんだけど、やっぱりダメだったんだよね。
『……【収納】の代わりにはならないわけかぁ……』
「あくまでマヨヒガの収蔵品だからね」
民話に出てくる「迷い家」の宝物って、どこで確保してるんだろうと思ってたけど……よそから持って来てるって事かな? 「迷い家」が魔力で生み出してる――って可能性も考えてたんだけど。
『う~ん……そうすると、収蔵品を増やした方が良いのかしら?』
「マヨヒガとしてはそうみたい。……まだはっきり断言はできないんだけど……所蔵アイテムを増やすほど、マヨヒガが強化されるみたいなんだよね」
『すごいじゃない!』




