表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第三部 五年生 二学期
122/125

第三十章 ぼくらの繰越村再訪記 4.クリの木探訪

 ~Side 真凛~


 人目に付かないように空き家の裏手をコソコソと移動してたら、何だか村の外れっぽい場所に来ちゃった。辺りにはもうめぼしい空き家もないし、引き返そうかと考えてたんだけど……


「ちょっと(ゆう)()、なに変なところへもぐりこもうとしてるのよ?」


 どうせまた虫でも探そうっていうんだろうけど、今はもう十月も後半なのよ? そうそうカブトムシとかチョウチョとかいないでしょ。あきらめてさっさと出てらっしゃい!


「そうじゃないよ……(冬は冬で、越冬中の虫とか採れるんだけど)」

「何? 何か言った?」

「うぅん、言わないよ? (相変わらず()(りん)ったら、勘が良いなぁ……)そうじゃなくて、ほらこれ」


 あたしのギワクを打ち消すように(ゆう)()が差し出してきたのは、


「クリの実だよ」

「えっ? クリ?」

「うん。中身はもう虫が入っちゃってるけどね」


 少し小ぶりなクリの実だった。……まだイガイガに入ったままだけど。


「小さいって……山のクリは大体こんなもんだよ?」

「そうなの?」


 だったらちょっと残念……って思ってたんだけど、(ゆう)()に言わせると、小さい代わりに味は良いんだって。だったら期待もできるわよね。探しに行くのもムダじゃないわ♪


「それにほら、これって山道の跡みたいだよ?」

「道の(あと)? 廃道?」

「う~ん……そんな立派な道じゃなくて、細い山道の跡みたい」


 (ゆう)()の示す先を見ると……確かに、山道に見えない事も……ないわね。クリの実もここを転がり落ちて来たようにも見えるし、先に進んでみるべきよね。



 ********



 ~Side 優樹~


 クリの木を探して山道を歩いていたら、遠くにそれっぽい木が見えた。思わず足を速めようとしたところで、何かに呼ばれたような気がして振り返ったら、



《対象物の品質は以下の通りです。

 【廃屋】 品質:下 貢献度:小

 マヨヒガの素材として取り込みますか? はい/いいえ》



 ――【鑑定】が反応した。

 あわてて反応があった方向を見ると……草木に覆われた中に、ほとんどくずれた空き家が見えた。

 ……この距離から「素材」を把握できるのかぁ……

 これってもう、【鑑定】と言うより【探査】に近いよなぁ……


「どうしたのよ? (ゆう)()

()(りん)ちゃん、あれ」

「あれ? ……って、廃屋じゃない。わかってたの?」


 ()(りん)は疑いの目を向けてくるけど、ぼくだってわかってて来たわけじゃないからね。クリを探してここまで来たら、その近くに空き家があっただけで……あれ? ひょっとしてあっちにあるクリの木、村の人たちが管理してたのかな?


「……あり得るかもしれないわね。縄文時代の三内丸山遺跡でも、花粉分析の結果から、近くに管理されたクリ林があったらしいって言われてるし」

「へぇ……そうなんだ」

「……もし、旧村落の近くにあったクリもそうだとしたら……」

「あ……クリの木のある位置から逆に、村落跡地の位置を推定できるかも……」


 ……うん、これってかなり重要な発見じゃないかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ