表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第三部 五年生 二学期
125/125

第三十章 ぼくらの繰越村再訪記 7.クリ林とお堂

本作に登場する地名・人名・歴史・道徳・法律・価値観・慣習・伝承などは架空のものであり、現実のそれとは無関係である事を、予めお断りしておきます。現実で作中人物と同じような行動をとった場合、何らかの法規に抵触するかもしれませんのでご注意下さい。

 ~Side 優樹~


 予想外の収穫を得た空き家……と言うかその残骸を後にして、ぼくらはクリ林の方に向かった。

 クリを拾いたいというのはもちろんだけど、マヨヒガに植える分の実とか()(しょう)とかも確保したいし、村の近くにクリ林があるのかどうかを確かめておくのも大事だしね。何しろ、旧村跡地の位置を調べる手がかりになるかもしれないんだから。

 そうしてしばらく歩いた先には――


「うわぁ……」

(ゆう)()、これって全部クリの木なの?」

「そうみたいだよ。ほら、地面にもたくさん落ちてるし」

「本当ね……」


 地面には、まだ新しそうな実から古くて朽ちかけたようなのまで、新旧さまざまなクリの実が落ちている。新しそうなのは片っぱしから拾って、持参のビニール袋に入れていく。ちゃんとクリ拾いしてきたって証拠が必要だしね。()(しょう)苗も使えそうなのは、できるだけマヨヒガに取り込んでいく。

 ……これでマヨヒガにクリとドングリの林ができたらいいんだけど……いや、虫採りだけなら来年の夏に、ここに来るっていう手もあるな……


 あ……そうだ。


()(りん)ちゃん、スズメバチとかがいるかもしれないから、できたらスキルで警戒しといて。こっちからうかつに攻撃すると、群れをなして襲って来るかもしれないから、注意してね」


 一応警告しておくと、()(りん)はビクッと身を震わせた。……さすがの()(りん)もハチは苦手なのかな?

 まぁ一応、殺虫剤とポイズンリムーバーは持って来てるけど、無用の危険は回避する方針をジュンシュすべきだよね。


 それからは二人で、用心しぃしぃクリの実と、ついでに腐葉土なんかも適当に回収してたんだけど……


(ゆう)()……あれ」

「うん……お堂みたいだね」


 クリ林の少し先に、小さなお堂みたいなものを見つける事になった。


「山の神様でも(まつ)ってあったのかしら?」

「そうかもね。中のご本尊様も、あったかもしれない(がく)とかも運び出されて空っぽだけど」


 小さなお堂だけど何となく、村の人たちに大事にされてきたような感じがする。


「……(ゆう)()、このお堂も取り込むつもり?」

「ううん、やめておくよ。このお堂は、ここにこのままあった方が良いような気がするし……もしもお堂が消えた事がバレたら、電柱以上の大騒ぎになりそうだしね」

「そうよね……」

「でも――これだけは持って行った方が良いような気がするんだ」

「え……?」


 ()(りん)は不思議そう……と言うか()(げん)そうだったけど、ぼくは構わず床下にもぐって、二つほどの品物を回収してきた。真っ赤に()びた(なた)と、同じく真っ赤に()びた……


「……鉄瓶(てつびん)?」

「うん。これならマヨヒガの囲炉裏(いろり)で使えそうじゃない?」


 教えてくれたのが「金霊(かなだま)」なのか、それとも――ここに御座(おわ)しますどなた(・・・)かなのかはわからないけど……何となく、〝持って行け〟って言われた気がしたんだよね。



・・・・・・・・



 その後、()(りん)がこのお堂について調べてきてくれた。


 それによると……かつての繰越(くりこし)の旧村が土砂崩れに被災した時、生き残った村人たちが避難したのが、ここにあった出作り小屋――山仕事の際に寝泊まりしていた仮小屋だったらしい。

 その小屋を拠点として、周囲に少しずつ家を広げていったのが、今は廃村になった繰越(くりこし)の新村落の始まりだったらしく、最初の拠点とした山小屋は、廃村になるまでお堂として使われていたんだそうだ。


 自分たちを救ってくれた、山小屋に対する感謝を忘れないように。


これにて今回の更新は終幕となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ