第三十章 ぼくらの繰越村再訪記 4.クリの木探訪
~Side 真凛~
人目に付かないように空き家の裏手をコソコソと移動してたら、何だか村の外れっぽい場所に来ちゃった。辺りにはもうめぼしい空き家もないし、引き返そうかと考えてたんだけど……
「ちょっと優樹、なに変なところへもぐりこもうとしてるのよ?」
どうせまた虫でも探そうっていうんだろうけど、今はもう十月も後半なのよ? そうそうカブトムシとかチョウチョとかいないでしょ。あきらめてさっさと出てらっしゃい!
「そうじゃないよ……(冬は冬で、越冬中の虫とか採れるんだけど)」
「何? 何か言った?」
「うぅん、言わないよ? (相変わらず真凛ったら、勘が良いなぁ……)そうじゃなくて、ほらこれ」
あたしのギワクを打ち消すように優樹が差し出してきたのは、
「クリの実だよ」
「えっ? クリ?」
「うん。中身はもう虫が入っちゃってるけどね」
少し小ぶりなクリの実だった。……まだイガイガに入ったままだけど。
「小さいって……山のクリは大体こんなもんだよ?」
「そうなの?」
だったらちょっと残念……って思ってたんだけど、優樹に言わせると、小さい代わりに味は良いんだって。だったら期待もできるわよね。探しに行くのもムダじゃないわ♪
「それにほら、これって山道の跡みたいだよ?」
「道の趾? 廃道?」
「う~ん……そんな立派な道じゃなくて、細い山道の跡みたい」
優樹の示す先を見ると……確かに、山道に見えない事も……ないわね。クリの実もここを転がり落ちて来たようにも見えるし、先に進んでみるべきよね。
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~Side 優樹~
クリの木を探して山道を歩いていたら、遠くにそれっぽい木が見えた。思わず足を速めようとしたところで、何かに呼ばれたような気がして振り返ったら、
《対象物の品質は以下の通りです。
【廃屋】 品質:下 貢献度:小
マヨヒガの素材として取り込みますか? はい/いいえ》
――【鑑定】が反応した。
あわてて反応があった方向を見ると……草木に覆われた中に、ほとんどくずれた空き家が見えた。
……この距離から「素材」を把握できるのかぁ……
これってもう、【鑑定】と言うより【探査】に近いよなぁ……
「どうしたのよ? 優樹」
「真凛ちゃん、あれ」
「あれ? ……って、廃屋じゃない。わかってたの?」
真凛は疑いの目を向けてくるけど、ぼくだってわかってて来たわけじゃないからね。クリを探してここまで来たら、その近くに空き家があっただけで……あれ? ひょっとしてあっちにあるクリの木、村の人たちが管理してたのかな?
「……あり得るかもしれないわね。縄文時代の三内丸山遺跡でも、花粉分析の結果から、近くに管理されたクリ林があったらしいって言われてるし」
「へぇ……そうなんだ」
「……もし、旧村落の近くにあったクリもそうだとしたら……」
「あ……クリの木のある位置から逆に、村落跡地の位置を推定できるかも……」
……うん、これってかなり重要な発見じゃないかな。




