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ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第三部 五年生 二学期
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第十八章 消えた七不思議 1.新聞部からのお誘い

第三部・二学期篇の開幕です。

 ~Side 優樹~


 アサガオの開花が夏休み中が間に合わなかった事もあって、()(りん)の自由研究はぼくと共同で地元の怪異を調べたものになった。で、ぼくの方は()(りん)と共同で、今年の大雨による被害状況の調査にした。それぞれ()(りん)・ぼく、ぼく・()(りん)の名前で出したんだ。別に共同研究がダメとは言われなかったしね。どちらもそこそこ好評だったんだけど……


「新聞部? 新聞部がなぜぼくたちを呼んでるのさ?」

「あたしだって知らないわよ。ただ、あたしと(ゆう)()に部室まで来てほしい――って、連絡があっただけだもん」


 色々と後ろ暗い……とまではいかないけど、大っぴらにできない事を抱えているぼくと()(りん)だけど、その分だけ機密保持には気を使っているし、新聞部に気付かれたとは思えない。しいて言えば、二人でお寺の跡に行った時に誰かに見られていたらしい事と……それに関連しての()(りん)――とぼく――の自由研究の事だろうか。

 少しだけ不安な気持で、()(りん)ともども新聞部の部室を訪れたんだけど……


「あぁ、()(すみ)()さんと鳥楽(たかなし)君ね? 呼び出して悪かったわね。そこに座って、楽にしてちょうだい」

「「はぁ……」」

「自己紹介が遅れたわね。あたしは六年一組の(みなもと)(しょう)()。新聞部の副部長をやってるわ」

「「はぁ……」」


 ぼくたちを迎えてくれたのは、セミロングのストレートで眼鏡をかけた、六年生の女子だった。新聞部副部長の(みなもと)先輩らしいんだけど……一体ぼくたちに何の用なんだろうね?


「呼ばれたわけがわからずに不審に思ってるだろうから、単刀直入にお願いするわね。自由研究で地元の妖怪について調べたあなたたち二人に、七不思議の調査をお願いしたいのよ」

「「――七不思議?」」

「そう。と言っても、これだけじゃ何の事かわからないだろうから、少し長くなるけど我慢して聞いてくれる?」

「「はぁ……」」


 マシンガン……とまではいかないけど、流れるような弁舌の冴えに、ぼくも()(りん)も口を挟む隙もなくて、黙って聞いているしかなかったよ。


「その前に……あなたたち、(うつつ)(がわ)小学校の七不思議について何か知ってるかしら?」


 ぼくと()(りん)は思わず顔を見合わせた。うかつと言えばうかつだけど、学校の怪談は完全に意識から抜けてたよ。ぼくらが調べたのは民俗伝承ってやつで、学校の怪談はどちらかと言えば都市伝説のカテゴリーだからね。

 けど……それを抜きにしても……


「そう言えば……聞いた事がないですね」

「……あたしも。女子にはコックリさんとかやってる子もいるけど……七不思議の話題が出た事は……おぼえがないです」


 ぼくらの答を聞いた(みなもと)先輩は、満足そうにうなずいた。


「そうなのよ。元々この(うつつ)(がわ)小学校は生月(おいづき)市の市制施行後にできたから、その歴史はせいぜい四十年かそこら。だから七不思議なんてものがなくても不思議じゃないんだけど……」

「……どういう事ですか?」

「えぇ。毎年一度は新聞部に学校の七不思議について教えてくれという質問が来るから、あたしたちも調べはしたんだけどね……どうもはっきりしないのよ。無いなら無いと答えられるんだけど、お年寄りに聞いても有るのか無いのかはっきりしなくて」


 (みなもと)先輩の言うところでは、年配の人の中には、学校に現れる怪異の事を聞いたという人もいたそうだ。ただ、それは学校の怪異じゃなくて地元の怪異と取り違えてるんだという意見もあって、どうもはっきりしないらしい。

 怪異の数にしても、七つどころじゃなかったという意見もあれば、反対にもっと少なかったという意見もあって、混乱してるらしい。……けど……それって、「七不思議」としてまとめられてなかったという事じゃないのかな?


「そうかもしれないわね。とりあえず昔学校内で起きたという怪異の中で、現在確認できているのは三つだけよ」


 そう言って副部長さんが挙げたのは――


・学校の周りを首のない馬が歩きまわっていた。

・校庭から何か得体の知れない黒いものが現れて消えた。

・プールで泳いでいたはずの生徒が、いつの間にか消えていた。


 ……何だか、あまり「学校の怪談」っぽくないよね。校庭の銅像も、音楽室のピアノや肖像画も、怪談踊り場の鏡も、開かずのトイレもなしかぁ……


「おかしな事は他にもあるの。あなたたちも地元の怪談を調べたならわかると思うけど、細々とでも言い伝えが残ってたでしょう? だけどこの『(うつつ)(がわ)七不思議』――仮称ね?――については、もうほとんど痕跡をとどめてないのよ。昔はそれなりに有名で、しかもそこそこの数もあったらしいのに、それがかき消すように消えてるの。こっちの方がよっぽど七不思議にふさわしいくらいよ」

「「はぁ……」」

「夏になるたびに同じ事を訊かれるのにもいい加減ウンザリしてたところだし、この際あなたたちに調べてみてほしいのよ。本当ならあたしたちが調べるべきなんだけど、残念ながら人手が足りなくて。代わりにと言っては何だけど、訊き込みや調査には新聞部の名前を使って構わないわ」

「「はぁ……」」

明日もこの時間帯に更新の予定です。

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