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ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第一部 五年生 一学期
30/118

第八章 ぼくらと白骨死体とその顛末 1.ぼくらが白骨死体を見つけた時の事

新年最初の更新がこんな話になりましたが……まぁ、マヨヒガらしくていいとお考え下さい。

 ~Side 真凜~


 ばんば山での魔法訓練も大分慣れてきたせいか、ただ採石場跡に来て魔法を撃って帰るだけ――っていうのが物足りなく思えてきた。それだけ気持ちに余裕が出てきたって事なんだろうけど。

 そんなわけで、あたしは(ゆう)()にせがんで、ばんば山を案内してもらう事にした。……あんな事を言い出さなければ、こんなものを見つける羽目にならなかったのに――と、今になって後悔している。


「ね、ねぇ(ゆう)()……あそこに見えてる白っぽいものって……」

「骨、だね」

「や、やっぱり?」


 魚とかフライドチキンの骨なら見た事あるけど、あんな大きな動物の骨って……それに、あの丸い骨って……


「頭蓋骨みたいだね――人間の」

「やっぱり!?」


 あたしは足がすくんで動けないのに、(ゆう)()ってば――


「ちょっと! どこへ行くのよ!?」

「え? ……だって、人骨なのかどうか確かめなきゃ」

「あたしを置いてかないでよ!」

「……じゃあ、()(りん)ちゃんも来る?」

「嫌よ!」


 あたしの態度に困った(ゆう)()が言い出したのは、


「……落ち着いてよ()(りん)ちゃん。白骨死体じゃなくてスケルトンだと思えば、どうって事ないだろ?」


 おかしな話だけど……そう言われてちょっとだけ落ち着いた。確かに、スケルトンなんてファンタジーではザコあつかいだし……そこまで怖がる事はないわよね?


 だけど結局、あたしは(ゆう)()それ(・・)を観察している間、目をつむってその場に立っていた。


「お待たせ。やっぱり人の骨みたいだった」


 ――なのに(ゆう)()ったら、落ち着いて報告なんかしてくるんだもの。


「ど……どうするの?」

「う~ん……()(りん)ちゃん、探偵のまねとか、してみたい?」

「嫌!」


 少女探偵ものっていうジャンルはあるけど、あれは読者という立場で楽しむものよ。自分が当事者になるなんて、ごめんだわ。それにあたしは安楽椅子探偵派なのよ。死体の鑑定なんかお断りよ。悪趣味なラノベのまねなんか、頼まれたって御免だわ。


「だったら――」

「だったら?」


 まさか、素材として取り込む――なんて、言い出すんじゃないでしょうね?


「そこまで非常識な事は言わないよ。けど、このまま放って置くのも不人情だしさ。警察に届けるくらいはしてもいいかな――って、思ってるんだけど……」

「……だけど……何?」

「馬鹿正直に報告したら、ぼくらがばんば山に入ってた事までバレちゃうよ? 何であんなところにいたんだって訊かれたら、どう答えるつもり?」

「あ……」


 確かにこれは問題よね。まさか、〝魔法の練習をしてました〟――なんて、答えるわけにもいかないし。


「そこは何とかごまかせたとしても、今後ばんば山への立ち入り禁止を言い渡されるとか、抜け道を封鎖されるとかされたら、面倒じゃない?」


 ……そっちはもっと困るわね……


「じゃあ、どうするの? 放って置く? それとも……あたしたちでお墓を作る?」

「……ぼくたちでお墓を作るというのは考えなかった」

(ゆう)()は何を考えたのよ?」

「う~ん……()(りん)ちゃんの魔法で、電話の声をごまかせないかな――って、考えてた」

「魔法で声を?」

真凜の言う〝悪趣味なラノベ〟こと、「とある死霊術師の回顧録」シリーズも、宜しければご覧下さい(笑)。

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