表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第二部 五年生 夏休み
51/125

第十四章 ぼくらが台風の被害を調べた時の事 1.町内を見廻った時の事

お久しぶりのマヨヒガです。今回は二話の更新になります。

 ~Side 優樹~


 ぼくらが称明(しょうみょう)()の跡地に行った二日後から雨が降り出して、何だか全国的な大雨になったみたいだった。台風の影響みたいだけど。


 各地で水害や土石流が発生して、ぼくらが住んでいるここ生月(おいづき)市でも少し被害が発生した――っていうのを朝のニュースで聴いた時、ぼくの頭にひらめくものがあった。……〝天啓の如く〟――って言うんだっけ、こういう時。


 次の日に雨が上がったのを見計らって、ぼくは町に飛び出した。親には、自由研究のネタとして豪雨被害の取材をしてくるって言ってある。嘘じゃないしね。危ない場所には近付かないようにってしつこく言われたけど、ぼくだって危ない橋を渡るつもりなんかさらさらない。

 さて……何はともあれ、()(りん)に連絡しないと。ぼく一人だと、できる事が限られちゃうしね。



 ********



 ~Side 真凜~


 台風一過……っていうんじゃないけど、大雨が上がって久しぶりに晴れた朝、スマホに優樹からの着信があった。ちょうど部屋にいたから受けたんだけど……


「はぁ? デジカメかスマホを持って急いで出て来いって……(ゆう)()、あなた一体何を考えてるのよ?」

『そんなに怪しい事じゃないよ? せっかくの機会なんだし、町内の大雨被害の様子を取材しておけば、()(りん)ちゃんの自由研究にも使えるかなって』

「自由研究?」

『うん。あちこちまわる必要があるから、自転車で来てくれる? 途中で適当に写真も撮って、あ、場所も記録しておいてね』


 ……悪い話じゃなさそうだし、優樹との共同研究だって言えば、親も納得するかもしれないけど……優樹(このこ)がそんな殊勝なタマであるはずがないわよね。


「……で、本音は?」

『うん。がけ崩れの落石とか、増水で流されて来た流木とか、急いでやれば気付かれないうちに回収できるかな――って思って』


 はぁ……そういう事か……


「あたしは見張り役ってわけね?」

『ご名答。……だめ?』


 ……こういう時に抜け目がないのは、相棒(バディ)として頼もしいと思うべきなのかしら……

 まぁ、あたしにも利のない事じゃないし。引き受けるしかないわけだけど。


「自由研究の件については会ってから聞くわ。で……被害の様子を撮ればいいのね?」

『うん。あ、住宅の写真とかは撮らなくていいから。今は個人情報だとかうるさいしね。使いでのない写真とか、撮ってもしかたないから』

「……要するに、崖崩れとか路肩とか街路樹とかね?」

『うん♪』


 はぁ……素材として取り込めそうなものばっかりじゃない。優樹(あのこ)(つら)の皮って、どのくらいの厚さなのかしら。最低でも一センチはありそうよね。


「……まぁいいわ。集合場所を教えてちょうだい」



 ********



 ~Side 優樹~



 合流した()(りん)と手分けして被害状況を調べ……るという名目のもとに、落石とかを回収してたんだけど、今回の台風は風はそこまで強くなかったみたいで、街路樹が折れたり倒れたりっていう被害はほとんどなかった。割と太い枝が折れて落ちたりはしてたから、それは回収させてもらったけどね。もちろん、ちゃんと記録はしたよ?

 崖崩れとの現場で落石とか土砂とかをごっそり回収しようとしてたぼくとしては、少し当てが外れた感じだ。


「……ねぇ(ゆう)()、さっき電話で自由研究って言ってたけど?」

「あ、うん。ぼくと()(りん)ちゃんで共同研究にしたらどうかな――って」

「共同研究?」

「うん。どうせ妖怪とかの話も調べるんだし、あっちを()(りん)ちゃんがメインでぼくが協力者、こっちはぼくがメインで()(りん)ちゃんが協力者――って事にすれば、一緒に行動してても不自然じゃないよね?」

「……あんた、よくそういう知恵が回るわね……」

「ダメ?」

「あたしとしては願ったり叶ったりだけど……(ゆう)()はそれでいいの?」

「うん。ぼくとしてもメリットはあるし」

「ふぅん……けど(ゆう)()、被害状況を調べるって言ってたけど、写真撮って地図に貼るだけ?」

「まさか。それが基本だけど、他にも土質とか地形、当日の風向などのデータと重ね合わせるんだよ。けど、そういう情報は後からでも入手できるから」

「ふぅん……土質ねぇ……」


 そうつぶやきながら()(りん)が斜面に近寄りかけたんだけど――


()(りん)ちゃん! ストップ!」

「――え?」


 ビックリしたように()(りん)が立ち止まったけど……危なかった……のかな?

 何しろいきなり警告画面がポップアップしたもんだから、ぼくも焦っちゃったんだよね。



《対象箇所の状態は以下の通りです。

 地形:斜面下部 状態:不安定 評価:下 備考:接近非推奨》



「……【立地鑑定】?」

「うん、そういう感じのスキルみたい」

「……ちょっと待ってよ。マヨヒガって、〝どこでもホーム〟みたいなものだって言ってなかった?」

「うん。基本的にはそうなんだけど……何か、こっち(・・・)の世界に建てる事もできるみたい。……マヨヒガ本体じゃなくて、擬装用の建物って感じなのかな?」

「はぁ……まぁ、建てる建てないは別として、案外使い勝手の好さそうなスキルよね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ