第二章 少しだけ変わったぼくたちの日常 2.マヨヒガの秘密(その1)
~Side 優樹~
「おはよ~、真凜ちゃん」
「遅ーい!」
……怒られた。
一言云わせてもらうなら、今日は日曜日で今は朝の九時十五分。遅いと非難されるほどではないと思う。ちなみに、場所はぼくん家の裏手の万十山ね。
「普通ならともかく、今日は特別な日だってわかってるでしょ!」
「言わせてもらうけど真凜ちゃん、〝特別〟だって事が他の人たちに知られたらまずい――っていう自覚はある?」
「………………」
あ、なかったみたいだね。
「日曜日の朝も早くからトレーナー姿で外出なんて……家の人たちに怪しまれなかった?」
「それは大丈夫。休日朝のランニングは日課みたいなものだから」
……日課なのかぁ……あれ? 休日ごとなら「日課」って言わないんじゃ……
「優樹はどうなのよ?」
「ぼくも大丈夫。裏山に虫採りに行くって言ってきたから。……ただ、あんまり朝早くから出るようだと、少し怪しまれそうなんだよね」
言外に、〝こっちの事情も考えてほしい〟とにおわせたら、
「……悪かったわよ……」
うん、わかってもらえればいいんだよ。
「――で、今日のお題は『ステータス』なんだよね?」
「それ! 優樹はどうだった!?」
夕べ真凜から電話をもらってすぐ、ぼくも自分のステータスを確かめた。その時のステータス画面はこうなっていた。
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名前:鳥楽 優樹
種族:人間
性別:男
年齢:十一
魔 力: 2/20
生命力:17/26
筋力値:10
防御値:10
敏捷値: 9
器用値:13
知力値:14
能 力:【マヨヒガ(準備中)】
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……筋力値が真凜の半分しかないのはもう仕方がない――だって、リンゴを握りつぶすような相手だよ? 本人はタネがあるんだと主張してたけど――し、生命力――多分HP――が真凜より低いのも、まぁわからなくもない。
けど、明らかにおかしいのは魔力値――多分MP――だ。2ポイントしか残ってない。ぼくは真凜と違って魔法とかは取得してないんだから……
……怪しいのはこの【マヨヒガ(準備中)】だよね。ウィンドウの説明文にも、〝魔力に合わせて新たに建築〟って書いてあったし。
だけど……気になる点はもう一つあって、こっちが今朝、家を出てすぐに見たステータスの値なんだけど……
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名前:鳥楽 優樹
種族:人間
性別:男
年齢:十一
魔 力: 2/22
生命力:26/26
筋力値:11
防御値:10
敏捷値: 9
器用値:13
知力値:14
能 力:【マヨヒガ(準備中)】
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HPが回復してるのはわかるけど、MPの最大値が一晩で2ポイント増えてるんだよね。相変わらず2しか残ってないけど。
これって真凜も同じなのかな?