第十四章 ぼくらが台風の被害を調べた時の事 1.町内を見廻った時の事
お久しぶりのマヨヒガです。今回は二話の更新になります。
~Side 優樹~
ぼくらが称明寺の跡地に行った二日後から雨が降り出して、何だか全国的な大雨になったみたいだった。台風の影響みたいだけど。
各地で水害や土石流が発生して、ぼくらが住んでいるここ生月市でも少し被害が発生した――っていうのを朝のニュースで聴いた時、ぼくの頭にひらめくものがあった。……〝天啓の如く〟――って言うんだっけ、こういう時。
次の日に雨が上がったのを見計らって、ぼくは町に飛び出した。親には、自由研究のネタとして豪雨被害の取材をしてくるって言ってある。嘘じゃないしね。危ない場所には近付かないようにってしつこく言われたけど、ぼくだって危ない橋を渡るつもりなんかさらさらない。
さて……何はともあれ、真凜に連絡しないと。ぼく一人だと、できる事が限られちゃうしね。
********
~Side 真凜~
台風一過……っていうんじゃないけど、大雨が上がって久しぶりに晴れた朝、スマホに優樹からの着信があった。ちょうど部屋にいたから受けたんだけど……
「はぁ? デジカメかスマホを持って急いで出て来いって……優樹、あなた一体何を考えてるのよ?」
『そんなに怪しい事じゃないよ? せっかくの機会なんだし、町内の大雨被害の様子を取材しておけば、真凜ちゃんの自由研究にも使えるかなって』
「自由研究?」
『うん。あちこちまわる必要があるから、自転車で来てくれる? 途中で適当に写真も撮って、あ、場所も記録しておいてね』
……悪い話じゃなさそうだし、優樹との共同研究だって言えば、親も納得するかもしれないけど……優樹がそんな殊勝なタマであるはずがないわよね。
「……で、本音は?」
『うん。がけ崩れの落石とか、増水で流されて来た流木とか、急いでやれば気付かれないうちに回収できるかな――って思って』
はぁ……そういう事か……
「あたしは見張り役ってわけね?」
『ご名答。……だめ?』
……こういう時に抜け目がないのは、相棒として頼もしいと思うべきなのかしら……
まぁ、あたしにも利のない事じゃないし。引き受けるしかないわけだけど。
「自由研究の件については会ってから聞くわ。で……被害の様子を撮ればいいのね?」
『うん。あ、住宅の写真とかは撮らなくていいから。今は個人情報だとかうるさいしね。使いでのない写真とか、撮ってもしかたないから』
「……要するに、崖崩れとか路肩とか街路樹とかね?」
『うん♪』
はぁ……素材として取り込めそうなものばっかりじゃない。優樹の面の皮って、どのくらいの厚さなのかしら。最低でも一センチはありそうよね。
「……まぁいいわ。集合場所を教えてちょうだい」
********
~Side 優樹~
合流した真凜と手分けして被害状況を調べ……るという名目のもとに、落石とかを回収してたんだけど、今回の台風は風はそこまで強くなかったみたいで、街路樹が折れたり倒れたりっていう被害はほとんどなかった。割と太い枝が折れて落ちたりはしてたから、それは回収させてもらったけどね。もちろん、ちゃんと記録はしたよ?
崖崩れとの現場で落石とか土砂とかをごっそり回収しようとしてたぼくとしては、少し当てが外れた感じだ。
「……ねぇ優樹、さっき電話で自由研究って言ってたけど?」
「あ、うん。ぼくと真凜ちゃんで共同研究にしたらどうかな――って」
「共同研究?」
「うん。どうせ妖怪とかの話も調べるんだし、あっちを真凜ちゃんがメインでぼくが協力者、こっちはぼくがメインで真凜ちゃんが協力者――って事にすれば、一緒に行動してても不自然じゃないよね?」
「……あんた、よくそういう知恵が回るわね……」
「ダメ?」
「あたしとしては願ったり叶ったりだけど……優樹はそれでいいの?」
「うん。ぼくとしてもメリットはあるし」
「ふぅん……けど優樹、被害状況を調べるって言ってたけど、写真撮って地図に貼るだけ?」
「まさか。それが基本だけど、他にも土質とか地形、当日の風向などのデータと重ね合わせるんだよ。けど、そういう情報は後からでも入手できるから」
「ふぅん……土質ねぇ……」
そうつぶやきながら真凜が斜面に近寄りかけたんだけど――
「真凜ちゃん! ストップ!」
「――え?」
ビックリしたように真凜が立ち止まったけど……危なかった……のかな?
何しろいきなり警告画面がポップアップしたもんだから、ぼくも焦っちゃったんだよね。
《対象箇所の状態は以下の通りです。
地形:斜面下部 状態:不安定 評価:下 備考:接近非推奨》
「……【立地鑑定】?」
「うん、そういう感じのスキルみたい」
「……ちょっと待ってよ。マヨヒガって、〝どこでもホーム〟みたいなものだって言ってなかった?」
「うん。基本的にはそうなんだけど……何か、こっちの世界に建てる事もできるみたい。……マヨヒガ本体じゃなくて、擬装用の建物って感じなのかな?」
「はぁ……まぁ、建てる建てないは別として、案外使い勝手の好さそうなスキルよね」




